ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

テロ等準備罪の新設は当然の課題

2017-05-06 08:54:47 | 時事
 テロ等準備罪を新設する組織犯罪処罰法の改正は、わが国が先進国として、国際社会で責任を果たしていくために必要な課題である。既に世界の187カ国・地域が国際組織犯罪防止条約(TOC条約)を締結している。TOC条約に参加するには、組織犯罪処罰法を改正しテロ等準備罪を新設することが必要である。日本が国際社会の一員として役割を果たしていくために、テロ等準備罪は不可欠である。
 テロ対策は国際協調が原則である。だが、わが国では、TOC条約の締結は平成15年に国会で承認された後、たなざらしになってきた。テロ等準備罪が成立すれば、TOC条約を締結し、国際的なテロ対策のネットワークに加わることができる。国際的なネットワークに参加してはじめてインテリジェンスの機能が発揮され、各国間で組織犯罪などに関する捜査情報などを得ることができる。締約国の当局同士が大使館などを経由することなく直接やり取りすることも可能となり、スピードや量の面でより実効的な協力態勢が整うこととなる。
 世界のテロリストは、ネット技術を駆使し、ネット上で重大テロ事件を計画・実行している。2020年東京オリンピック・パラリンピックは、3年後である。開催国としての大きな責任を負うわが国が、新たに立法措置を取り、テロ対策で国際協調を行うのは、当然の義務である。

 4月19日の衆院法務委員会で、テロ等準備罪を新設する組織犯罪処罰法改正案の実質審議が始まった。野党の批判に応じて構成要件が厳格化され、対象犯罪は当初の676から277に絞り込まれた。それでもなお、廃案を求める野党の主張は変わっていない。
 テロ等準備罪の対象は、テロ組織や暴力団など組織的犯罪集団に限定されている。だが、「拡大解釈で一般の国民も監視され、捜査対象になる」「通常の団体でも犯罪を実行する集団に一変した場合は捜査対象になり得る」として、野党などは捜査機関による乱用のおそれを強調する。そこで出されるのが、戦前の治安維持法である。治安維持法は、構成要件は曖昧で、警察が令状なしに強制捜査することもでき、再犯の恐れがある人を拘禁する「予防拘禁」が規定されていた。また、拷問や裁判所の手続きを経ない拘束が行われていた。
 しかし、拡大解釈の余地のあった治安維持法と異なり、テロ等準備罪は適用対象を「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団」の行為に適用対象を絞っている。一般市民や通常の労働組合が処罰されることはない。具体的な計画が存在することに加え、凶器の購入資金や化学物質調達など重大犯罪を実行するための準備行為があった場合に限って適用できると規定するものである。重大犯罪を計画しただけでは適用できない。地下鉄サリン事件のようなケースでの化学物質調達など、具体的な「準備行為」があった場合に限定されている。
 通常の団体が「一変」したかを判断するのは捜査機関だが、逮捕や家宅捜索といった強制捜査の際は、他のあらゆる罪と同様、裁判官が令状を出すか出さないかの判断をする「令状審査」を受けるから、その点では普通の法律と変わらない。
 テロ等準備罪の対象犯罪について、野党などからは冤罪を生む恐れがあるとの批判がある。それに対しては運用を厳格にすればよいことである。また、今回の法改正はテロ対策のためだけではない。暴力団の撲滅対策にも有効となる。組織犯罪に関する情報交換や捜査協力が、わが国の治安向上に資することになるからである。

 次に有識者の見解を紹介する。
 弁護士 木村圭二郎氏 「日本弁護士連合会は『共謀罪(テロ等準備罪)を規定しなくても条約締結ができる』との条約解釈を前提に反対しているが、この解釈は誤っている。テロ等準備罪の制定は、条約が重要な目的とする刑罰の国際的統一のための根本的義務で、この罪を規定しない限り、締結できないことは明らかだ。政府としての条約解釈権限を持つ外務省も、同様の見解を示している」。
 外交評論家 宮家邦彦氏 「英米法では『反社会的な目的を達成するため秘密行動を決意する』行為自体に刑事責任が問われる」「欧州大陸諸国は英米的『判例法』ではなく『成文法』主義だ」「大陸諸国の多くは組織犯罪に対して『徒党による合意』ではなく『犯罪組織への参加』自体の刑事責任を問う」「OECD(経済協力開発機構)加盟35カ国をみると、上記のような英米法的『合意罪』を採用する国が7カ国、大陸法的『参加罪』採用が13カ国、両者を併用する国が14カ国となっている。もうお分かりだろう。最後の1カ国、すなわち『合意罪』も『参加罪』も採用していない唯一の国が、わが日本なのだ。日本の刑法体系は『法益侵害行為』のみを罰する古典的建前が基本だから、国際組織犯罪防止条約(TOC条約)が求めるような『合意罪』または『参加罪』のいずれも刑事責任を問えない。しかし、IT技術の発達により情報の処理伝達速度が飛躍的に向上した21世紀に侵害行為の発生を待っている余裕はない」
 日本大学教授・危機管理学部次長 福田充氏 「日本国内でもようやく、欧米の情報機関と協調し、テロを防止する態勢はできつつある。しかし、法制度は依然として旧来の国内法のつぎはぎだ。国際組織犯罪防止条約(TOC条約)の批准は不可欠で、テロ等準備罪にも必要だが、日本がこれからテロ対策をさらに強化していくためには、テロリズムをしっかりと定義した『テロ対策基本法』といった抜本的な法制度を構築することも検討しなければならない」
 元慶応大法学部教授・弁護士 加藤久雄氏 「日本の平和と安心・安全を願うのであれば、警察がきちんと対応できる根拠法を制定しなければならない。3年後には東京五輪・パラリンピックを控えている。今国会でテロ等準備罪が成立せず、国立競技場にテロリストが侵入し、テロを起こそうとしたらどうするのか。そのときに事後法のように法律を作ってもどうしようもない」
 国連テロ対策委員会事務局上級法務官 高須司江氏 「日本の現在のテロ法制は十分とはいえない。テロの捜査で大切なのは、計画を早い段階で察知し未然に防ぐことだ。テレビドラマとは違って、計画の全てを察知するのは極めて難しい。日本には共謀罪がないため、テロの謀議の証拠をつかんでも、それだけでは処罰できない。審理されているテロ等準備罪が導入されると、共謀に基づいてトラックを用意したり、五輪会場の見取り図を入手したりした時点で、容疑者を検挙できるようになる。共謀した時点よりは遅れるものの、準備行為の時点で早期に検挙できるテロ等準備罪は、日本にいる人の命を守るために必要だ」「日本は既にテロ防止の13の国際条約に締結しているため、TOC条約は不必要という指摘があるが、これは間違いだ。相手国がそれらの条約に加盟しているとは限らないためだ。TOC条約は187の国・地域が締結しており、それらの国と国際協力ができるメリットは極めて大きい」

 良識ある有識者の代表的な見解は、以上のようなものである。しかし、組織犯罪処罰法改正案の廃案を主張する野党は、テロ等準備罪に関して国民に誤解と不安を与えるような間違った解釈を広めている。国政に預かる政党としての責任感も、国際社会の一員としての自覚も見られない。そうした姿勢は、テロ組織や暴力団など組織的犯罪集団に益するだけである。
 共産党は、暴力革命を権力奪取の手段として留保するから、テロ等準備罪に反対するのか。民進党・自由党・社民党は、北朝鮮に連なる反日集団を背後に持つから、テロ等準備罪に反対するのか。それともただ政争の具として反対のための反対をしているのか。こうした野党に対して、反社会的かつ反国家的かつ反国際的な姿勢を改めることを強く求めたい。
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