ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
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米国はパリ協定離脱宣言を撤回すべし1

2017-06-17 08:48:50 | 地球環境
 米国のトランプ大統領は、6月1日パリ協定から離脱することを宣言した。これに対し、米国内で反発の動きが起っている。そのことについては、下記の拙稿に書いた。
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/f2639e68e540d6d97186b05cca24cef3
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/acd8fdf3d2d4bd319c66a1482731bd2c
 本稿では、背景にある地球温暖化の問題とトランプ大統領のパリ協定離脱の経緯と問題点を書く。

●京都議定書からパリ協定へ

 1968年(昭和43年)、ハーバード大学のロジャー・レヴェル教授は、地球の大気中の二酸化炭素の濃度を観測したデータを発表した。地球温暖化の原因を解明する先駆的な研究だった。
1972年(昭和47年)から地球環境破壊に関する報告書に地球温暖化の問題が盛られ、1980年代には、世界的に広く知られるようになった。CO2等が温室効果をもたらし、それによって地球が温暖化しているという仮説は、これを認めない科学者もおり、現在も論争が続いている。私は科学者ではなく、独自の見識を以て判断する能力を持っていない。一般論としては、広く支持されている説が必ずしも正しいとはいえず、常識は常に疑ってみる必要がある。だが、過去40年以上、この一見茫洋とした仮説が多くの人の理解するところとなり、国際社会が重大課題として取り組むようになってきたという過程を観察してきた者として、私はこの仮説を支持する。科学的な仮説でこれほど広く国際社会に理解が広がり、地球規模の対応を要する深刻な問題として国際的な取り組みがされるようになっているものは、他にないのではないか。地球温暖化の人工的な原因に関する部分の解決に、人類は一致協力して努力すべきと考える。それゆえ、トランプ大統領がパリ協定の離脱を宣言したことは暴挙であり、米国内でこれに反発する動きが広がっているのは、当然と考える。
 さて、1992年(平成4年)6月、ブラジルのリオ・デジャネイロで、国連環境開発会議、いわゆる第1回「地球サミット」が開催された。この会議は、21世紀に向けて、環境と経済発展を対立したものとして捉えるのではなく、両者を調和させながら実現することを目指したものだった。「持続可能な発展」の実現のための基本理念となる「リオ宣言」、これを具体化するための行動計画としての「アジェンダ21」、さらに気候変動枠組条約、生物多様性条約、森林原則声明などが採択された。この時、地球温暖化問題についても、国際的な取組みが協議された。
 その5年後、地球温暖化に対処するため、国際的な取り組みが話し合われ、1997年(平成9年)12月に京都議定書が議決された。議定書によって、2008年(平成20年)から二酸化炭素の削減への取り組みが始まった。
 京都議定書には、世界132ヶ国が参加した。だが、先進国のうち、アメリカとオーストラリアは、批准しなかった。なかでもアメリカは、中南米・アフリカ・中東・オーストラリア・日本・アジアのすべてを合計した以上の量の温室効果ガスを排出している。アメリカの人口は世界の5%だが、世界全体の25%近くの温室効果ガスを出している。一人当たりの炭素排出量で見ても、アメリカがずば抜けて多い。こうしたアメリカが、地球温暖化の問題への取り組みにおいて極めて消極的であることは、この取り組みを大きな限界のあるものにしている。アメリカが変わらなければ、地球の温暖化は止まらない。
 さらに京都議定書では、インドや中国などの大量排出国が規制対象外となった。その他の削減対象になっていない発展途上国からの排出は続き、かつ急速に増加した。そのうえ、カナダは削減目標の達成を断念するなど、多くの問題が発生した。
 京都議定書は、2013年(平成25年)までの5年間に関する協定だった。それ以降の地球温暖化防止の実効的な枠組みを作る必要がある。だが、ポスト京都議定書については、5年間のうちには結論が出ず、また協議や議論の途中であり、合意の目処は立たなかった。
 そうしたなか、国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)が続けられてきた。2015年(平成27年)11月30日にパリでCOP21が開催され、初日は初日に安倍晋三首相、オバマ米大統領、習近平中国国家主席ら150カ国もの首脳が参加する会合を開き、温暖化対策への決意を確認した。12月12日に、2020年以降の温暖化対策の国際枠組みとしてパリ協定が採択された。この協定は、京都議定書と同じく、法的拘束力の持つ強い協定として合意された。京都議定書以来、18年ぶりの枠組みの設定であり、196カ国が締約した。
 全体目標として、産業革命前からの世界の平均気温の上昇幅を2度未満に抑えることを目標とし、1.5度未満にするよう努力する方針などを盛り込み、世界全体で今世紀後半には、人間活動による温室効果ガス排出量を実質的にゼロにする方針を打ち出した。そのために、全ての国が、排出量削減目標を作り、提出することが義務づけられ、その達成のための国内対策を取ることも義務付けられた。各国の国情を考慮しながら、全ての国が徐々に国全体を対象とした目標に移行することとし、5年ごとに目標の見直しをする。アメリカ・中国・インドも従来より積極的に排出量実質ゼロに取り組むこととなり、ようやく世界全体で地球温暖化対策に取り組む国際合意ができたといえる。
 地球環境問題では、各国がエゴの張り合いをしていたのでは、人類全体が共倒れになる。人類全体としての「持続可能な成長」の枠内で、先進国、途上国、それぞれが「持続可能な成長」のあり方を見出せなければ、海面上昇による主要な巨大臨海都市の水没、凶暴化する台風・竜巻の襲来、一層の砂漠化による農地の荒廃、大気・水・土壌の汚染による健康喪失等によって、人類は衰亡へと向かうだろう。これほど人間の生存・生活の権利を自ら危うくすることは、核戦争以外に他にない。
 パリ協定は、2016年11月4日発効した。批准国の温室ガス排出量が世界の総排出量の55%以上になることなどが発効要件だったが、2大排出国の米中が同年9月に批准し、採択から1年足らずのスピード発効となった。同年11月7~19日にモロッコで開かれたCOP22では、協定の実施ルールを2018年に決めることで合意した。日本は昨年11月8日に批准した。そして、いよいよ各国が協定に従って、実行に取り組んで、約7か月というところで、米国の新大統領トランプ氏はパリ協定離脱を宣言した。これが実行されれば、国際社会の取り組みへの影響は深刻なものとなる。

 次回に続く。
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