ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

女性宮家よりは尊称保持、だが根本的改善は旧皇族の活用

2017-05-18 07:45:07 | 皇室
 秋篠宮眞子様のご婚約の予定が発表されました。この慶事をお喜び申し上げます。
 女性皇族が民間人とご結婚されると皇籍を離脱されるため、皇室のご公務を担う方が減少する。そこで出されているのが、女性宮家の創設である。平成24年、民主党・野田佳彦内閣の時、政府は女性宮家創設案を示したが、慎重に検討すべき事柄であるとの認識が広がり、その後、議論は下火になっていた。このたびの天皇陛下の譲位に関する事項を検討する有識者会議でも、女性宮家の創設は課題とされなかった。眞子様のご婚約を機に、民進党(旧民主党)などが女性宮家の創設をまた主張するだろうが、安易に議論をすすめてはならない。

●政府の女性宮家創設案の問題点

 女性宮家創設は、女性皇族の結婚相手が民間人の場合、誕生した子供を皇族とすると、民間人男性を父に持つ女系皇族が誕生することになる。これは女系天皇への道を開き、皇統の断絶に至る恐れがある。私は、女性宮家創設は旧皇族の男系男子孫との婚姻の場合に限るべきという意見である。この意見は、旧皇族の男系男子孫の皇籍復帰と、皇族が旧皇族男系男子孫に限って養子を取ることを許可することを主たる方策とし、そのことを前提とするものである。
 平成24年当時の政府は女性宮家創設は皇位継承問題とは別としたが、なお先の懸念による反対・慎重の意見が多く出た。そこで政府は、皇位継承問題と切り離すため、女性宮家を一代限りとする方針を出した。子供は皇族としないという案である。
 その場合、まず女性皇族の配偶者の身分をどうするかということがある。皇族または準皇族とするか、民間人のままとするかで分かれる。皇族とする場合、敬称をどうするかという課題もある。
 仮に配偶者の身分を皇族とし、子供は皇族としないことにすると、親子で別籍・別姓・別会計という問題が生じる。すなわち、両親すなわち女性皇族と配偶者は、皇統譜に入るが、子供は民間人として戸籍が別になる。両親は皇族ゆえに姓が無いが、子供は民間人として父親の姓を名乗ることになる。両親は皇族費によって家計を維持されるが、子供は皇族費の対象外で養育費・生活費等の支出は別会計となる。
 次に配偶者の身分を民間人のままとする場合、妻・母は皇族で皇統譜・無姓・皇族費で、夫・父と子は別籍・有姓・別会計という構成が、一つの家族といえるのかどうか。また実生活に多くの支障を生じるだろう。
 いずれの場合も極めて不自然な状態であり、わが国の親子一体・夫婦一体の伝統に反する。あたかも夫婦別姓論者が目指す夫婦別姓、親子別姓、夫婦別会計のサンプルのごときである。
 女性宮家創設は旧皇族の男系男子孫との婚姻の場合に限ることにすれば、これらの問題点は解決できる。配偶者となる旧皇族の男系男子孫は皇統譜に入り、女性皇族と配偶者の間に生まれた子供も皇族とする。姓と会計の問題も生じない。

●浮上した尊称保持案とは

 そこで平成24年当時、有識者会議で尊称保持案が浮上した。この案は、女性宮家創設に伴う問題点を解決し得るものと考えられている。尊称保持案は、女性皇族が婚姻により皇籍離脱した後もご公務を担えるよう、内親王・女王などの尊称の保持を可能とする案である。
 女性皇族が婚姻後も尊称を保持することにより、皇籍離脱してもご公務を担える立場にあることを公的に保障する。皇族としての経験を生かし、婚姻後も皇室活動を継続して、天皇家を支えていただくことができる。皇室活動を続けられるようこれに伴う費用や住居については、支出を保障する必要がある。皇室御用掛(仮称)、宮内庁参与等の役職についていただくという案も出ている。
 尊称保持であれば、身分は民間人であり、戸籍は配偶者の籍に入る。子供も民間人として家族の一体性が保たれる。女系天皇につながらず、皇室の男系継承の伝統を崩壊させる恐れはない。
 尊称保持案は、歴史的前例にならう方法である。旧皇室典範は、第44条に次のように定めていた。

 「皇族女子ノ臣籍ニ嫁シタル者ハ皇族ノ列ニ在ラス但シ特旨ニ依リ仍内親王女王ノ称ヲ有セシムルコトアルヘシ」

 大意は、「皇族女子が臣籍の者と結婚した場合は、皇族の列から外れる。但し、特旨により、その内親王・女王の呼称を持つ場合がある」ということである。
 伊藤博文の『皇室典範義解』に、この条文について、次のように書かれている。「恭(つつしみ)で按ずるに、女子の嫁する者は各々夫の身分に従ふ。故に、皇族女子の臣籍に嫁したる者は皇族の列に在らず。此に臣籍と謂へるは専ら異姓の臣籍を謂へるなり。仍内親王又は女王の尊称を有せしむることあるは、近時の前例に依るなり。然るに亦必ず特旨あるを須(ま)つは、其の特に賜へるの尊称にして其の身分に依るに非ざればなり」
 大意は、「慎んで思うに、女子で婚姻する者は、それぞれその夫の身分に従う。故に皇族女子が臣籍の者と結婚した場合は、皇族の列から外れる。ここに臣籍というのは、専ら異姓の臣籍をいう。その内親王または女王の尊称を持つことがあるとは、近時の前例によるものである。然るにまた必ず特旨を必要とするのは、その特に賜る尊称であり、その身分によるものではないからである」ということである。
 特旨とは、天皇の特別の思し召しである。日本国憲法のもとにおいても、現行位階令に特旨叙位がある。
 尊称保持案も皇室典範の改正を要する。旧皇室典範第44条の条文の主旨を踏まえた条文を新設することになるだろう。天皇から特旨を賜るのか、行政の会議体で決するのか、皇室会議で決するのか、制度設計が必要である。
 尊称保持の歴史的前例には、朝鮮王朝の皇太子・李垠の妃となった梨本宮方子女王殿下の例がある。
 尊称保持であれば、女性宮家を創設しなくとも、女性皇族のご公務分担が可能となる。その点で私も賛成だが、ただし、この方策が採られても現在いらっしゃる女性皇族が婚姻後もご公務を担うことができるというだけである。女性皇族一代限りのことであり、一時的な方策に過ぎない。

●根本的な改善策を断行すべし

 平成24年当時、政府は、一代限りの女性宮家創設と尊称保持の二案を検討していると伝えられた。政府は、こうした方策を皇位継承問題と切り離して実現しようとしている。尊称保持の方がよいが、いずれも当面の皇族のご公務分担の軽減や皇室活動の維持を図るものにすぎない。有益ではあるが、根本的な改善にはならない。
 平成18年9月6日、悠仁親王殿下が誕生された。殿下は現在10歳になられている。今後、皇太子殿下に男子が誕生されなければ、やがて悠仁様が皇位を継承することになるだろう。おそらく25~35年後のことだろう。今のままではその時、皇族の数は極少なくなっている。仮に尊称保持策を採ったとしても、現在7名おられる未婚の女性皇族(眞子様を含む)が、みな民間人と結婚されれば、一代限りでお役目を終える。最悪の場合、男系男子の皇族は悠仁親王殿下お一人となる。この方策では、いずれ皇統の安定的な継承は困難になることは、明白である。そこで皇室の繁栄と皇位の安定的継承を可能とする方策こそが求められているのである。政府も有識者も国会議員もしっかりと将来をみすえ、根本的な改善に取り組んでもらいたい。
 私は、男系による皇位継承を保持し、かつ皇族の数を確保する方策は、第一に旧皇族の男系男子孫の皇籍復帰、第二に皇族が旧皇族男系男子孫に限って養子を取ることを許可することであると考える。女性宮家創設については、旧皇族の男系男子孫との婚姻の場合に限るべきである。
 皇統の血筋を引く元皇族男系男子孫が、皇籍復帰、皇族との養子、女性皇族との婚姻などの方策によって、男系男子皇族となる制度を整えば、皇族の人数は増加し、かつ安定的な皇位継承が可能になる。これを旧皇族活用策と呼ぶとすれば、旧皇族活用策以外に、皇室の繁栄と皇位の安定的継承を可能とする根本的な改善策はない。旧皇族の活用を先送りすれば、皇室の命運は先細りする。だが、いまこの根本的改善策を実施すれば、悠仁親王殿下が皇位を継承される将来、天皇を支える宮家が数家維持されて、皇室の弥栄は確かなものとすることができる。
 皇室の将来に関し、一時的な方策は根本的な改善にならず、先送りは先細りである。目の前に最善にして最も確実な方策がある。国民の英知を結集して、その方策を断行すべきである。

関連掲示
・拙稿「皇位継承問題――男系継承への努力を」
http://khosokawa.sakura.ne.jp/opinion05b.htm
・拙稿「女系継承容認論の迷妄――田中卓氏の『諫言』に反論する」
http://khosokawa.sakura.ne.jp/opinion05c.htm
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