ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

米中が競う東南アジアと日本の外交7

2013-01-18 09:21:06 | 国際関係
●米国主導のTPPの実態をつかめ

 オバマ大統領は、平成21年(2009)11月東京・サントリーホールで行った講演でアジア太平洋重視の方針を打ち出した。この時、オバマ氏は、米国はこれからTPPに参加すると表明した。
 TPPは環太平洋パートナーシップ協定。環太平洋戦略的経済連携協定ともいう。平成17年(2006)に誕生したTPPは、ブルネイ、チリ、ニュージーランド、シンガポールなど、経済規模が比較的小さい国の地域協定だった。ところが、平成20年(208)のリーマン・ショック後、米国が突如、この地域協定への参加に熱心になった。翌年、米国通商代表部から議会に提出された文書は、自国の「輸出増加、雇用増大」が目的だと述べている。そして、オバマ大統領が東京で参加を表明したのである。
 わが国では、TPPに関する情報が少なく、米国の意図もよく分からなかった。ところが、22年(2010)10月、民主党の菅首相が突然、横浜APECでTPPに参加すると言い出した。菅氏は、ほとんど中身も分からずに言ったものらしい。尖閣諸島沖中国漁船衝突事件の直後だったから、米国と安全保障上のことで何かあったのではないかと疑われる。
 その後、東谷暁氏、中野剛志氏、三橋貴明氏、関岡英之氏等によって、TPPの問題点が明らかにされてきた。当初TPPへの参加は、農業への影響をどうするかという程度の問題と見られていた。マスメディアの多くは、TPPの真相を報じようとしなかった。だが、TPPの対象は、農業だけでなく、金融・投資・保険・労働・医療・健保・通信・法務等、24の分野に及ぶ。それらの分野で、米国が日本に関税自主権の放棄と自主規制の撤廃を迫るものとなっている。日本と米国以外の参加国は経済規模が小さく、日米でGDPの総額の9割以上にもなる。TPPで米国が日本を主たる対象国としていることは明らかである。わが国のTPP賛成論者は、TPP参加でアジアの成長力を取り込めると言うが、中国も韓国もインドも参加しない。それでどうやって、アジアの成長力を取り込めるのか。問題点はあまりにも多い。

●安全保障と経済協定は別

 米国主導のTPPへの参加は、日本経済にとてつもない影響を与えると、私は予想する。かつてのプラザ合意、金融ビッグバン、郵政民営化等の比ではない。敗戦後、日本が独立を回復してから、米国が仕掛けてきた日本の再従属化の集大成といえるものである。あらゆる分野で徹底的な日本改造がされ、日本の富の収奪、文化・伝統の改変、対米完全従属化が行われることになる。
 ところが、民主党政権は、TPPに関する情報を公開しようとしなかった。TPP参加に係る根本問題を国民に知らせようとしなかった。その状態で、民主党の野田首相(当時)は、平成23年(2001)11月12日から開催されたAPECで、TPPの協議に参加することを表明した。その1週間後に行われたEASで、米国は中国をけん制し、アジア太平洋諸国を米国寄りに引き付ける強力な外交を行った。日本のTPP協議参加表明がきっかけになって、こういう流れができたかのようだった。思うに、これは米国のシナリオ通りで、米国ははAPECで日本にTPP参加を表明させ、EASで中国に外交攻勢をかけて、アジア太平洋地域における主導権を固めようと計画していたのだろう。
 TPPは、米国の対東南アジア外交の要になっている、米国は、日本をTPPに参加させて経済的な従属関係を強化し、日本の経済力を自国の経済回復に利用しようとしている。また世界の成長センターであるアジアへの本格的な進出を図ろうとしている。また、日本との関係を利用して中国をけん制し、アジア太平洋地域での主導権を確保し、安全保障の強化を図ろうとしている。米国は、リーマン・ショック後の経済回復と雇用創出・ドルの防衛、アジア太平洋地域への本格的関与による経済的利益の拡大、中国の地域覇権主義への対抗等と、いくつもの目的を以て動いているだろう。
 日本はこれに受動的に協力して、米国に奉仕する形になりつつある。わが国にとっても国益の実現となる部分は、米国に協調するのでよい。だが、米国の言いなりになることで国益を失うことは、大きな間違いである。わが国は現状、安全保障においては米国に依存せざるを得ないが、安全保障と経済協定は別である。経済協定においては、あくまで国益追求の観点で判断すべきである。

 次回に続く。

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