ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
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ユダヤ74~ドイツ・ハンガリーにおける革命の鎮圧

2017-07-12 09:30:45 | ユダヤ的価値観
●ドイツ・ハンガリーにおける革命の鎮圧

 次に、20世紀前半のドイツ及び東欧について書く。
 第1次世界大戦において、西欧の労働者階級は、共産主義のインターナショナリズムより、自国のナショナリズムを支持した。国家・国民の枠を超えた階級の意識より、ネイションによる共同体の意識の方が強かった。戦争は、職業と所有形態に基づく階級より、血縁・地縁と歴史・伝統をともにする共同体のほうが、人々の結びつきははるかに強いという事実を明らかにした。またそれとともに、ロシアと違って西欧では自由主義とデモクラシーが発達しており、労働者たちは職業的革命家の一方的な指示・命令に無批判に従うことがなかった。そのため、西欧ではロシアに連動した革命は起こらなかった。
 ドイツは第1次世界大戦で英仏と戦って敗北した。敗戦を契機として、1918年にドイツ革命が勃発したが、これは鎮圧された。
 ドイツ革命運動の指導者ローザ・ルクセンブルクは、脱ユダヤ教的なユダヤ人であり、ユダヤ人の社会的、文化的特異性を完全に否定した。ベルリンの極左組織「スパルタクス団」の理論家だった。
 レーニンは、職業的革命家による前衛党の上からの指導性に力点を置いた。帝政ロシアは、ツアーリズムに支配されており、デモクラシーの伝統はなかった。そこでレーニンは、知識人が労働者階級に階級意識を外部から注入するという階級意識外部注入論を説いた。共産主義者の知識人が主導する革命は、官僚独裁を生み出した。
 これに対し、ルクセンブルクは、レーニンの前衛党組織論を批判し、ソヴィエト政権をも厳しく批判した。そして、ドイツでは民主主義(デモクラシー)が相当程度まで浸透しているとして、プロレタリア大衆の自発性に期待した。彼女は、「民主主義は、プロレタリアートの権力掌握を必然的にし、かつまた民主主義のみがそれを可能にするがゆえに、無くてはならないものだ」とした。
 しかし、当時のドイツには、彼女が思い描いた革命的プロレタリアートは存在せず、大衆の自発性への期待も思い込みに過ぎなかった。そして、彼女はドイツ革命の鎮圧の中で敗死した。
 ハンガリーでも大戦後に革命運動が起こったが、これも鎮圧された。その後、共産主義の新しい理論が登場した。ユダヤ人ルカーチ・ジェルジによるものである。ルカーチ(こちらが姓)は、1923年に公刊した著書『歴史と階級意識』において、マルクスが軽視していた上部構造、社会的意識の問題を論じた。彼は、歴史の変革における意識、特にプロレタリアートの階級意識の果す積極的役割を強調し、中間的存在である知識人は自らプロレタリアートの側に立つべきことを説いた。また、資本主義社会の合理化・機械化の過程のなかで、人と人との関係が、物と物との関係に変えられ、労働力を売る立場にある労働者は自己の商品化を通じて、体制に組み込まれると論じた。いわゆる「物象化」の理論である。ルカーチの理論は、西欧マルクス主義の先駆となり、フランクフルト学派に重要な影響を与えた。そして、教条的なマルクス=レーニン主義ないしスターリン主義に代わり、先進国における共産主義を延命させることになった。
 ルカーチは「社会を変える唯一無二の手段は革命による破壊である」「古い価値の根絶と、革命による新しい価値の創造なくして世界共通の価値転覆は起こりえない」と説いた。そして、規成の価値を破壊するため、家族と性道徳を攻撃した。彼が提唱したのが、「文化テロリズム」である。その一環として、ルカーチはハンガリーで過激な性教育制度を実施した。ハンガリーの子供たちは、学校で自由恋愛思想、セックスの仕方を教わり、中産階級の家族倫理や一夫一妻婚は古臭く、人間の快楽をすべて奪おうとする宗教理念は浅はかだと教えられた。女性も当時の性道徳に反抗するよう呼びかけられた。こうした女性と子供の放縦路線は、社会の核である家族の崩壊を目的としていた。この活動は、西洋の価値観の基礎にあるキリスト教道徳を破壊して共産主義革命を目指すものだった。ルカーチの「文化テロリズム」は、第2次世界大戦後に欧米の共産主義者が推進した文化革命戦術の先駆となった。

 次回に続く。
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