ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
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衆院選:アベノミクス完遂の次は憲法改正へ

2014-12-12 07:41:18 | 時事
●西修氏「各党は憲法をもっと具体的に語れ」

 駒澤大学名誉教授の西修氏は、憲法学・比較憲法学の専門家であり、産経新聞社の「国民の憲法」起草委員の一人でもある。西氏は、12月8日の産経の記事で、「今回の総選挙において、『憲法』も重大な争点の一つとされなければならない」と述べている。理由は当然ながら、今年6月に改正国民投票法が施行されて以降、初めての総選挙になるからである。このことを指摘する有識者が存外少ない。15年に及ぶデフレから脱却するためのアベノミクスの継続の可否は大事は論点だが、67年間も戦勝国に押し付けられたままになっている憲法の改正は、もっと重要な課題である。
 西氏は、改正国民投票法によって「いつでも改正原案が国会に提出できる環境が整い、解散前の衆議院憲法審査会では何を改正原案にするかを各党で検討することになっていた。総選挙後に開かれる同審査会でも、議論されることになろう。その意味で各党が『憲法』の何を争点に掲げているのかは、国民にとって大きな関心事である」と書いている。西氏は、比較憲法学の学者らしく、憲法に関する各党の公約を比較・分析している。独自の改正条文案を持つ自民党はもちろんのこと、維新の党、次世代の党、公明党はそれぞれ党としての主張を打ち出している。ところが、これら各党に比べ、民主党は「選挙公約中、「憲法」の項目をみると、はなはだ不十分である」と断じる。同党の「政権公約マニフェスト」で「憲法」の項目に記載されている項目を挙げ、「憲法のどこをどうしようと国民に訴えたいのか、何も語っていないのに等しいではないか」と批判する。
 特に集団的自衛権について、民主党の態度のあいまいさを西氏は指摘する。
 「同党は、公約で「国民の生命財産、我が国の領土、領海、領空を守ります。集団的自衛権の行使を容認した閣議決定は立憲主義に反するため、撤回を求めます」と記述している。ここにおいて、集団的自衛権の行使を容認した閣議決定の撤回を要求しているが、それでは国民の生命財産等を守るために、憲法を改正して集団的自衛権を認めるのか、あるいは閣議決定以外の方法によるのか、はたまた集団的自衛権をいっさい認めないのかは、不明のままである」と。
 民主党は、野党第一党である。今回の選挙では、みんなの党、生活の党等から新たな政治家を受け入れ、また野党共闘を推進している。その政党が、国家の根本問題について、党としての意志の合意すらできないのである。お粗末極まりない。
 繰り返しになるが、衆議院総選挙は、どの政党を支持するかというだけでなく、国会最高指導者として誰を選択するかという選挙でもある。今回の選挙は、国家最高指導者として安倍晋三氏を選ぶか、民主党代表の海江田万里氏を選ぶかという選挙である。有権者は、日本の主権と独立、国民の生命と財産を守る指導者は、どの候補者かを基に判断するとよいだろう。国民の生活を守るのは、日本の主権と独立、国民の生命と財産を守り得て、はじめて可能なことだからである。

●アベノミクス完遂の次は憲法改正へ

 ところで、現在わが国はアベノミクスによる経済再生に取り組んでいるが、そもそもわが国が長期デフレに陥った根本原因は、現行憲法を放置してきたからである。経済と憲法には、特に関係はないと思う人が多いだろうが、実は大きな関係がある。というのは、わが国は現行憲法によって国防を規制され、米国に国防を依存しなければならなくなっている。そのため、米国から国防をカードにして外交で迫られると、結局米国の意思に従わざるを得ない。現行憲法が、わが国の潜在的な成長力を抑え、国民が生み出した富を失わせているのである。
 高度経済成長後、日本は米国が仕掛けた日米経済戦争で敗れ続けている。1980年代、世界第2位の経済大国になった日本に対し、アメリカは85年プラザ合意に加わるよう求めた。その結果、バブルが起こり、それが崩壊して長期不況に陥った。1996年アメリカの強い圧力によって外国為替法が改正され、金融ビッグバンが起こった。この時導入された時価会計・減損会計、ペイオフ、銀行の自己資本比率規制が、わが国の経済に悪影響をもたらした。そして、97年に消費税を3%から5%に引き上げたことをきっかけにデフレに陥った。
 今後、アベノミクスを継続し、デフレを脱却して経済成長の軌道に戻ることができても、また米国から外交圧力をかけられると、新たな富を献上しなければならなくなる。そういう構造になっている。私は、TPPはその外交圧力そのものであり、日米経済戦争の最終局面になりかねないものと危惧している。
 この成長抑止・国富流出の構造を打開するには、憲法の改正が必要である。憲法を改正し、国防を強化してこそ、強い外交力を持つことができる。そしてそれによって、わが国は、国家の安泰を得るとともに、経済的な繁栄を持続・拡大することができるのである。アベノミクスの完遂の次は、憲法改正である。それを目標に、日本国民は団結邁進すべきである。

 以下は、西氏の記事の全文。

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●産経新聞 平成12月8日

http://www.sankei.com/column/news/141208/clm1412080001-n1.html
2014.12.8 05:01更新
【正論】
「憲法」をもっと具体的に語れ 駒沢大学名誉教授・西修

≪国民の大きな関心事だ≫
 今回の総選挙において、「憲法」も重大な争点の一つとされなければならない。なぜならば、今年6月に改正国民投票法が施行されて以降、初めての総選挙になるからである。同改正法によって、いつでも改正原案が国会に提出できる環境が整い、解散前の衆議院憲法審査会では何を改正原案にするかを各党で検討することになっていた。総選挙後に開かれる同審査会でも、議論されることになろう。その意味で各党が「憲法」の何を争点に掲げているのかは、国民にとって大きな関心事である。
 そういう視点から、民主党の選挙公約中、「憲法」の項目をみると、はなはだ不十分である。同党の「政権公約マニフェスト」で「憲法」の項目に記載されているのは、以下のとおり。「国民主権・基本的人権・平和主義を守ります▽憲法解釈を恣意的に歪めたり、改正の中身を問うこともなく、改正手続きの要件緩和を先行させることには、立憲主義の本旨に照らして反対です▽国民の皆さんと『憲法対話』を進め、補うべき点、改めるべき点への議論を深め、未来志向の憲法を構想します▽国民投票法の改正を受け、選挙権年齢の18歳への引下げなど、必要な法制上の措置を講じます」。これがすべてだ。憲法のどこをどうしようと国民に訴えたいのか、何も語っていないのに等しいではないか。
 同じく野党の維新の党は、道州制の明記(92条改正)、首相公選制の導入(67条改正)、強力な会計検査機関の国会への設置(90条改正)、憲法裁判所の新設などを提唱し、具体的である。
 また次世代の党は、「国民の手による新しい憲法(自主憲法)の制定」を前面に出し、自衛権および自衛隊(国防軍)規定の新設、国家緊急権規定の整備、家族尊重規定の新設、憲法改正の発議要件の緩和などをうたい、明確だ。
 与党の自民党は『日本国憲法改正草案』を作成ずみである。そこに盛り込まれている条項につき、優先順位をつけて明示する必要がある。
 公明党は、「加憲」の立場から、環境権などの新しい人権や地方自治の拡充、自衛のための必要最小限度の実力組織としての自衛隊の存在の明記、国際貢献の在り方を検討対象にするとしている。

≪いやしくも政党であるなら≫
 こうしてみると、民主党の憲法への対応がいかに不足しているかが明白であろう。同党では護憲派と改憲派が同居しており、調整するのが困難であると伝えられているが、いやしくも政党であるからには国民の関心事たる「憲法」に対して具体的な形で訴える必要がある。「憲法対話」を進めるためにどのような案を提案しようというのか。選挙期間中、海江田万里代表なり枝野幸男幹事長なりの考えをぜひ聞かせてほしいものだ。
 枝野幹事長は昨年10月、『文芸春秋』に「憲法九条、私ならこう変える」と題し、集団的自衛権に関する以下の憲法改正案を示している。「国際法規に基づき我が国の安全を守るために行動している他国の部隊に対して、急迫不正の武力攻撃がなされ、これを排除するために他に適当な手段がなく、かつ、我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全に影響を及ぼすおそれがある場合においては、必要最小限の範囲で、当該他国と共同して、自衛権を行使することができる」。いくつもの制約要件を付し、わが国を守るために行動している他国部隊に対して必要最小限の範囲でわが国が(集団的)自衛権を行使することができることを明記している。一つの見識だ。
 7月1日に政府が提示した集団的自衛権の行使に関する新3要件と基本的に大きな違いはないように思われるが、枝野幹事長自身が、みずからの改正案について、説明することが求められる。

≪生命と財産どう守るのか≫
 同党は、公約で「国民の生命財産、我が国の領土、領海、領空を守ります。集団的自衛権の行使を容認した閣議決定は立憲主義に反するため、撤回を求めます」と記述している。ここにおいて、集団的自衛権の行使を容認した閣議決定の撤回を要求しているが、それでは国民の生命財産等を守るために、憲法を改正して集団的自衛権を認めるのか、あるいは閣議決定以外の方法によるのか、はたまた集団的自衛権をいっさい認めないのかは、不明のままである。
 自民、公明は閣議決定により、集団的自衛権の限定的行使を容認している。維新の党は「集団的自衛権を含む『自衛権』行使の範囲の適正化と法整備」を、また次世代の党は「集団的自衛権に関する憲法解釈の適正化」を、それぞれ掲げている。しかしながら、これら両党は、集団的自衛権の解釈の適正化の中身を詰めていない。
 共産党と社民党は護憲を唱え、集団的自衛権行使には否定的だ。
 「憲法」にしても、「集団的自衛権」にしても、いま具体論が問われている。各党は、国民の「知りたい権利」を満たすためにも、国民に真摯(しんし)に語りかける責務を負っている。(にし おさむ)
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関連掲示
・拙稿「衆院選:憲法改正こそ、真の争点」
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/06b9061af245779dcb53f03da085cdbf
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