ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
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女性天皇・女系継承の容認でいいのか

2005-12-02 12:26:25 | 皇室
 小泉首相の私的諮問機関である「皇室問題に関する有識者会議」は、11月24日、首相に報告書を提出しました。その内容に危機をもった人々が、30日「皇室典範を考える集い」に参集しました。私も国民の一人として参加しました。
 以下、この集会の大略をお伝えします。(以下、転載自由です)

■「皇室典範を考える集い~「有識者会議」の見識を問う~」

 平成17年11月30日 日本消防会館(東京・虎ノ門)
 主催 皇室典範を考える会(代表 上智大学名誉教授 渡部昇一)

●会場で配られた資料より抜粋

<有識者会議の答申に接して>

 なぜ、これほど急いで決めようとするのか。皇位継承問題について、私たち国民が聞かされたのは、今年になってからではないか。しかも年頭以来、国民とメディアの関心は、郵政民営化論議に注がれ、その上、大旋風を巻き起こした衆議院選挙もあった。国民的関心も論議も全く別のところにあったのであり、事実上、国民はなにも知らされていない中での答申提出である。その答申に見られるのは、単に目先の事象に振り回される姿でしかない。有識者というなら、曇りなき伝統を守るためにこそ知恵を出すべきではないか。政府は拙速を避け慎重に対処することを、強く求める。
 平成17年11月24日
 皇室典範を考える会 代表 渡部昇一

●登壇者の呼びかけ

 平沼赳夫衆議院議員・日本会議国会議員懇談会会長
 下村博文・日本会議国会議員懇談会事務局長
 桜井よし子(ジャーナリスト)
 工藤美代子(作家)
 田久保忠衛(杏林大学客員教授)
 荻野貞樹(国語学者)
 小田村四郎(皇室問題研究会顧問)
 屋山太郎(政治評論家)ほか

 登壇された主な方々の発言を、私なりにメモしたものをご紹介します。
 
○渡部昇一氏(上智大学名誉教授)
 「日本人は直観で、皇統は男系でなければ不安定になると考えたようだ。男女の話は、種と畑で考えると分かりやすい。種は、稲をまけば稲という継承性を持つ。畑は、アワならアワ、ヒエならヒエが生える。どこかから飛んできた種のセイタカアワダチソウでも生える」
 「有識者会議というが、10人の中に皇室の問題の専門家が誰もいない。皇室の伝統は天皇でも変えることができないというのが、伝統である。それを有識者会議の人たちは変えようとしている。有識者ではなく、無識者である。」
 「愛子様を天皇にするための改正だろう。しかし、どなたが御配偶になるかによって、もし李王朝の人と結婚されたら、日本は無血占領される」

○平沼赳夫氏(衆議院議員・日本会議国会議員懇談会会長)
 「小泉首相の方針で、有識者会議は、政治家は一切関与しない、皇室の意見も聞かない。小泉首相は改革パラノイアではないか。何でも変えようとしている。しかし、変えるべきものは躊躇なく変える。守るべきものは、断じて守るということでなければならない」
「万世一系は、わが民族の宝であり、世界の宝である。世界文化遺産以上のものである」
「日本会議国会議員懇談会は超党派の議員、衆参両院で378名いる。来年の通常国会までには、同じ基盤に立って臨むよう勉強会等をしていく」
 
○下村博文氏(日本会議国会議員懇談会事務局長)
 「来年の通常国会は、1月20日ころ始まる。その前に、国会に法案が上がらないようにしたい」

○桜井よし子(ジャーナリスト)
 「神武天皇以来、男系の系統で継承されてきた。10親等、8親等も離れた方を招いたことがある。万世一系という血筋の方を天皇に迎えた。それは日本人の心がつむぎだした価値観。その価値観は、日本の文明であり、日本の核である。これを変える権利は、有識者10人には絶対にない。国会にも国民にもない」
 「有識者会議の答申は、GHQと同じことをしようとしている。日本人の価値観を全否定、歴史を全否定するもの。GHQは、木に竹を接いだような憲法を押し付けた。しかし、GHQでさえ手をつけることのできなかった日本文明の核心に、有識者会議はてをつけようとしている」
 「国民の7割が女性天皇に賛成しているといっても、国民が女性天皇と女系天皇の違いを知らない段階での7割には、意味がない」
 「2665年の歴史をたった1年足らずの有識者会議で断ち切ってしまうような愚かな行為は、絶対に阻止しなければならない」

○工藤美代子(作家)
 「私は今まで自宅でノンフィクションを書いてきた。人の前に立ってお話しすることは、ほとんどなかった。しかし、今回に限っては、人任せにできない。自分も微力ながら、盛り上げたいと思って、本日は参りました」
 「昭和天皇と香淳皇太后の間には、10年間女児ばかり誕生し、側室をと候補まで挙がった。しかし、天皇は『人倫にもとることはしたくない』と言われた。当時は女性天皇、女系天皇など誰も考えなかった。男児誕生をみな願った。その後、今上天皇と常陸宮様がお生まれになった」
 「三笠宮寛仁殿下の慎重に考えてほしいというご意見に、吉川座長は『どおってことない』と言った。失礼を通り越して無礼である」

○荻野貞樹氏(国語学者)
 「旧宮家の復活で、簡単に解決できる。有識者会議は、これに反対し、天皇になるには長い間、帝王学を学ぶ必要があるという。
 しかし、天皇になる資格は血統のみである。仁徳天皇、顕宗天皇、継体天皇、光格天皇など、帝王学をならっていないが、立派な天皇となった方がたくさんいる。帝王学は受けていなくとも、皇位についてから帝徳を身につけられた。血統が正しければ、どなたでも立派な天皇になられるし、国民は喜んでお迎えする」

○小田村四郎氏(皇室問題研究会顧問)
 「終戦の時は、『国体の護持』が最後の一線となった。国体とは、万世一系の天皇がこの国をしろしめされているということを言う。全権力を持っていたGHQといえども、国体には手を触れられなかった。ところが、いま日本国民の手によって万世一系の伝統が根本的に変革されようとしている」
 「皇室廃止論を唱えてきた共産党、社民党が、有識者会議の答申に賛成している」
 「天皇は男系の男子が継承すると定めた旧皇室典範には、明治天皇のお告げ文が付されている。その中で、天皇は、これは皇祖皇宗のご遺訓である、天皇の御子孫も永久に守るべきことを述べられている。それを変えようとする有識者会議は、無礼千万である」
 「急ぐのは、宮家の存続である。皇室典範研究会(代表・小堀桂一郎東大名誉教授)は、特別立法で、宮家を復活すべきと提案したい。有識者会議は、戦後臣籍降下した旧宮家は、6百年も前にわかれたというが、内親王が嫁いでおられる。明治天皇の子孫となる男子がおられる。」
 「有識者会議は、女性天皇をいうが、女性天皇の配偶者はどうするのか、まったく考えていない。呼び方だけは『陛下』と呼ぶと言う。民間人だった男性をある日から、突如として『陛下』と呼びうるか。ホリエモンでも、内親王と結婚すれば、皇族になってしまう。有識者会議は、不見識である」
 「小泉首相は、有史以来の大変革を、1年足らずの、皇室の専門家もいない有識者の議論だけで、決めようとしている」

○屋山太郎氏(政治評論家)
 「自分は政治記者を長年やり、政治評論家を長くしている。たいていのことは、なにが背後にあるか、見当がつく。ところが今回の皇室の問題については、なぜ小泉首相がこんな急ぐのか、解せない。一体、何があるのか」
 「皇室の問題は多数決ではいかない」
 「大変な問題だが、日本人が伝統について考えるいいチャンスだと思う」
 「愛子様が天皇になると決まれば、雅子様が楽になられるのではないかと考える国民がいる。目先のことしか考えていない。2600年の歴史・伝統を見ずに、目先の感情におぼれて、根本を変えてしまうと言うのは、愚かである」

●参加者により採択された声明(政府に提出される)

 11月24日、「皇室典範に関する有識者会議」は1年に満たない審議を終えて、「女系天皇容認・長子優先」を柱とする報告書を小泉首相に提出した。これを受けて政府は皇室典範改定案を来年の通常国会に上程する方針である。
 報告書の内容を一見し審議の経緯を振り返る時、我々は、有識者会議及びその背後で同会議を方向付けてきた政府の、軽率かつ傲慢な姿勢に強い異議と憤りを禁じ得ない。
 報告書は、皇位継承資格を女性・女系皇族にも拡大するために、125代にわたり男系で一貫してきた皇位継承原則の根本的な改変を主張する。改変の最大の理由として皇位継承の安定化をはかることをあげているが、しかし、男系継承の伝統を大転換することは、皇位の正統性への不信の念を生み出し、むしろ皇位継承制度に巨大な不安定要因を持ち込むことになろう。報告書は、改変の根拠としてさらに、近年の少子化傾向や、家族や男女の役割分担についてのい国民意識の変化などをあげているが、これらは皇位継承制度と次元を異にする事象である。我々は、このような報告書に、皇室の歴史や伝統への畏敬、敬慕の情を感じることができない。
 また、報告書は、元皇族の皇籍復帰など男系継承の伝統を護持するための方法については、「国民の支持と理解を得ることは難しい」と頭から決めてかかり、これを疎略にしりぞけているが、無謀かつ無責任と言うほかない。
 有識者会議の設置にあたっては、政府の皇室典範改正原案なるものの存在が報道されるなど、「はじめに結論ありき」の審議が予想されたが、同時に、案件の重大性に鑑み、それなりに真摯な議論がなされるものとの期待もあった。
 しかし、その甘い期待は見事に裏切られた。審議の経過を振り返りつつ報告書の内容を見る時、有識者会議は政府のお膳立ての上での、中身の無い形式的な存在であったことが、明らかである。政府が本気で報告書に基づく皇室典範改正案を来年の通常国会に提出し、その成立を企図しているとするなら、それは皇室の歴史と国民の良識を無視し愚弄するものである。
 国民は未だ、皇室典範改定に関する政府の明確な趣旨を聞かされていない。そして、国民の多くが女性天皇と女系天皇の違いを理解していない。その結果として、「女性天皇容認」の世論調査の数値が「女系天皇容認」の根拠として報告書に利用されている。これほどの重要問題に関して説明責任を果たさず、また国民の多様な声に耳を傾けない政府の姿勢、まして皇族方の御意向を一切無視する政府の姿勢は言語道断である。形式的な議論のみでいとも簡単に男系継承の根本原則を改変しようとする政府の方針は、断じて許されない。
 以上の通り、皇室典範の改定を急ぐ理由は見当たらないし、決して急いではならない。我々は、政府及び関係機関が、事柄の重大性を十分認識し、取り返しのつかない事態が現出することのないよう慎重の上にも慎重に対処すべきことを強く求めるものである。
 平成17年11月30日
 「皇室典範を考える集い」参加者一同

●参考

「皇位の正統な継承の堅持を求める会」のホームページ
http://hw001.gate01.com/abc123xyz/
私の皇位継承問題に関する小論
http://khosokawa.sakura.ne.jp/opinion05b.htm

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