ちいさなさえずり

柏崎と刈羽の現在の鳥を柏崎の人が柏崎から発信していく。

野鳥方言名 アカショウビン

2016-10-25 05:55:12 | さえずり民俗学

  “さずいどり”や“あまこいどり”という方言名を持ちます。水田に水が必要な時に、南からやって来て独特の“ヒョロロローン”と鳴くことからの“さずいどり”や“あまこいどり”と考えられます。“さずい“は、柏崎周辺では、梅雨時を意味します。“さずいどり”や“あまこいどり”も アカショウビンも、子どもたちを除き、旧高柳町の方たちによく知られていました。この鳥の昔話を話してくれたのは80代の男性でした。

 旧高柳町では、通学や通勤のできる学校や事業所が少なく、多くの若者が高等学校を終えると同時に同地を離れます。旧高柳町には戻らず、都会でその後の生活を送る人が多いです。また、鳥自身も少なくなっていますし、子どもたちの野外活動も減っているそうです。それらのことから、方言を含めた民俗的な事がらの多くが次世代へ伝わりにくくなっているようです。昔話も語られての伝承がなくなり、書かれた記録の中(①)にあるのみとなっています。

 かつてはこの鳥の鳴き声は、農事暦として利用されていましたが、現在の整備された水田と機械化された農法では、この鳥の鳴き声は必要とされていません。現在も梅雨時になるとこの鳥の鳴き声が、棚田周囲の雑木林から聞こえてきます。しかし、多くの農作業者は梅雨の晴れ間を利用して草取りなどを行っていて、アカショウビンの鳴く声に頼ることはありません。

 旧石黒村においては、“さずいどり”の他に“たうえどり”という方言名もありました。田植のタイミングを知らせるという自然暦そのものの命名です。新潟県内では“なんばんどり”や“きょろろ”、“てろろ”という方言名も多かったです。前者はこの鳥の赤い色彩から、後者は鳴き声からきているものと考えられまます。しかし、旧高柳町や柏崎市にはありませんでした。同様に、鳴き声からの“てる”や“きょろろ”も新潟県内にはありましたが、旧高柳町や柏崎市にはありませんでした。旧高柳町や柏崎市においては、この鳥の色彩や鳴き声よりも、農耕との関わりが深かったことからの“さずいどり”、“あまこいどり”という方言名が付けられたと推測します。また、『高柳町史本文編』(②)において、“みずあげどり”を、その習性からの方言名とし、門出集落の収集としていますが、どの鳥かについては、(?)としていました。旧高柳町南側隣接の十日町市旧東頚城郡松代町(③)、及び近隣の上越市旧東頚城郡安塚町(④)において、“みずあげどり”は、アカショウビンの方言名であるとしていることから、“みずあげどり”は、アカショウビンと特定できると思います。

 全国的には、“あまこひどり”(岐阜県)があります。直接の“さずいどり”や“あまこいどり”という表現ではりませんでしたが、同意と考えられる“さんずゐどり”(富山県)、“あまふりどり“(秋田県)、”みづほしどり“(埼玉県)、”みずこひどり“(山梨県)、“みづこい”(静岡県、高知県)、“みづごい”(和歌山県)など(⑤)がありました。いずれも農業が産業の主たる地位を占めているところです。また、色彩や鳴き声からの方言名が多いこともこの鳥の特徴のひとつです(⑥)

 

 

①     :門出郷土誌編集委員会 1972 『門出郷土誌』 門出郷土誌編集委員会

②     :高柳町史編集委員会編 1985 『高柳町史本文編』 高柳町

③     :関谷八郎 1989 「野の鳥」松代町松代町史編纂委員会編『松代町史上巻』表1松代町鳥類目録 

④     :小堺則夫 2004 「鳥類」安塚町史編集委員会『安塚町史民俗・自然編』 安塚町

⑤     :清棲幸保 1952 『日本鳥類大図鑑Ⅰ』 ㈱大日本雄弁会講談社、武藤鉄城 (昭和初期の作品(1984)) 「鳥・木の民俗」『日本民俗文化資料集成 第12巻 鳥・木の民俗、他』 ㈱三一書房、菅原浩、柿沢亮三 1993 『日本鳥名由来辞典』 菅原浩柏書房など

⑥     :清棲幸保 1952 『日本鳥類大図鑑Ⅰ』 ㈱大日本雄弁会講談社

 

ジャンル:
ウェブログ
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« ソリハシシギ | トップ | キジ »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿

さえずり民俗学」カテゴリの最新記事