ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

ガン治療革命 プレシジョンメディシン

2016-11-23 10:48:55 | 健康・医療
先日NHKスペシャルで、表題のガン治療革命という番組が放映されました。

興味があったのですが、この時間他の用事があったため録画しておきました。ところが昨夜もう再放送があり、これはゆっくり見ることができました。

冒頭大腸がんの男性が紹介されましたが、若いころ発症し、手術再発を繰り返し、もう手術不可能という診断を下された患者さんです。この人がプレシジョンメディシンのおかげで、元気に生活していました。

このプレシジョンという言葉は、正確なとか精密なという意味ですが、番組では「精密医療」と訳していました。これだけでは何のことかよくわかりませんが、簡単に言えばガンの遺伝子変異部位を特定し、その変異に合った薬を使って治療するという物です。冒頭の男性も大腸がんの薬ではなく、メラノーマの薬を処方され非常によく効いたようです。

すでにスクラムジャパンという、非常に大きなプロジェクトが始動しているようです。これはガンセンター東病院を中心とした、全国235の病院と15の製薬会社が参加しており、多くのガンの遺伝子解析が進んでいるようです。

私はこの番組を見て非常に感激しました。このようにガンの組織の遺伝子を解析して、遺伝子変異により分類することがガンの治療の最も効果的な方法であろうということは、もう30年も前ですが、私が現役のころから仲間と話し合っていたことです。

このブログでも何回も書きましたように、ガンというのは遺伝子変異による細胞の病気です。ですから一口に肺ガンといっても、変異部位が異なれば違った性質のガンとなり、抗ガン剤が聞いたり効かなかったりしてしまうわけです。しかし日本だけではないのですが、これは肺ガンの薬とか大腸ガンの薬というように、ガンの部位別に薬の開発はされてきました。そのためどんなに優れた抗ガン剤でも、有効率は30%程度しかありません。

これを克服するために、やっと部位別の肺ガン等という分類から、遺伝子変異の部位によるガンの分類という方向性が出てきたわけです。我々が30年まえから望んでいたといっても、当時は技術的に不可能でした。

一つは遺伝子解析技術の問題で、一つのガン細胞の遺伝子を解析するのに、当時は年単位の時間がかかり、費用も膨大なものとなっていました。ですから多くの患者さんのガン細胞の遺伝子解析自体無理なことだったのです。現在はこの番組では1か月程度で解析できるまで、技術が進歩したようです。

もう一つが遺伝子の変異部位が分かっても、それを治療する薬もありませんでした。それが分子標的薬といわれる、新しい薬が開発されてきました。長くなりましたので、分子標的薬については次回に続きます。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿