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ゲノム編集の基礎 その2

2017-07-06 11:32:10 | 健康・医療
前回ゲノム編集という技術の説明の前に、なぜ遺伝子の切断や新たな遺伝子の導入が必要なのかということを書きました。

生命はタンパク質によってその維持・活動を行っているのですが、生体内は無数といってよいほど多数のタンパク質が存在しています。したがってある特定のタンパク質の機能を調べようとしても、それだけを排除したり増やしたりすることは非常に難しく実際的ではありません。

そこでそのタンパク質の設計図とでもいうべき、それをコードしている遺伝子を壊すことによって狙ったタンパク質をなくすことができるわけです。

数十年前遺伝子を切る道具として、制限酵素というものが見いだされましたが、これはある特定の配列のみを切断するもので、なかなか目的とする部位を切ることはできませんでした。そういった中で新たな切断酵素が見つかってきたのです。

これは1900年代を終わりごろから報告され始めましたが、画期的だったのが2012年に報告された「クリスパー・キャス9」というシステムでした。

このクリスパーというのは、細菌の防御システムのことで、細菌がバクテリオファージなどのウイルスに攻撃されると、そのDNAやRNAを切断することによって排除する機構を持っています。この時その切断した遺伝子断片を自分の遺伝子中に組み込み、次にその配列が入ってくると効率よく切断して無害化するというシステムです。

このシステムを利用すると、切断したい配列を組み込んでやることにより、任意の部位での切断が可能となるわけです。以前の切断酵素の部位を特定するためには、そのタンパク質をガイド役として結合させていましたが、キャス9はRNAがガイド役になるためはるかに簡単に作成できるようです。

現在はこういったものを製造する専用の業者もあるようで、何か月もかかっていたものが業者に依頼すると短期間でできるようになり、画期的であっという間に広まったとしています。

ゲノム編集を利用した研究は多くの分野に広がっていますが、実用的になったのは農業分野のようです。この分野では従来遺伝子組み換え技術が使われていましたが、特殊なバクテリアなどを使っても特定な部位を狙った場所に組み込むのはかなり難しかったようです。

国内の研究機関でも日持ちがよく糖度が高いトマトの研究が進んでいるようです。当然医療分野にも利用されており、病気にかかわる遺伝子を壊して発症させたマウスなどが作りやすくなったようです。海外では病気のもとになる遺伝子を変えた細胞を患者に入れて治療する研究も進んでいます。

こういった技術が進歩すると、倫理的な問題なども出てきますが、遺伝子操作の分野は確実に進んでいるようです。

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