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有機化学は何をやっているのか その3

2017-06-15 10:39:15 | 化学
前回「有機化学とは」ということで、具体例としてA(主原料)とB(試薬類)を反応させてC(主成分、目的物)とD(副成分、不要物)を作るケースについて書きました。

前回はこの反応条件や実験装置、簡単な後処理からCを取り出すというところを書きましたが、実はこの精製というのが最も手間のかかる作業になります。

実際の反応実験ではCだけができるというのは少なく、副反応生成物であるC’ができることが多くなります。これはかなり分離しにくく、カラムクロマトグラフィーという操作が必要になり、カラムに担体を詰めて吸着させ、これを溶媒で溶出することになります。

一定量の溶出溶媒を自動的に試験管に分けてくれる、フラクションコレクターという装置を使いますが、ほぼ一日がかりの作業となります。こうやって純粋なCを手に入れるわけですが、これが本当に目的とする構造を持っているかの確認が必要となるわけです。

つまり分析が必要なわけですが、こういった構造を確認する分析装置は非常に種類も多くあります。こういった装置には専属の測定者(オペレーター)がいて測定してくれますが、よく使う装置は自分で取るようになります。当然出てきたデータの解析も自分でしますので、有機化学者は一流の分析化学をマスターすることになるわけです。

これは必須なことですが、いわば自分にとって必要なことですし、一回精製できたら必ずやるという繰り返しの物ですので、自然に覚えていくようです。この時副生成物であるC’も分析しどこが違っているのかを調べ、これが少なくなるような反応条件を考えるわけです。

この分析機器については省略しますが、一つの化合物についてなるべく多くのデータを取っておくことが必要となります。我々は最低限の構造が確認できれば次に進みたくなりますが、その後の特許の出願や雑誌への投稿など考えると、作った時に分析しておくのが最適となります。

例えば化合物の特性として融点というのは必要なものですが、次の工程の役に立つわけではありませんので、後回しになってしまいます。融点測定という操作自身はそれほど難しいものではありませんが、それなりに時間がかかり何化合物もやるのがつい億劫になってしまいます。しかしこういったデータを取るとこまで含めて一つの実験と考えています。

ここまで述べてきたように、有機化学とは反応・精製・分析という3種の工程の流れで出来上がっていますが、実際はその前に最も大変な作業があります。そのあたりを含めて次回に続きます。

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