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環境ホルモン いまだ問題に

2016-10-14 10:41:56 | 化学
カナダの政府機関の研究グループが、北米各地に生息する魚類、鳥類、哺乳類を調査した結果、ほぼ100%の割合で濃度は低いものの環境ホルモンの1種とされるペルフルオロホスフィン酸が検出されたと発表しました。

環境ホルモンというのは正式には内分泌かく乱物質と呼ばれ、たぶん20年ほど前大きく取り上げられました。これは環境中に存在する微量の化学物質が生体に作用し、ホルモンのような働きをすることが見いだされたのです。最初に女性ホルモン様作用がでたことから、環境ホルモンという言葉が一般化したようです。

当時は衛生害虫の非常に良いDDTという殺虫剤の乱用から、地球の汚染という問題に発展し、その後多くの化学物質の性質を調べるようになりました。その結果PCBのような化学物質や色々な農薬類などにこういった作用があることが分かり、微量な化学成分の分析法の発展と共に多くの化学物質がこの環境ホルモンとして取り上げられたのです。

こういった化学物質や農薬類はほとんどが製造中止となり、問題がなくなったわけではありませんが、環境ホルモンという言葉はほとんど聞かなくなっていました。

こういった化学物質の危険性というと当時もかなり怪しいところは多く、例えばノニルフェノールという物質が魚類に対してホルモン様作用を示すと報告されましたが、非常に高濃度の実験で、環境中に存在するであろう量の何万倍という量が使われていました。それでもこのノニルフェノールは現在でも代表的環境ホルモンとされています。

今回の調査対象となったペルフルオロホスフィン酸は1950年代以来、カーペットの染み防止スプレーや焦げ付きにくい調理器具など幅広い製品に使用され、今もカーペット洗浄剤などに使われているようです。なぜこの化学物質が調査対象となったかよくわかりませんが、これは科学的に非常に安定で、環境中ではほとんど分解されないといったことがあるのかもしれません。

また環境ホルモンの大部分は生物濃縮が起きるとされています。生物濃縮とは、化学物質が生態系での食物連鎖を経て、生物の体内に濃縮・蓄積されていく現象です。今回の調査対象との類似のペルフルオロアルカン類はほとんどが2000年代初期に製造中止となっていますので、現在でも使用されている数少ない種類なのかもしれません。

今回の結果は単に多くの生物から検出され、いわば汚染されているということだけでした。あの環境ホルモン問題は、我々化学者にとってはかなり面倒な事項であり、またあまり注目を浴びることが無いよう願っています。
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