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ゲノム編集で血友病の新たな治療の可能性

2017-07-13 10:44:40 | 健康・医療
自治医科大学などの研究グループが、ゲノム編集技術を用いた血友病の治療につながる新しい方法を開発したと発表しました。

血友病は血液の中の血液を固める成分の一つである「凝固因子」の遺伝子異常による病気で、出血が止まりにくいことで様々な症状を引き起こします。私は血友病について、血液中の血液を固める作用をする血小板が少ない病気と思っていましたが、実際は肝臓で作られる凝固因子に問題があるようです。

これまでの治療法は凝固成分を補う注射を定期的に行う方法でしたが、これは患者の身体的、金銭的負担が大きいうえ完治を目的とするものではありませんでした。

そこで研究グループは、血友病のマウスの肝細胞をゲノム編集して、正常な状態に戻す方法を試しました。利用したのは2つの技術で、ゲノム編集の技術として近年爆発的に普及した「クリスパー・キャス9」と。遺伝子を特定の臓器に送り込む運び屋となるウイルスベクター「アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター」を組み合わせたものです。

研究グループは、まず2つの対となるベクターを作成しました。一方には、遺伝子の特定の位置を切る鋏の役割を果たすクリスパー・キャス9を、もう一方には血友病の原因となる遺伝子異常を修復するための遺伝子配列が入っています。

この2つのAAVベクターを血友病のマウスに注射します。まずAAVベクターによってマウスの肝臓へと運ばれたクリスパー・キャス9が、肝細胞の遺伝子の特定の位置を切断します。そこにもう一方の修復用の凝固因子の遺伝子配列が挿入されることで、肝細胞の遺伝子を改変するという仕組みです。

これにより血友病マウスの遺伝子の修復に成功したようです。このブログでもゲノム編集の基礎的なことを書きましたが、今回の実験のように生体の中に入れても正常に機能するというのは驚きです。

私はクローニングした遺伝子や、取り出した細胞に直接作用することで、遺伝子の切断や挿入をすると思っていました。この処置をしたマウスは、血中の凝固因子が最大で正常のマウスの10~20%まで上昇し、出血が止まりにくい症状が改善したようです。

人間の場合では正常の5%程度あれば、日常死活に問題ないとされています。また生まれて間もないマウスでの実験では、成長によってベクターが体内から減少しても、効果が長期間持続することが確認されています。今回の技術を用いることで、特にこれまで困難であった乳幼児期の治療が可能になると期待されています。

研究グループは、今後の検証を進め、一日も早い臨床応用を目指しているとしています。今回のような遺伝子治療が可能になれば、遺伝子異常によって生ずる色々な難病類へも応用が期待できそうです。

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