ごっとさんのブログ

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思い込みから副作用が生まれる?

2017-10-28 10:50:32 | 
思い込みによって症状が軽くなったりするプラセボ効果については、このブログでも何回か書いてきました。

この薬効とは逆に何の薬効もない偽薬でも、思い込みにより副作用が生じるノセボ効果というものもあるようです。

現在薬剤の効果を確かめる最も信頼できる方法が、無作為化の二重盲検試験で、この場合対象者は本当の薬か偽薬のどちらかを投与されますが、投与する方もどちらの薬かわからないようになっています。

これにより新薬を投与されるので効果が出るだろうという精神的な要素が結果を左右するのを防いでいます。人間は精神的な生き物であり、自分の思い込みによって症状を軽くしてしまうという機能があり、これがこのブログの副題にもなっています。

逆に投薬を受けたと思うだけで副作用が出ることがあるようで、これをノセボ効果と呼んでいるようです。これは私も聞いたことがなかったのですが、よくなることは確かにあるのですから、逆に副作用が出てもおかしくないような気もします。

実際にノセボ効果は個人差が激しく、薬剤の副作用を強調する情報はあふれており、こういった情報の影響が大きいようです。

この問題を取り上げ、思い込みがいかに体の反応に影響があるかを調べた研究がドイツ・ハンブルグ大学から発表されました。この研究では、アトピーに対する2種類のクリームの安全性(副作用の有無)を調べる試験を健康な人を対象に行うという設定にしています。

使うクリームはすべて偽薬で、効果も副作用もでないクリームを選んでいます。しかし実験の参加者にはアトピーの薬の試験であることを告げておき、クリームの中身は同じですが、パッケージだけを変えて一目で値段が安い、あるいは高いと思わせるように仕向けています。

このように思い込みを発生させたのち、被験者にコントロール(同じ物)と試験薬の両方を腕に塗ってもらい、知覚過敏がないかどうか試験薬と比較させるのですが、最初に試験薬の温度を上げて試験薬の方が知覚過敏を誘導しているという先入観を植え付けます。

この評価は被験者がどう感じるかではなく、脳と脊髄の機能的MRIを測定し、皮膚からの痛みを感じる感覚神経の活動と、脳の活動を測定して痛みの感覚に、クリームの値段に関する思い込みがどのように作用するかを調べています。

結果としてはちょっと温度を変えて知覚過敏と思い込ませるだけで、ノセボ効果を誘導できるようです。さらにこのノセボ効果は、値段が高いクリームという思い込みによってより強まり、感覚過敏も長く続くという結果でした。

このように、ちょっとしたきっかけで薬に対する思い込みができると、副作用の訴えにつながることがはっきりしました。面白いことに値段が高いとおそらく副作用も強いと考えてしまうことも確認されました。やはり薬の評価は難しいものです。

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