ごっとさんのブログ

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テロメアは「命の回数券」か?

2017-07-09 10:42:22 | 自然
最近染色体の末端にあるテロメアと呼ばれる遺伝子が色々話題になっているようです。

このテロメアというのは、DNAの両末端にあり何の遺伝情報も持っておらず、単に染色体を保護する役割とされていましたが、最近色々な機能が分かってきました。

細胞が分裂する場合は必ずDNAもコピーされますが、最後部分だけはいわば構造上の問題でコピーすることができません。そこに重要な遺伝情報が入っていると不完全なものになってしまいますので、シッポのようなものが付いておりそれが欠けても問題ないような部分をテロメアと呼んでいます。

従って細胞分裂するたびにテロメアは短くなっていくのですが、短くなると分裂の回数が減り、やがて分裂しなくなります。これが細胞の老化と考えられてきました。この辺りが「命の回数券」と呼ばれる所以ですが、私がテロメアに興味を思っていたのは、ガン細胞はテロメラーゼという酵素を作り出し、この短くなるテロメアを伸ばすことができています。

そのためにガン細胞は無限増殖性を手に入れており、テロメラーゼを阻害してやればガン細胞の増殖を止めることができるというストーリーです。この辺りは今回の話題とは関係ありませんので、別なところで書くかもしれません。

このテロメラーゼを通常細胞も持っていることが明らかになってきました。細胞の種類によって異なるようですが、細胞分裂による「引き算」とテロメラーゼによる「足し算」でテロメアの長さが決まるようです。

最近テロメアの短縮とガンや動脈硬化、心筋梗塞、認知症といった病気との関わりが分かってきました。細胞に酸化ストレスや有害物質が作用するとテロメアが短くなり、こうした病気にかかりやすくなるというのです。

また短くなって分裂しなくなった老化細胞からは、炎症の原因となるシグナルが出ることも分かっており、糖尿病や心臓、脳などの全身の様々な病気に関係しているといわれています。テロメアと日常生活との関連も調べられており、睡眠や適度な運動、健全な食事とテロメアの長さとの関係が調べられています。

例えば睡眠は、毎日5~6時間しか眠っていない高齢者のテロメアは短い傾向にあり、7時間以上睡眠をとっている高齢者は中年と同じかやや長いという結果が出ているそうです。このようにテロメアに注目することで、生活習慣と健康状態や病気との関係をより明確につかむことができそうです。

現在は広島大学の技術を基に、テロメアの長さを測定するような企業も出ているようです。私もすでに高齢者になっていますので、テロメアはかなり短くなっていそうですが、自分のテロメアの状態を知っても特に対処法はなさそうですので、測定してみたいという気は起きていません。