ごっとさんのブログ

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キリン 単独種ではなく4種

2016-09-20 10:47:01 | 自然
キリンはこれまで亜種を含む1種類のみと考えられていましたが、研究の結果4種に分けられることが新たに分かりました。

これはドイツの研究グループによるものですが、この結果により一部は保護の対象となる可能性が出てきたと言います。ただし通常の観察つまり見た目では全く区別がつかない種類を、どうやって保護するのか難しいような気もします。

この研究チームはアフリカ全域のキリン190頭から皮膚のサンプルを取り、そのDNAを調べていったようです。キリンの個体数は過去数十年で15万頭から10万頭いかまで減少していますので全体の保護が必要なのかもしれません。

最近はいろいろな動物のDNAを調べる研究が行われていますが、今回のように1種と考えられていたものが遺伝子的には4種類になるというようなこともあるようです。この4種は別種間で交尾することもなく、研究チームによるとこの種類差は「少なくともホッキョクグマとヒグマの差ぐらいある」としています。

キリンというのは非常に面白い動物で、私も昔から興味を持っていました。まずその5mを超える身長です。これだけの高さの全身に血液を送るためには、相当高い血圧が必要で、キリンはこの種の動物の中では高血圧とされています。

しかしキリンがいっぱいに首を伸ばした場合、心臓と脳との高低差は2m以上に及ぶようです。その高さの割にはそこまで血圧は高くなく、色々と研究がされていました。その結果キリンの首の血管には微妙な形の弁がついており、この弁のおかげでそれほど血圧を上げずに、スムースに脳まで血流が届いているようです。

もう一つが立ちくらみの問題です。キリンに立ちくらみがあるかはわからないのですが、脳が一番高いところでは5mもあり、地面の何かを食べたり飲んだりした時とやはり高低差があり、血圧が大幅に変化するはずです。この変化を吸収するためにキリンの脳内には「ワンダーネット」と呼ばれる網目状の毛細血管が張り廻らされています。このワンダーネットがあるために、急激に首を上下させても立ちくらみがないとされています。

そのほかあの細くて長い脚がうっ血しないように皮膚がうまく硬質化しています。このようにキリンはあの体形に適した色々な機構が存在しています。こういった点は進化という観点からでも興味深いものです。キリンの祖先と思われる化石が発見されていますが、首は普通の鹿程度で特に長くはありません。

進化の過程で突然今の長さになったとは考えにくいのですが、中間の長さのキリンの祖先は見つかっていないのです。このように一つの動物でも色々と面白いことは多いのですが、今回のようにDNA解析という手法によりまた新たな発見が出るのかもしれません。