ごっとさんのブログ

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ガン検診と生存率

2016-03-30 10:44:42 | 健康・医療
先日ネットでのニュースとして、ガン検診による早期発見とその後の生存率調査という物が出ていました。

これはガン検診の精度そのものを疑問視するものではありませんが、実際の患者の生存率については、早期発見したからと言ってよくなるわけではないという結果でした。これは複数の大学や医師、腫瘍学者らの研究チームが発表したものです。

彼らはガン患者のうち検診を受けて見つかった患者と、受けていない患者を分け、各々を30年間という長期にわたって追跡調査しました。例えば大腸ガンでは1万人ずつの調査対象を設定したようです。私はいわゆる疫学調査的なものはあまり信用しないのですが、これだけの人数と長期間の調査ですので、ある程度は信頼できる結果かもしれません。

この結果30年間で検診を受けた人の中で大腸ガンにより死んだ人が128人であり、検診を受けなかった人は192人ということで、やはりガン検診の効果がありそうです。しかしこの間の死亡者数は、検診受診者群が7,109人で受けていない人たちが7,111人と全く差がありませんでした。また大腸ガン以外の10種のガンについても同様な調査を行ったようですが、検診を受けた人の死亡率が低かったのは、3種のガンだけだったと言います。

これは予想外といってもよいようです。やはり私もガン検診を受診し早期に発見されれば、完治する可能性は高く、当然長く生きられるような気がしていました。この結果について研究グループは、次のような問題点を指摘しています。

まず第1はガンが発見されて治療する場合は、早期であっても方法はあまり変わらず、患者さんに対してダメージが大きくそのために長生きにはならないというものです。確かに比較的早期発見で、完全に手術によって切除できても、念のため的に化学療法を行うことは多いようです。

次がガンと診断されることの精神的ダメージです。極端な例として、男性が前立腺ガンと診断されると、自殺する人がかなり多いようです。最後が、ガンといっても必ずしも治療する必要がなく、放っておいても問題がないものがあるということですが、これについてはやや疑問です。

この説明ではあまり納得できませんが、この研究チームは(日本ではありません)ガンの早期発見の重要性を訴えたかったのだと思います。このあたりは健康診断という物の捉え方の差もあるようです。日本ではガンも含めた健康診断を受けることは、別に珍しいことではありません。しかし外国では健康なのになぜ検査を受ける必要があるのか、といった風潮があるようです。

こんな結果が出たとしても、ガンは早期発見が治癒につながると信じてもよいような気がします。