100)ウツボグサ(生薬名:夏枯草)の抗エストロゲン作用

図:ウツボグサは夏に紫の花を咲かせるシソ科の多年草で、生薬名を夏枯草(カゴソウ)と言う。枯れて褐色になった花びらが薬用に使われ、利尿作用や血圧降下作用の他、抗炎症作用や抗がん作用が知られている。強い抗エストロゲン作用があることが報告されている。


100)ウツボグサ(生薬名:夏枯草)の抗エストロゲン作用


ウツボグサは学名をPrunella vulgaris と言い、日本各地や東アジアの温帯に広く分布しているシソ科の多年草です。日当りのよい道ばたや山野の草地に自生し、6~8月ころに長さ3~8cmの円柱状の花穂を立て、紫色で唇形の花が密生します。夏至には全草が枯れてしぼみ、茶色に枯れた花穂が薬用に使用されます。生薬名は夏枯草(かごそう)と言います。
初夏に咲いた紫色の花が真夏に褐色に変化することから夏枯草と言われ、花穂の形が弓矢をいれる「靭(うつぼ)」に似ているためにウツボグサと名付けられています。
夏枯草は利尿作用や消炎作用があり、腫物、浮腫、腎臓炎、膀胱炎、眼の充血、高血圧などに用いられます
硬結を散じる効果があり、乳がん、甲状腺腫、リンパ節腫大などにも利用されています
実際に、抗がん作用のある生薬として、各種のがんの漢方治療に使用されており、基礎研究でも、強い
抗酸化作用抗炎症作用がん細胞増殖抑制作用などが報告されています。
最近の論文に、
夏枯草には抗エストロゲン作用があることが報告されています。
この論文では、子宮内膜症や乳がん、子宮体がんなど、エストロゲンの作用によって増悪する疾患の治療に対して有効である可能性を報告しています。


論文タイトル:
Characterization of Anti-Estrogenic Activity of the Chinese Herb, Prunella vulgaris, Using In Vitro and In Vivo (Mouse Xenograft) Models.(訳)培養細胞とマウス移植腫瘍を用いた実験モデルによる、中国ハーブのPrunella vulgaris(ウツボグサ)の抗エストロゲン活性の研究。Collins NH,他. Biol Reprod. 2008 Oct 15. [Epub ahead of print]
論文要旨:
エストロゲン依存性の子宮内膜がんの細胞株ECC-1を用いて、21種類の中国ハーブ(生薬)について抗エストロゲン活性をスクリーニングした結果、
ウツボグサ(Prunella vulgaris)に最も強い抗エストロゲン作用が認められた
エストロゲンの刺激によって発現が誘導されるアルカリフォスファターゼ活性と、エストロゲンによる増殖促進を、うつぼぐさの抽出エキスは用量依存的に抑制した。エストロゲンで誘導される蛋白質CYR61の発現もうつぼぐさの抽出エキスは抑制した。
この抗エストロゲン作用は、エストロゲン受容体の介した直接的な阻害作用ではなく、aryl hydrocarbon receptor(AHR)を刺激して、エストロゲン刺激伝達系を間接的に阻止する可能性が示唆された。
免疫不全マウスの卵巣を摘出し、ヒトの子宮内膜を移植すると、エストロゲンを投与したときのみ、移植したヒト子宮内膜が増殖する。この実験モデルで、
うつぼぐさの熱水抽出した煎じ液を飲水に混ぜて投与すると、エストロゲン刺激による子宮内膜の増殖や、エストロゲンで誘導されるCYR61蛋白の発現が抑制された
以上のことから、
うつぼぐさの抽出エキスを服用すると、子宮内膜症や乳がん、子宮内膜がんの治療に役立つ可能性が示唆された。


夏枯草の抗がん作用については多くの研究が行われています。
一般にシソ科のハーブには高濃度の
ロズマリン酸が含まれていて、夏枯草にも高濃度のロズマリン酸が含まれています。ロズマリン酸は抗酸化作用が強く、抗炎症、抗アレルギー作用などもあります。  
また、夏枯草の抗炎症作用の活性成分として、トリテルペン類のbetulinic acid, ursolic acid, 2 alpha,3 alpha-dihydroxyurs-12-en-28-oic acid, 2 alpha-hydroxyursolic acidなどが報告されています。
さらに、夏枯草の抽出エキスはエイズウイルス(HIV)の逆転写酵素を阻害してHIVの増殖を阻害する効果が報告されています。
その活性成分は腸管から吸収されることが確かめられており、夏枯草の経口摂取がHIV感染症の治療に効く可能性が示唆されています。

以上のように、
夏枯草は抗炎症作用や抗酸化作用やがん細胞増殖抑制作用があり、さらに抗エストロゲン作用があるため、特に乳がんや子宮体がん、子宮内膜症に効果が期待できそうです

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