
真夜中に起きている、ということが少なくなりました。
11時を過ぎると眠くなってしまうのです。
これこそ加齢のせいなのでしょう。
無理して夜更かしすると次の日がつらいのです。
必要もないのに朝は6時前に起きることにしているのですから…
「役立たぬ順に起きてくる我が家」(蚤助)
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偉大で異色のピアニストだったセロニアス・モンク(1920-82)は作曲家としても素晴らしい才能を発揮し、「RUBY, MY DEAR」「EPISTROPHY」「BLUE MONK」「WELL, YOU NEEDN'T」「STRAIGHT, NO CHASER」「OFF MINOR」ほかのジャズ・スタンダードとなった作品を数多く残しています。
それらの中で最も一般的な人気曲として名高いのが、「'ROUND ABOUT MIDNIGHT」でしょう。
「ジャズに名曲なし、ただ名演あるのみ」というのはよく言われる言葉ですが、これは文句なしにその例外扱いとしてもよいバラード・タイプの美しい名曲です。
この曲にはモンクのほかにクーティ・ウィリアムスの名前もクレジットされているのですが、この曲を世に出した恩人という意味合いもあるのでしょう、トランペット奏者だったクーティ・ウィリアムスの楽団が初レコーディング、彼らはこの曲をテーマ・ソングにしたのでした。
「'ROUND ABOUT MIDNIGHT」というのが正式なタイトルですが、44年にバーニー・ハニゲンが歌詞をつけようとした時、どうも歌詞のおさまりがよくないので、勝手に「ABOUT」をとって「'ROUND MIDNIGHT」と改題してしまいました。
昔から音楽著作権などの知的所有権にうるさいお国柄のアメリカにしては、相当乱暴な話だと思うのですが、そこは何事にも「ABOUT」なジャズの世界のこと、タイトルから「ABOUT」が無くなったって気にする御仁がいるとも思えません(笑)。
ハニゲンは当時レコード・プロデューサーのかたわら作詞家としても活躍していました。
彼の書いた歌詞は「私は日暮れまで元気なのに、一人ぼっちの夕食の頃になると気が滅入ってくる。真夜中ごろには最悪。時計の針が12時を回ると、決まって思い出が蘇ってきて、私の心がまだあなたから離れられないのがわかってしまう。もう耐えられない。それを知っているのは、真夜中、あなただけ…」といった何ともやるせない思いが切々と胸に迫ってくるような内容です。
モンクの書くメロディはどれもきわめて独創的なものでしたが、特にこの作品はしみじみと心に沁みる無駄のない完成されたメロディで、いつまでも後世に残っていくでしょう。

マイルス・デイヴィスは、この曲をオリジナル・クインテットを率いて歴史的な録音を残しています。
マイルス以下のメンバーは、ジョン・コルトレーン(ts)、レッド・ガーランド(p)、ポール・チェンバース(b)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds)という面子でした。
このメンバーで、プレスティッジ・レーベルにマラソン・レコーディングを行ったのですが、1956年5月11日と10月26日の合間にあたる9月10日にメジャー・レーベルのコロンビア(CBS)に録音された「'ROUND ABOUT MIDNIGHT」というアルバムは、特に異彩を放っています。

[A] 1. 'Round Midnight / 2. Ah-Leu-Cha / 3. All Of You
[B] 1. Bye Bye Blackbird / 2. Tadd's Delight / 3. Dear Old Stockholm
収録曲は全6曲で、どれをとっても素晴らしい演奏ですが、中でもこのアルバム・タイトル曲のA-1は突出しています。
マイルスのシルキーなミュートと、まとわりつくようなコルトレーンのオブリガートが、文字通り真夜中の雰囲気を色濃く漂わせ、時に耳をつんざくようなマイルスのミュートの高音が次第に緊張感を高めていきます。
ガーランドの消え入るばかりの密やかなピアノに続いて、闇を切り裂くファンファーレのようなアンサンブルとドラマティックなコルトレーンのテナー・ソロが続きます。
エンディングは、マイルスのミュートとコルトレーンのオブリガードで再び夜の静寂へと帰っていきます。
実にドラマティックに演出されたアレンジですが、担当したのはギル・エヴァンスで、この後、マイルスとのコラボレーションでその才能を大きく開花させていくことになります。
余談ですが、フランスのベルトラン・タベルニエが監督し、パリを舞台にジャズマンと彼のファンであるデザイナーの友情を描いた映画「ラウンド・ミッドナイト」(1986)で、テナーのデクスター・ゴードンが主人公のジャズマンを実に巧みに演じました。
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真夜中は、あの世に最も近い時間だと言います。
あるいは、先に逝った人に最も近づける時間、彼岸の人が最も身近になる時間でもあるかもしれません。
歌人の吉野秀雄は、先立たれた夫人にあの世でいいからもう一度妻に会いたいと願い、あの世というものがもしないとしたら自分が作ってやると考えたそうです。
無名の一介のサラリーマンにすぎない蚤助だって、真夜中ごろにはこんなことを考えたりするのです。
「あの世でまた女房に会うのだったら、この世で恥ずかしい生き方はできない」
なんてね…
11時を過ぎると眠くなってしまうのです。
これこそ加齢のせいなのでしょう。
無理して夜更かしすると次の日がつらいのです。
必要もないのに朝は6時前に起きることにしているのですから…
「役立たぬ順に起きてくる我が家」(蚤助)
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偉大で異色のピアニストだったセロニアス・モンク(1920-82)は作曲家としても素晴らしい才能を発揮し、「RUBY, MY DEAR」「EPISTROPHY」「BLUE MONK」「WELL, YOU NEEDN'T」「STRAIGHT, NO CHASER」「OFF MINOR」ほかのジャズ・スタンダードとなった作品を数多く残しています。
それらの中で最も一般的な人気曲として名高いのが、「'ROUND ABOUT MIDNIGHT」でしょう。
「ジャズに名曲なし、ただ名演あるのみ」というのはよく言われる言葉ですが、これは文句なしにその例外扱いとしてもよいバラード・タイプの美しい名曲です。
この曲にはモンクのほかにクーティ・ウィリアムスの名前もクレジットされているのですが、この曲を世に出した恩人という意味合いもあるのでしょう、トランペット奏者だったクーティ・ウィリアムスの楽団が初レコーディング、彼らはこの曲をテーマ・ソングにしたのでした。
「'ROUND ABOUT MIDNIGHT」というのが正式なタイトルですが、44年にバーニー・ハニゲンが歌詞をつけようとした時、どうも歌詞のおさまりがよくないので、勝手に「ABOUT」をとって「'ROUND MIDNIGHT」と改題してしまいました。
昔から音楽著作権などの知的所有権にうるさいお国柄のアメリカにしては、相当乱暴な話だと思うのですが、そこは何事にも「ABOUT」なジャズの世界のこと、タイトルから「ABOUT」が無くなったって気にする御仁がいるとも思えません(笑)。
ハニゲンは当時レコード・プロデューサーのかたわら作詞家としても活躍していました。
彼の書いた歌詞は「私は日暮れまで元気なのに、一人ぼっちの夕食の頃になると気が滅入ってくる。真夜中ごろには最悪。時計の針が12時を回ると、決まって思い出が蘇ってきて、私の心がまだあなたから離れられないのがわかってしまう。もう耐えられない。それを知っているのは、真夜中、あなただけ…」といった何ともやるせない思いが切々と胸に迫ってくるような内容です。
モンクの書くメロディはどれもきわめて独創的なものでしたが、特にこの作品はしみじみと心に沁みる無駄のない完成されたメロディで、いつまでも後世に残っていくでしょう。

マイルス・デイヴィスは、この曲をオリジナル・クインテットを率いて歴史的な録音を残しています。
マイルス以下のメンバーは、ジョン・コルトレーン(ts)、レッド・ガーランド(p)、ポール・チェンバース(b)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds)という面子でした。
このメンバーで、プレスティッジ・レーベルにマラソン・レコーディングを行ったのですが、1956年5月11日と10月26日の合間にあたる9月10日にメジャー・レーベルのコロンビア(CBS)に録音された「'ROUND ABOUT MIDNIGHT」というアルバムは、特に異彩を放っています。

[A] 1. 'Round Midnight / 2. Ah-Leu-Cha / 3. All Of You
[B] 1. Bye Bye Blackbird / 2. Tadd's Delight / 3. Dear Old Stockholm
収録曲は全6曲で、どれをとっても素晴らしい演奏ですが、中でもこのアルバム・タイトル曲のA-1は突出しています。
マイルスのシルキーなミュートと、まとわりつくようなコルトレーンのオブリガートが、文字通り真夜中の雰囲気を色濃く漂わせ、時に耳をつんざくようなマイルスのミュートの高音が次第に緊張感を高めていきます。
ガーランドの消え入るばかりの密やかなピアノに続いて、闇を切り裂くファンファーレのようなアンサンブルとドラマティックなコルトレーンのテナー・ソロが続きます。
エンディングは、マイルスのミュートとコルトレーンのオブリガードで再び夜の静寂へと帰っていきます。
実にドラマティックに演出されたアレンジですが、担当したのはギル・エヴァンスで、この後、マイルスとのコラボレーションでその才能を大きく開花させていくことになります。
余談ですが、フランスのベルトラン・タベルニエが監督し、パリを舞台にジャズマンと彼のファンであるデザイナーの友情を描いた映画「ラウンド・ミッドナイト」(1986)で、テナーのデクスター・ゴードンが主人公のジャズマンを実に巧みに演じました。
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真夜中は、あの世に最も近い時間だと言います。
あるいは、先に逝った人に最も近づける時間、彼岸の人が最も身近になる時間でもあるかもしれません。
歌人の吉野秀雄は、先立たれた夫人にあの世でいいからもう一度妻に会いたいと願い、あの世というものがもしないとしたら自分が作ってやると考えたそうです。
無名の一介のサラリーマンにすぎない蚤助だって、真夜中ごろにはこんなことを考えたりするのです。
「あの世でまた女房に会うのだったら、この世で恥ずかしい生き方はできない」
なんてね…










素晴らしい演奏に痺れています。
特に、「Round Midnight」、繰り返し聴いてしまいました。
しばらく聴き込んでみようと思います。
それにしても、最後のお言葉の「あの世でまた女房に会うのだったら、この世で恥ずかしい生き方はできない」、素晴らしい!
これにも感動してしまいました。
本当に何度聴いても痺れる演奏でした。
なかなか研究熱心ですね。
感心しています。
大いにマイルスも楽しんでください。