けろっぴぃの日記

最近、政治のことをはじめとして目を覆いたくなるような現状が多々あります。小さな力ですが、意見を発信しようと思います。

国際司法裁判所に「日本の領土に中国が防空識別圏を設定した」と訴えろ!

2013-11-24 18:11:16 | 政治
昨日の夜9時前頃、NHKのニュースを見ていたら、中国国防省が尖閣諸島上空を含む東シナ海に防空識別圏を設定したとのニュースが報道されていた。小野寺防衛相が、この中国の行動は非常に危険な行動であることを非難すると共に、外務省では駐日大使に電話で抗議したとの話だった。テレビでニュースを見て検索をかけたが、日本の新聞は比較的反応が鈍いようだった。ただ、産経新聞だけは気合の入り方がちょっと違っている。タイムスタンプも含めて記事を羅列してみる。

(1)産経ニュース2013年11月23日12:39「中国、尖閣上空に『防空識別圏』日本と重複…空の緊張必至
(2)産経ニュース2013年11月23日21:22「米政府筋は懸念表明 中国の尖閣上空に防空識別圏設定で 対中抑止機能せず
(3)産経ニュース2013年11月23日21:45「中国『強兵路線』に 防空識別圏設置、政権求心力高める狙いか
(4)産経ニュース2013年11月24日00:36「中国の尖閣防空識別圏設定 警戒強める日本政府 不測の事態に発展も 遠のく関係改善
(5)産経ニュース2013年11月24日00:58「日本政府が中国に厳重抗議 防空識別圏設定で 防衛相『大変危険な行為』
(6)産経ニュース2013年11月24日03:31「主張 防空識別圏 中国は挑発の責任負うか
(7)産経ニュース2013年11月24日08:46「米、中国に『強い懸念』防空識別圏設定で伝達
(8)産経ニュース2013年11月24日10:54「防空識別圏、高村氏『中国に抗議すべき。一触即発回避を』

短時間の間に凄まじい勢いで情報発信している。この辺が今回の事態の重要性(少なくとも産経新聞はその様に認識している)を物語っている。ちなみに国外の新聞でもこの辺は報道されており、例えばウォールストリートジャーナルなどでも下記の様に報じられている。

ウォールストリートジャーナル 2013年11月23日「中国、尖閣上空など東シナ海に防空識別圏設定
ウォールストリートジャーナル 2013年11月23日「中国、尖閣上空などに防空識別圏設定―日中の軍用機衝突の恐れ

ここで、今回の事態がどの程度深刻かは少し冷静に判断してみたい。防空識別圏と言う言葉がイマイチなじみが薄い言葉なのでWikipediaで調べると、通常は領土から12海里に設定される「領海」に対しては領土と同等の権利が認められ、「領空」は領海の上空に設定される。しかし、12海里という距離は、航空機の飛行速度が超音速を超えた現在では、領空侵犯から領土に達するまでの時間があまりにも短いため、防空的な視点ではさらに領空の外側に防衛ラインを設定し、そのラインを超えた時点でスクランブル等の緊急対応が実施される。つまり、防衛上の必要性からくる「領域」ではあるが、国際法的に認められた確固としたものではない。その意味では、領土問題のない国と国の間でも、防空識別圏の重複は論理的にはあり得る話である。実際、今回中国が設定した防空識別圏の多くの部分は尖閣諸島を基点としたものではなく、(仮に尖閣諸島を日本領と承認したとしても)純粋に中国領を基点にした防空識別圏が設定されたとしても日本の防空識別圏と重複する事態は避けられない。この様な問題が今までは問題とならずに今回急に表立ってしまたのは、元々はこの空域には日本のみが防空識別圏を設定していたのであり、これまでは中国は防空識別圏を設定していなかったがためである。

逆に何故中国は防空識別圏を設定していなかったのかが疑問だが、この辺の背景は調べたが見つからなかった。あくまでも私の予想だが、当初、沖縄がアメリカの占領下にあった時、アメリカは沖縄を基点とした防空識別圏を設定していたのだと予想する。その後沖縄が日本に返還された後でも、日本はそのアメリカの設定した防空識別圏を引き継いで、沖縄駐留の米軍基地と合わせて、日米両国がこの防空識別圏を有効活用していたのだと思う。この当時の中国はまだまだ国力が(アメリカと対抗するには)劣っていたから、防空識別圏で対立する相手が日本に変わっても、日米同盟でアメリカの息のかかった日本に異を唱えることはしなかった。尖閣の領土問題自体は1972年以降になって中国が異を唱え始めたが、日本の尖閣を含む防空識別圏にこれまで異を唱えていなかったのは、尖閣の領土問題に本気で取り組んではいない表れだったのだと思う。それが今回は「本気」に変わったということなのだろう。中国の軍関係者の間では、それなりに前から(尖閣の領土問題以前の問題として)防空識別圏の設定の議論はされていたようで、日本の政府関係者も今回の件は「想定の範囲内」として冷静に見ているようだ。上記の産経新聞の(5)のニュースでも、昨日、この防空識別圏に合わせて中国軍機が日本に飛来したが、それでも尖閣周辺の領空を侵犯してはいない。この意味でも、中国はエスカレーション自体は「達磨さんが転んだ攻撃」の様に、亀の歩みでゆっくりと日本の主張に楔を打ち込み、気が付くと相当食い込んだ状態となっているという作戦なのだろう。

ところで、今回のニュースで一点、気になったことがあった。それは、中国大使への抗議が電話でなされたという点である。上記の記事の中では、外務省からの抗議は電話で行われ、明日の25日に実際に大使を呼び出して厳重に抗議するとなっている。私の感覚では、「何故、即座に呼び出さないのか?」と疑問に思ってしまうのだが、この辺が中国のしたたかさなのかも知れない。この防空識別圏の設定の効力は昨日の朝10時よりとなっており、本来であればそれを知らずに民間の航空機がこの空域に侵入した場合には危険が大きいから、事前に余裕をもって主知徹底するのが筋なのだと思う。しかし、ワザと週末(しかも、日本では祝日)に急遽発表し、電話で大使を呼び出そうとしたら「週末なので対処できない。週が明けたらお伺いする。」と開き直った回答を受けたのではないかと思う。丹羽前大使が呼び出されて、深夜に中国外務省に出向いた話は有名だが、勤勉なビジネスマン上がりの日本人が適切な対応が出来ず、結果としてあたかも中国が日本の宗主国であるかの様に演出してしまった。今回はその逆を行く演出なのだろう。

しかし、日本としても手をこまねいている訳にはいかない。反撃に出なければならない。しかし、力に対して力で反撃するのは賢明ではない。上記の(7)の記事にもあるように、アメリカも素早い反応で中国を非難したが、その他のイギリス、フランスなどの国々の力も借りて、世界に向けて中国の行動に対し「強制力による解決」に反対の立場を表明してもらえばよい。なお、ここでの「強制力による解決」に対する真逆の考え方が「法の下の支配」であり、日本はここでこのカードを切るべきだと思う。つまり、尖閣諸島の領土問題を国際司法裁判所に提訴するのではなく、日本の領土である尖閣諸島上空に防空識別圏を設定した行為に対し、国際司法裁判所での裁定を申し出るのである。尖閣諸島を実効支配している日本の立場としては、尖閣諸島を「紛争地」と認めることは決してできない。だから、領土紛争として尖閣問題を国際司法裁判所に提訴することは絶対にできない。しかし、今回の場合には尖閣諸島を日本の領土という前提で裁判に訴えるのだから、日本としては中国の主張に一歩も譲歩することなしに問題提起をすることが出来る。中国としてはその様な裁判は認めにくいが、少なくとも「尖閣は中国領」と洗脳されている中国国民は「待ってました!」「この機会に日本をやっつけろ!」と思うに違いない。中国政府もこの問題を黙殺することは出来ず、国際世論が裁判の受諾を認めるように中国に迫るだろう。

非常に危険な香りのする今回のニュースだったが、物事は冷静に考えて相手の戦略とは非対称な対応で相手を撃破するのが賢明である。是非とも国際司法裁判所に提訴して欲しい。

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