けろっぴぃの日記

最近、政治のことをはじめとして目を覆いたくなるような現状が多々あります。小さな力ですが、意見を発信しようと思います。

消費税増税が毎年1%刻みになるという理由

2013-09-04 23:36:29 | 政治
先週土曜のBS朝日の激論・クロスファイアで、消費税増税の是非について高橋洋一氏と池田信夫氏が議論を交わしていた。今日はその話題を枕にして消費税増税についてコメントしたい。

さて、先ほどの番組の話であるが、細かなところは忘れてしまったので誤ったことを書くかもしれないがご容赦願いたい。テレビでの議論ではまず最初に、池田信夫氏が「消費税増税に関する誤解」を説明していた。池田氏曰く、我々はテレビや新聞で、1998年の橋本政権下での消費税増税(3%→5%)において、結局税収は伸びずに下がってしまったと刷り込まれ、如何にもそれが正しいと錯覚しているところであるが、実際にはそれが誤りだと主張する。何のグラフを用いて説明をしていたかすら忘れてしまったが、景気動向的な指標でみると、消費税増税の前後で大きな落ち込みがあり、一旦は回復したかに見えるが、その後にだらだらと失速の道を歩んだというデータである。しかし、その消費税増税直前の四半期と直後の四半期の間の落ち込みは直前の駆け込み景気とそのリバウンドという見方で説明が可能であり、駆け込み直前の四半期と、リバウンドを乗り越えた次の四半期のデータで比較するとほぼ同等であるという。その後の落ち込みは金融危機の影響をモロに受けたものであり、消費税導入の直接の結果として解釈するのは無理があり、結局、消費税が景気を冷やして結果として税収が落ち込むという主張は間違いだと説明した。

これに対して高橋洋一氏のご指摘は説得力がある。先ほどの池田氏の説明はその通りであるが、その様になった理由は景気の落ち込みを気にして財政出動し、結果的に税収で見ればプラス/マイナス・ゼロという対策を打ったからの結果であり、実質的に増税ではないのだから、駆け込み直前の四半期とリバウンドを乗り越えた次の四半期のデータに差が見られないのは妥当な結果なのだという。しかし、結果として増税分を減税してプラス/マイナス・ゼロとするならば、増減税をしないでそのままにした方が景気にはプラスなのだという。景気を評価するには、主要な指標だけでも15以上も指標があり、それらを総合的に見なければならない。将来的な変化を予測的に示す指標もあれば、実際に消費者レベルで実感できる指標もある。長期的な変化を反映する指標では7割方の指標が景気の好転を示しているが、短期的に消費者が実感できる指標では好感を与えながらもまだ弱みを含んでいる。消費税導入による景気の落ち込みを帳消しにしようと思えば、相当な財政出動を必要とするが、先ほども説明したように、消費税で増税して他方で減税してチャラにするのは効率が悪く、大きなマイナス要因になる。まあ、この様な説明だろう。15以上の細かな指標を全て上げて議論するには時間もなければ素人にはついていけないだろうから、その評価の具体的な部分は検証のしようがないが、専門家が相手なら全てデータを出して議論する準備があるのだから、それなりに説得力がある。

ここで注意をしなければならない点を指摘しなければならない。今回のケースでは、消費税増税分は社会保障のために利用することになっている。これを忘れてはならない。つまり、社会保障の財源に増税した分に対し、社会保障とは関係ない公共事業などで消費者に還元しようというのだから、それは単純にプラス/マイナス・ゼロにはなっていない。異なる財布に入ったお金を見て安心して、別の財布で大盤振る舞いをしている状況に他ならない。例えて言えば、祖父母が孫の教育資金を贈与してくれたことをいいことに、息子夫婦が贈与された分だけ浪費を増やしてしまったことに似ている。個別の財布内でバランスを取るならば弁解も出来るかも知れないが、異なる財布をどんぶり勘定で一緒くたにしているのだからどこかおかしい。消費税増税を見送ることは、国際金融市場が日本の財政持続可能性に疑問を呈し、アベノミクスに対する批判が増えたり国債が暴落するなどのリスクに直結すると主張する人が大半だが、社会保障費のお財布に溜め込んだお金で更なる浪費を決め込んだとなれば、これもまた国際金融市場が日本の財政持続可能性に疑問を呈することに繋がるリスクを伴う。デフレ脱却のための財政出動までは国民も納得の上でのものだろうが、それをいいことに調子に乗って限度をわきまえない浪費をしようと言うなら、それは民主党政権時代のばら撒きと差がないことを誰もが認識するだろう。テレビでは、一場面だけを切り取って報道していたのでその真意は良く分からないが、自民党の町村信孝氏が来年度予算概算要求が膨大な額に膨れ上がったことを大喜びし、派閥議員に「みなさん、どうぞ族議員になって下さい!」とのたまう姿を映して批判していた。本意は分からないが、町村氏の意図とは関係なく、たくさんの予算を取ってきて選挙区民に還元し、利益供与をして次の選挙を優位に戦おうと勘違いした議員が多くいたことは間違いないだろう。一部の心無い自民党議員が、今回の増税を自分の選挙に結び付けて悪用しようと考えているのは疑いもない。だから、消費税増税とセットで財政出動をしないと景気の腰折れになるし、財政出動するとばら撒きになるというのだから、どちらに転んでも地獄なのである。

私のブログでは、実は昨年の3月末(1年半前)に「こんな消費税増税法案は如何だろうか?(毎年1%ずつ増税してみたら・・・)」を提案していたのだが、この地獄を回避する道はこの1%づつの増税しか手がないのではないかと思う。幸いにも、(消費税がいきなり3%も増加しなければ)アベノミクスの効果は来年の夏ごろには消費者が実感できるレベルになっているものと予想されている。1%づつ刻みながら増税すれば、その増税による落ち込みの速度よりも、アベノミクスによる景気回復の速度の方が追い越すだろうから、結果的には景気回復は腰折れせずに順調に進むことになるだろう。

この1%刻みの増税案は財務相系の人々が「不可能」と言っているが、私はこれに対しては楽観的に見ている。まず、昨年の消費税増税法案の景気弾力条項を見てみるとその答えが分かる。

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消費税率の引上げに当たっての措置(附則第18 条3項)
この法律の公布後、消費税の引上げに当たっての経済状況の判断を行うとともに、経済財政状況の激変にも柔軟に対応する観点から、第二条及び第三条に規定する消費税率の引上げに係る改正規定のそれぞれの施行前に、経済状況の好転について、名目及び実質の経済成長率、物価動向等、種々の経済指標を確認し、前項の措置を踏まえつつ、経済状況等を総合的に勘案した上で、その施行の停止を含め所要の措置を講ずる。
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最後の部分に注目して頂きたい。「経済状況等を総合的に勘案した上で、その施行の停止を含め所要の措置を講ずる」とある。施行の停止があるのであれば、引き揚げ税率を縮小するのもありなのはもっともな話である。しかも、これは財務相にとっても決して悪い話ではない。誰もが知っていることであるが、消費税率は決して10%が上限ではない。いつかは20%程度まで引き上げなければならないことを誰もが知っている。しかし、その引き上げの都度、この様なすったもんだがあったのでは、とてもではないがゴールになどたどり着ける訳がない。今回の安倍政権のアベノミクス景気といい、法案自体が3党合意の結果で誰もが文句を言えないはずという好条件が揃ってさえ(増税の最終判断に多くの人がいちゃもんをつける)この状況なのだから、当然ながら将来的な20%への増税など夢のまた夢である。しかし、1%づつ消費税増税を5年続ける実績を勝ち取ったならば、しかもアベノミクスで増税と共に税収大幅アップの実績を勝ち取ったならば、10%の先の「1%刻みのさらなる消費税率アップ」にとってもプラスの好材料となる成功例そのものである。財務省がこの様な甘い囁きに乗らないはずがない。今は、既定路線だから突っぱねているだけで、この様な背景に気が付いた時点で、全員一致で1%刻みを支持するのではないかとさえ思う。

今回、有識者60人に対してヒヤリングを行ったが、大多数は既定路線での増税賛成だったはずである。しかし、デフレ脱却を完璧に実現するためには、さらに石橋を叩いて渡るリスクマネージメントも求められるし、急激な増税による消費者の負担に配慮するポーズを示すことにもなる。納税者番号制度など、増税に対する納税者への公平性を担保するための法案が追い付いてきていない状況を考えれば、増税の歩みをのろめて、低所得者への給付などを実現するのに必須となる制度を固め、一方で脱の取りっぱぐれを回避することで税収も改善する道を歩めば良い。

結論は、消費税率1%刻みでの増税に落ち着くというのが私の予想なのであるが、結論はどうなることか・・・。

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