最近、日本維新の会の支持率が落ちてきている。面白いことに、様々なマスメディアで支持率が発表されるのであるが、2%から10.7%までと5倍以上の差がある。自民党の支持率も20%から30%程度の幅があるが、流石に1.5倍である。ここまでの誤差はエラーバーの範囲を超えているので、統計的な誤差とは説明がつかず、恣意的な何かが含まれていると考えるのが妥当なのだろう。それが何かは別に興味はないが、それぐらいマスコミの中には橋下市長を快く思わない集団がいるのは事実である。そうした中で、政党要件を満たすために現職国会議員を取り込む行為は、彼らにとって非常に格好の攻撃材料だった。日本維新の会をひいきにしている私が見ても、国会議員団と呼ばれる人々はとても志を同じくする人とは見えない。沈みゆく泥船から逃げ出したネズミの様な存在である。だから、暫くは維新バブルが下火になるのは事実だろうが、橋下市長はどうもこの辺は織り込み済みのように振舞っている。何らかの戦略があるのかも知れない。
そんな中で、支持率に一喜一憂するのは愚の骨頂であり、民主党と自民、公明の間で解散時期をめぐり揉めている間に、維新八策およびマニュフェストの完成度を上げていけば良いのである。その様な意味で、たった一つではあるが提言をさせて頂きたい。それは憲法改正要件についての提案である。
維新八策では、例えば首相公選制や参院の廃止&1院制(正確には、地方自治体の首長が議員を兼職する院)など、憲法改正を必要とする政策が幾つかある。これがハードルの高さだと指摘する向きがあるが、これに対しての橋下市長の答えは、憲法改正要件である衆参での国会議員の2/3以上の同意という条件を、1/2に引き下げるという提案をしている。これは確かに筋は良いのだが、一抹の不安を感じている人は少なくないはずだ。政権が変われば既に決まっている法律をチャラにすることは可能である。国家間の約束とも言うべき普天間飛行場の辺野古移設も、政権が変わればチャラにできた。しかし、国民の基本的人権など、その時の気分で簡単に変えられては困るというルールは数多くある。憲法とはその様な最低限の防御線を担保するための武器でもあった。そして、この2/3以上という条件が日本国憲法の改正を66年にも渡り阻止していた。というより、憲法改正に必要な国民投票のための法案ですら、安倍政権下で60年を経て成立したぐらいだから、自民党が安定政権を築いていた時代を含めて憲法改正が如何に現実味を帯びていなかったかが良くわかる。しかし、このハードルが1/2になると、途端に憲法改正は現実味を帯びる。決められない政治を打開するためのグレートリセットというのは大義名分としてもっともらしいが、それは逆に言えばヒトラーの様な独裁者が現れた時のブレーキを手放すことになる。これは幾らなんでも許容できないという人は多いはずだ。
そこで提案である。憲法改正の条件を以下の様にしてはどうだろうか?
【現行憲法96条】
「この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。(後略)」
【改正私案96条】
「この憲法の改正は、各議院の総議員の二分の一以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その三分の二以上の賛成を必要とする。ただし、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議する場合には、国民投票又は投票において求められる条件を、その過半数の賛成にまで緩和する。(後略)」
つまり、「衆参両院で2/3以上」AND「国民投票の1/2以上」という唯一の条件を、(1)「衆参両院で2/3以上」AND「国民投票の1/2以上」、又は(2)「衆参両院で1/2以上」AND「国民投票の2/3以上」という条件にするのである。現在の日本維新の会の提案は、「衆参両院で1/2以上」AND「国民投票の1/2以上」であるから、その違いは分かるだろう。
さて、この提案の狙いは以下の通りである。例えば、憲法ではないが「国会議員の定数半減」の様な提案に対し、多くの国民は賛同して多数の賛成が集めやすいが、国会では賛同を得難い。逆に、国民が好まないが絶対に国家として必要な政策など、言葉は悪いが「権力側が求める提案」に対しては危機感を実感する国会議員の方が賛成を集めやすいが、国民の賛成は逆に得難い傾向がある。大きく分ければ、この様なふたつの側面が憲法改正には伴うと思われるが、その一方だけをケアする現状のルールでは、本来ならば必要な改正も硬直して動かなくなる可能性が高い。だから、最後の最後のブレーキとしての機能は残し安易な憲法改正を阻止しながらも、必要な改正には道を開く新たなルールが必要だと思う。
私の提案はその様な狙いから来るものである。如何だろうか?日本維新の会と自民党の関係者には、一考の価値はあると思う。
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そんな中で、支持率に一喜一憂するのは愚の骨頂であり、民主党と自民、公明の間で解散時期をめぐり揉めている間に、維新八策およびマニュフェストの完成度を上げていけば良いのである。その様な意味で、たった一つではあるが提言をさせて頂きたい。それは憲法改正要件についての提案である。
維新八策では、例えば首相公選制や参院の廃止&1院制(正確には、地方自治体の首長が議員を兼職する院)など、憲法改正を必要とする政策が幾つかある。これがハードルの高さだと指摘する向きがあるが、これに対しての橋下市長の答えは、憲法改正要件である衆参での国会議員の2/3以上の同意という条件を、1/2に引き下げるという提案をしている。これは確かに筋は良いのだが、一抹の不安を感じている人は少なくないはずだ。政権が変われば既に決まっている法律をチャラにすることは可能である。国家間の約束とも言うべき普天間飛行場の辺野古移設も、政権が変わればチャラにできた。しかし、国民の基本的人権など、その時の気分で簡単に変えられては困るというルールは数多くある。憲法とはその様な最低限の防御線を担保するための武器でもあった。そして、この2/3以上という条件が日本国憲法の改正を66年にも渡り阻止していた。というより、憲法改正に必要な国民投票のための法案ですら、安倍政権下で60年を経て成立したぐらいだから、自民党が安定政権を築いていた時代を含めて憲法改正が如何に現実味を帯びていなかったかが良くわかる。しかし、このハードルが1/2になると、途端に憲法改正は現実味を帯びる。決められない政治を打開するためのグレートリセットというのは大義名分としてもっともらしいが、それは逆に言えばヒトラーの様な独裁者が現れた時のブレーキを手放すことになる。これは幾らなんでも許容できないという人は多いはずだ。
そこで提案である。憲法改正の条件を以下の様にしてはどうだろうか?
【現行憲法96条】
「この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。(後略)」
【改正私案96条】
「この憲法の改正は、各議院の総議員の二分の一以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その三分の二以上の賛成を必要とする。ただし、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議する場合には、国民投票又は投票において求められる条件を、その過半数の賛成にまで緩和する。(後略)」
つまり、「衆参両院で2/3以上」AND「国民投票の1/2以上」という唯一の条件を、(1)「衆参両院で2/3以上」AND「国民投票の1/2以上」、又は(2)「衆参両院で1/2以上」AND「国民投票の2/3以上」という条件にするのである。現在の日本維新の会の提案は、「衆参両院で1/2以上」AND「国民投票の1/2以上」であるから、その違いは分かるだろう。
さて、この提案の狙いは以下の通りである。例えば、憲法ではないが「国会議員の定数半減」の様な提案に対し、多くの国民は賛同して多数の賛成が集めやすいが、国会では賛同を得難い。逆に、国民が好まないが絶対に国家として必要な政策など、言葉は悪いが「権力側が求める提案」に対しては危機感を実感する国会議員の方が賛成を集めやすいが、国民の賛成は逆に得難い傾向がある。大きく分ければ、この様なふたつの側面が憲法改正には伴うと思われるが、その一方だけをケアする現状のルールでは、本来ならば必要な改正も硬直して動かなくなる可能性が高い。だから、最後の最後のブレーキとしての機能は残し安易な憲法改正を阻止しながらも、必要な改正には道を開く新たなルールが必要だと思う。
私の提案はその様な狙いから来るものである。如何だろうか?日本維新の会と自民党の関係者には、一考の価値はあると思う。
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