けろっぴぃの日記

最近、政治のことをはじめとして目を覆いたくなるような現状が多々あります。小さな力ですが、意見を発信しようと思います。

本当のことを知りたい!(消費税増税の必要性)

2012-03-03 18:44:16 | 政治
野田首相と谷垣総裁が密会したとかしなかったとか、そんなことが話題になっている。別に政治家同士が目的の遂行のために会って話をするのは至って当然な話であり、物事を円滑に進める上でのテクニックを駆使して責められるのは筋違いである。ただ、この二人が会うということは消費税増税法案の採決に係わることでの相談以外にはないので、いよいよ消費税増税法案が採決されることになる。今日は、その増税法案に対する素人なりの整理を試みる。最初に断っておくが、経済に関しては大学の授業でも高校の授業でも学んだ記憶はないので、色々と誤っていることがあるかも知れない。その点はご容赦願いたいが、それなりに考えながら思っていることを書かせて頂く。消費税増税の是非に関しては、政治家よりも信頼できる多くの専門家も好き放題言っていて、しかも真逆の発言が拮抗しているので、本当のところはどうなんだろうと思い、自分なりに整理してみた。

まず、当然のことであるが増税賛成派の根底にあるのは、ギリシャと同様に日本も国家破綻が起きるのではないかというリスクを重視し、その前に増税により税収を上げて対応しなければならないという考え方である。社会保障費だけでも毎年1兆円ずつ増加するというくらいだから、景気が回復してもいつかは増税しなければ追いつかない。特に、今は団塊の世代が年金暮らし&高齢化する時期だから、この最も事態が急速に悪化する10年間をどう乗り切るかは待ったなしである。その間にギリシャと同様の国家破綻にならないと何故言えるかと言えば、誰も答えられない現実がある。

一方で、消費税増税反対派の根底にあるのは、「今はその時期ではない」と言うことである。1998年の橋本政権時代の消費税増税では、景気を冷やして結局税収アップにはつながらなかった。今はリーマンショックに引き続きギリシャを中心とする欧州危機があり、さらに輪をかけて東日本大震災と円高が襲っている。この状況での増税は、冷えきった日本経済にトドメを刺すから今ではない・・・ということである。無責任な政治家はここまでで話を打ち切り、勝ち誇った顔をする。ただ、良識のある専門家は当然ながらその先の処方箋の話をする。その処方箋とは、日銀がもっとお金を刷って(物理的に刷るのではなく、市場に供給するという意味)、さらに2%程度のインフレターゲットを定めて管理された緩やかなインフレに誘導するというものである。実際、米国のバーナンキFRB議長の2%インフレターゲット発言に引き続き、白川日銀総裁が1%のインフレターゲットに言及しただけで円高が80円台にまで改善して日経平均株価も値上がりしている。1%では足りないというのが巷での評価ではあるが、それでもマーケットも一応の評価をしている状況である。だから、これが景気回復にそれなりの効果をもたらすのは事実ではあるが、これで大丈夫なのかということにはいささか疑問が残る。

それは何かと言えば、それが本質的な解決にはなっていないと思われる点である。話はややこしいので順番に思うことを述べる。まず、現在の一番の問題はデフレではなくデフレ・スパイラルである。単に物価が下がるだけなら、それ自体は悪いことではない。しかし、そのデフレが負の連鎖を起こし、物価が下がり収益が下がり、経営状態が悪化して給料が下がり、消費が冷え込みモノが売れないからさらに物価が下がる。経営改善のためリストラすると、失業者が増えて更に消費が冷え込み、少ない収入が貯蓄に周り、更にものが売れなくなる。だから、そのデフレ・スパイラルを断ち切るのが最初の処方箋であり、インフレターゲットが取っ掛りなのは分かる。しかし、それは劣悪な状態を「それ以上悪化させない特効薬」ではあるが、病状を回復するまでの効果はない。そこで登場するのがヘリコプターマネー的に、どんどんお金を刷ってバラ蒔けということであるが、それは私の理解では、円の価値を下げて円安誘導を図るというということでしかない。確かに円安には誘導できるが、それはこれまで各国がお札を刷りまくって相対的にドル(を中心とする外貨)の価値が下がり、適正な為替レートからズレていた状況を適正なレベルに戻すに過ぎない。日本がお札をすれば、他国も対抗して更にお金を刷り、チキンゲームのようにもなりかねない。だから、根本的に病気を治療するようなものとは異なり、対処療法で悪い現象だけを抑える処置をしている様にしか見えない。

つまり、高度経済成長の時代のように、巷には物がなくて作れば作っただけ売れ、しかも海外への輸出も幾らでも出来た時代とは異なり、現在は需要自体が頭落ちで、しかも人件費的に海外の製品とは勝負にならないハンディのもとで、既に幻想が冷めた日本のブランドイメージで勝負しなければならない。その様な状況で、言ってみれば本質的には何も変わらないのに、好景気感を誘導するイメージ戦略のような政策で薔薇色の未来がやってくるというほどノー天気ではいられない。ただ、景気動向を好転させるきっかけにはなるので、やること自体には異論はない。

しかし、この時点で或ことを忘れている。それは、900兆を超える借金の金利の問題である。借金がなければ何ら問題はないが、インフレ誘導ということは国債の金利を高める効果があるのは間違いない。一般会計の収入が現在40兆のところ、景気回復で10兆程度改善したとしよう。しかし、話は単純ではないが、仮に900兆の金利が1%上昇すると9兆円なので、収支は殆どチャラである。景気が良くなればプライマリーバランスが黒字化できると散々言っていたのが、景気が良くなっても全然ダメとなれば、日本の格付けが下がり国債の金利がさらに高騰する。さらに1%金利が上がればその時点で収支は大幅なマイナスである。ここまで来ると、既に増税などもっとやり難くなっているだろうから、財政赤字の改善の可能性が更に低くなったと判断されて、さらに格付けが下げられてギリシャ化するのは容易に予想できる。まさに負のスパイラルである。

幸いなことに、東日本大震災後の特需は期待できるから、財政出動をすることで景気の冷え込みをコントロールすれば、短期的には増収にはつながらずとも、最も恐れるギリシャ化の負のスパイラルのリスクを低減する保険程度にはなりそうな気がする。そして、消費税増税の負のインパクトを低減するための措置(インフレターゲットと更なる量的緩和?)を併用していき、緩やかなプラスの連鎖が続くというシナリオを期待するのが正攻法のような気がする。

この様に考えると、この時期の消費税増税はやむを得ないという結論にたどり着く。あくまでも素人の理解ではあるが、それ以上に納得できる総合的な説明を私は聞いたことがない。本当のところはどうなんだろうか?国会に期待してもダメだろうから、専門家に分かりやすい説明をしてもらいたい。

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