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人工知能は変革や価値創造ができない。

2017年07月27日 11時06分11秒 | Weblog



 将棋AI「ポナンザ」の開発に携わった井口圭一は、「機械学習と人間の差はまだ大きい」という〈1〉。いま存在しているAIは「特化型」と呼ばれ、用途が限定的だ。将棋AIにベンチャー投資はできないし、ゲームを開発することもできない。幅広い分野で自律的に課題を発見・解決できる「汎用(はんよう)型」AIは、実現の見通しが立っていない。

 それでは、現状レベルのAIでも、導入すれば経済が成長するだろうか。東大合格をめざすAI開発で知られる新井紀子は「AIで生産性を上げれば経済が成長する、というのは誤解です」という〈2〉。AIで労働コストを削減し、それで生産性を上げることはできる。だが「それそのものは新しい価値や需要を生み出しません」というのだ。

 それはなぜか。理由の一つは、今のAIが、一定の枠内で収集された過去のデータを学習するだけのものだからだ。

 一例をあげよう。来店客の購買データをAIで解析し、品ぞろえの効率化をしたとする。だが過去の来店客のデータを解析しても、「店に来たことのない客」や「未来の新製品への反応」はわからない。そうである以上、「固定客にもっと買わせる品ぞろえ」はできるだろうが、顧客の新規開拓や、新製品の開発には直結しない。結果的に、需要や価値を新しく生むことにはつながりにくいのだ。

 いわば現行のAIは、保守的な性格を持つともいえる。「イノベーション」を説明する例え話として、「馬車をいくらつないでも鉄道にはならない」というものがある。それと同様に、馬車のビッグデータをAIに学習させても、鉄道の発明には直結しない。むしろそれは、馬車の改良を促してしまうだろう。

 もちろん人間は、歴史を学ぶことで、未来を革新できる。だがそのためには、過去のデータから、統計的に例外でも重要な事例に着目し、価値を与えることが必要だ。そういうことは、AIにはできない。AIにできるのは、過去の延長で未来を予測することだけだ。

 雇用問題専門誌「POSSE」は、AIによる労務管理が普及すれば、かえって古い「日本型雇用」が強化されると指摘する〈3〉。過去のデータから人事評価基準を作れば、従来型の働き方をしている社員の方が、高く評価される人事システムができるだろうからだ。

 AIに変革はできない。AIが得意なのは、従来の構造を維持したまま、コストを削ることだ。最悪の場合、AIで労働コストを削ることによって、古い産業や無能な経営者が延命するだろう。

 

     *

 つまり問題はこうだ。AIそのものは新しい価値や成長を生み出すわけではない。イノベーションを起こすには、新しい価値や、社会制度の変革が必要だ。だがそれは、人間にしかできない。

 「人間はAIに勝てるか」という問いがある。だが実は、人間は昔から機械に負けている。自動車より早く走れる人はいない。しかしそのことで、「人間は自動車に負けた」と嘆く人はいない。それは、自動車を人間の補助として使いこなせるように、社会のあり方を革新(イノベーション)したからだ。人間が機械に勝てるとすれば、機械と競争することによってではなく、機械と共存できるように社会を革新することによってである。



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