Bankの秘密基地

個人日記兼つれづれなるままに

Keppel Infrastructure Trust(シンガポール)

2015年03月23日 | 海外REIT研究
 REIT投資に別段飽きたわけではないのだが、タイのインフラファンドに続いてシンガポールのインフラファンドにも投資したのでブログに書いておく。くどいようだが、個別銘柄の推奨ではないので投資判断の参考等に利用しないでください。今回投資したKeppel Infrastructure Trust(KIT)はシンガポール上場のインフラファンド(Business Trust)で、シンガポールに投資したことがある人ならKeppelの名前を聞けばぴんと来るはず。シンガポールの大手コングロマリットで石油、造船、環境などの重工業が中心の会社がスポンサーになっているBusiness Trustと聞けば納得がいくだろう。知らない人はまあ、自分で調べてみてください。

 今回投資しようと思ったのはKITの事業がとてもユニークということではなく、同業のCity Spring Infrastructure Trustと合併してシンガポール上場のBusiness Trustで2番目に大きくなるというのがその動機だ。時価総額が出かければいいというものではないのだが、小型で魅力的な利回りの銘柄があっても経済環境とりわけ銀行の融資環境が厳しいといくらビジネスモデルがユニークでも苦境に陥ったり、スポンサーの都合で上場廃止されたりするケースがある。やはりある程度の時価総額がないと長期に投資できない。海外市場を毎日のように目を皿のようにして見ているわけではないので、気が付いたらなんかえらい株価になってたりすることがある。

 それで今回いつ合併するのかはこれからのアナウンスだと思うが、KITとCITの合併に注目してみた。但し、ここで留意する必要があるのはまだディールが完了していないこと。さらに合併に伴って新株発行が予定されていることから、投資する人はタイミングをよく考えて行動すべきという点だ。私は面倒なのでもう投資してしまった。まずKITとCITのそれぞれの事業ポートフォリオを見てみる。



 KITのポートフォリオだが、今回のディールは実はKITとCITの単純合併でなく、KMCという会社をスポンサーのKeppel Corporationから買収する。(しかも51%買収という微妙な数字) つまりスポンサーから事業を買収してその持分を得るというスキームが入っていてこれがややこしい。ブレスリリースも合併スケジュールなどが詳しく載っていおらず、いったいいつ完了するかわからないが、特殊利害関係人(つまりスポンサーのKeppel Corporation)とのディールが入っているため、監督官庁からの認可が必要でかつ手続きが結構複雑なためにスケジュールがよくわからない。

 それはともかく、KITは今回の合併前は負債はなかったが、結構地味なポートフォリオで時価総額も小さかった。やっている内容はまともだが、上下水道処理場・ごみ焼却場がメインで特に見るべきものはなかったのだが、KMCの資産買収によって発電事業が上乗せされることになった。しかも1300MWのCCGT(コンバインド・ガスタービン発電設備)というから結構でかく、合併後も大きなシェアを占めることになる。上下水道・発電ともに事業のボラティリティは小さいと推測されるからBusiness Trustとしては配当の安定性に寄与するだろう。



 CITのポートフォリオはデータセンター、ネットワーク通信設備、海水淡水化設備、都市ガス、海外電力事業となっており、これもまともだ。海外電力事業というのはオーストラリアとタスマニア島を結ぶ電力ケーブルを保有している。何故、タスマニアとも思ったが、理由はわからん。CITはKITと比較すると少し大きめのBusiness Trustだが、負債があり、ギアリングがかかっていた。54%というは強烈に高くはないが、低くはない数字で、合併によりギアリングは39%に大幅に低下する。



 地域別の売上高は上記の通り、シンガポールがメインだが、オーストラリアでの売り上げが25%だ。その25%業態別売り上げでみたElectricity transmission(送電事業)がそのまま入る。上下水道・ごみ焼却施設合計で20%、ガスで12%だが、今回の合併によりKMCから買収した発電事業がポートフォリオに占める割合が最大となる。


 時価総額は19億55百万シンガポールドル(1700億円)とシンガポール上場のBusiness Trustでは2番目の大きさになる予定だ。



 気になる配当利回りだが、combined baseつまり、統合が実現したらという前提だと7.3%になる。海外のREIT市場も世界的な金融緩和によって10%台というのは怪しげな奴を除けば姿を消している。7%台というのもアジア市場のREITでも少なくなりつつあり、時価総額が大きいものでというとほとんどなくなっている。Business Trustに関していえばまだ7%台というのは結構あり、投資としてはまあいいかなという感じ。但し、中身はよく見た方がいいだろう。特にスポンサーとか。シンガポール上場Business Trustではなんと日本のアコーディアゴルフが設立したAccordia Golf Trustが10%でトップだ。確かにBusiness Trustではあるが、どちらかといえばREITなのでは? 10%の利回りというのもゴルフ場という性格と稼働率に大きく左右されるという点から納得。買いたいかというと、むむむ...まあ買ってもいいけど。でもスポンサーの都合で上場廃止とかされるリスクもあるし微妙。単独スポンサーで時価総額が小さいのはそういった上場廃止リスクを考慮した方がいいだろう。アコーディアゴルフに関して言えば、10%の配当利回りと聞くと、がぜん興味がわく投資家も多いだろうが、いくつかの注意点を指摘しておく。第一に10%の予定配当利回りは初年度の一株当たりの配当可能利益6.2セントに非計上的項目として2セントが上乗せされている。つまり次年度にはこの2セントは剥落することが予想されており、利回りが必ず低下する。標準化NDI(Net Distributble Income)として6.8セントを予想しているが、入場者数が減少しないという前提に立っている。実際の株価パフォーマンスを見るとIPO価格から22%下落しており、やはり投資家は冷静にこのファンドを見ている。

 最後にKITの2012年からの過去3年間から直近の株価パフォーマンスを載せておくが、まあ、世界的に株価が上昇しているので割り負けているのは確かだが、まずまずかな。
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TRUE Telecommunications Growth Infrastructure Fund (TRUEIF)

2015年03月19日 | 海外REIT研究


 日本でもREIT等の非伝統的な証券が投資家に認知され始めており、資産運用の多様化が進んでいる。東証などは更なる国際化のためにインフラファンドの上場などを検討しているとしているが、実際に上場するまでにはまだ時間がかかるだろう。事業投資ファンド等ではシェールガス・石油等に投資するMaster Limited Partnership(MLP)なども有名になっており、日本からの投資も相当入っているとの話も聞く。日本人投資家はどうも熱しやすいというか「シェール革命」に踊って投資したはいいが、相当やけどしているんじゃないかとの懸念もある。

 どうも日本人は「新しいもの」が好きでMLPなどと耳慣れない言葉を聞いただけでわくわくする人が多いのか、まあわからなくもないけど。私自身もMLPに興味があったけど、それを聞いたのはだいぶ後になってからでしばらくすると原油価格が相当下落していた。かなり早くから知っていたら多分投資していたかもしれない。(人のことは言えないということだ)

金融緩和の長期化からREITの投資妙味もだいぶ薄れてきており、「やはり王道の株かな」とも思っていたが、手ごろなインフラファンドが海外で上場しているので投資してみた。念のため申し添えると銘柄の推奨などではありません。個人の投資日記なので投資判断の参考にはしないでください。

 インフラファンドと言っても別段目新しい投資でもなく、昔から「Business Trust」と呼ばれていたものだ。REITが資産の裏付けとして不動産があり、その賃貸収益をユニットホルダーに分配するのとは異なり、裏付け資産が事業全体であるというのが特徴となる。MLPも厳密には少しちがっているが、Business Trustの一形態であるといってもいい。それでもって色々考えたのだが、本当は米国上場ものを考えていたのだが、適当なのがなかったのでタイ上場のTRUE Telecommunication Growth Infrastructure Fund(TRUEIF)に投資してみた。

 インフラファンドが対象とするものは主として鉄道、水道、空港、通信、電力、道路、港湾、再生エネルギーなど幅広い分野が対象となるが、TRUEIFの対象は名前の通り通信インフラを対象としたインフラファンド(Business Trust)だ。通信インフラファンドの場合、大別すると① パッシブ資産(通信用電波塔、光ファイバーケーブル)と②アクティブ資産(通信用送信装置、受信装置)に分かれている。通信用インフラの場合、オペレーター毎にこれらの資産を建設するのではなく、たいていの場合、複数のプロバイダーが電波塔をシェアするのが(タイにおいては)通常のケースであり、インフラファンドは特定のプロバイダーに依存することなくポートフォリオレベニューの分散化ができるのがメリットとなっている。タイのインフラファンドは上場REITと同じく90%以上の収益を投資家に支払えばパススルー課税となるため、通常のREIT投資と同じくメリットを享受できる。

 TRUEIFは時価総額679億バーツ(2559億円)、2013年12月27日に上場された比較的若いファンドだが、時価総額は結構大きい。実績配当利回りは5.76%だが、上場が2013年末なのでNormalizeした場合の配当利回りはよくわかない。グーグルなどでは8.02%となっているが、Indicativeなものかもしれないので注意する必要がある。



 名前が変なのでいったい何者と思ってしまうが、スポンサーはまともだ。伊藤忠と全面業務提携をしたタイの大手財閥CPグループが過半出資しており、18%のマイノリティ出資だが、チャイナモバイルといった大手企業が出資しているtrueという通信サービス企業がスポンサーとなっている。事業内容もまともだ。



 TRUEIFは前述の定義言えばタイ全土をカバーするパッシブ資産(通信用タワー、光ケーブルなど)を資産の裏付けにしたBusiness Trusであるということができる。親会社のtrueの資産をBusiness Trustに組成したようなもので、形の上では三菱地所や三井不動産が自社所有物件を拠出してジャパンリアルエステートや日本ビルファンドを組成したのと似ている。タワーの顧客別で行くと半分がtrue向けで、残りの5割はAWC(Asia Wireless Communication)とBFKTの2社になっている。ポートフォリオの構成は直近に資産買収したので若干の変動がみられるがタワーが43%、FOC(光ファイバーケーブル)が57%とややFOCが多くなっている。



 もう一つのFOCの方だが、資産買収したのでキャパシティが3倍になっており、上場時と比較しても資産規模がタワーを凌駕するようになっている。プレゼン資料には稼働率が7割で残りが未稼働資産が埋まることで成長ポテンシャルがあると主張しているが、まあ、そうかもしれないし、そうでないかもしれない。



 最後に損益を見てみるが、さすがに大型株であるだけ、売り上げもそこそこ大きい。



EBITDAで200億円超えているわけだから日本のREITと比較してもかなり大型の部類に入る。確かにタイ全土で展開している通信用タワーとFOCを裏付けにしているわけだからそのくらいの大きさにはなる。タイには空港施設を裏付け資産としたSamui AirportというREITにも投資しているがそれよりも大きいと思う。それと気になる配当なのだが、四半期配当なのかどうか会社のHPではわからなかった。というか普通のREITやBusiness TrustのHPだとDividend Historyとか載っていて当然なのだが、なんか作りが普通のと違っていてよくわからない。2014年のプレゼン資料で見た数字を逆算して今の株価に当てはめると7.49%となる。これがIndicativeな配当利回りかもしれない。というか、よくわからない。


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企業の内部留保は格差の助長?

2015年02月19日 | マクロ経済
 今はやっている格差論について細かく議論しても仕方ないが、国会論戦や一部のエコノミストの議論を聞いていて気になったことがある。それは「企業は内部留保を溜め込み、労働者に還元していない。これが経済格差を大きく助長している」というものだ。この文脈で言われる企業とは「大企業」のことであり、その論調を聞いている限りそうなのかと納得してしまう部分もある。だが、その意味するところは何かという問いに答えた議論は少ない。内部留保をなぜ溜めるのか、それは近年に限ったことなのか。あるいは日本に資本主義社会が導入されて何度かあった現象なのか。それは何故なのかという答えは驚くほどない。あまりハードルを上げすぎてもやっかいなので、直近の企業の内部留保の積み上がりについて少し調べてみる。



 財務省の法人企業統計を加工して作成ししてみた。もっと長い期間のデータで試したかったが、現データが2008年からの時系列データだったので過去6年分の比較的短いデータだが、確かにリーマンショックが発生してから、企業業績が回復するにつれて内部留保の額が大きくなっている。データは法人企業統計が把握する資本金1億円以上の大企業が対象になっている。直近の数値では100兆円の大台に乗せようとしているがわかる。これだけを見ると「大企業は従業員に還元することなく、キャッシュを積み上げている。けしからん」というロジックになりそうだが、では企業は内部留保をキャッシュとして金庫に詰め込んでいるのだろうか。同じく法人企業統計のバランスシートに関する時系列データがあるので見てみる。今度は西暦でなく、元号表記になっているが少し長くとれている。



 まあ、大体想像はしていたがやはりこういう結果に。確かに企業は絶対金額ベースで現預金を増やしているが、バランスシートに占める割合では大きくキャッシュを膨らませているわけではない。むしろ、内部留保はキャッシュとしてではなく、投資有価証券の増加ということで再投資されている。この投資有価証券は株式のことだが、金利水準が低いから企業は株を買っているというわけでは決してない。毎日、新聞を読んでいれば理解できるように、たとえばサントリーがビーム社を1兆6千億円で買収とか、第一生命が米国損保を6千億円で買収、最近では近鉄エクスプレスがシンガポールの会社を1400億円、日本郵政が6000億円で豪州の物流会社を買収といったように、日本企業は海外の会社を買収しまくっている。また、海外の上場企業の買収だけでなく、米国、欧州、中国に現地法人を設立した場合は株式会社形態になるので投資有価証券(子会社株式)が増大する。統計を見ると過去10年でなんと117兆円も増加している。



 日銀の「2013本邦対外資産負債残高」で業態別にみると先ほどの法人企業統計と時間軸が異なっているものの、製造業での増加が著しい。どの業態も増えているけれども、製造業に限ってみれば2005年対比でほぼ倍増している。まあ、これも結論は見えていたわけだが、すなわちグローバル化の進展で国内で儲けられなくなった企業は海外に出ざるを得なくなってMAもしくは現地進出という形がバランスシートの投資有価証券の増加になっている。

 それで問題だが、「企業は内部留保を溜め込んで従業員に還元していない。けしからん」という議論だが、これは正しいのだろうか。一瞬、「そうだ、そうだ」と頷きかけるのだが、それは正しい指摘なのだろうか。企業が海外企業をMAもしくは現地に子会社設立する理由は「国内が儲からないから」だろう。一つには長期間にわたる円高で国内の製造業が競争力を失ったことだ。そして海外進出もしくは買収して得た利益を国内の従業員に還元するのは正しい、いやここでは合理的と言っておこう。合理的な企業行動なのだろうか。

 例えば、海外で得た利益(ここでは国内で製造して輸出したという意味ではなく、海外工場で製造して海外で販売して得た利益と定義する。)を国内の従業員に還元する。すると国内で製造するコストが上昇して輸出競争力が低下する。すると国内の利益はさらに減少してしまう。仕方がないので国内の従業員をリストラせざるをえなくなる。次の年に海外の利益が増加するとして、それを国内の従業員に還元する。すると国内での製造コストはさらに上昇して国内事業の競争力が低下して、利益も低下する。で、最初にもどると。たとえばこれを永遠に継続したとすると国内で従業員を雇用することが不可能となり、企業は所在地が日本というだけで、国内で従業員がゼロということになる。もしこれがずっと続けば、企業の所在地を日本に置く理由も存在しないため、その企業は日本を出ていくことになるだろう。

 無論、これは極端な仮定を置いた議論なので実際にはそうはならないと思うが、論理立てて考えてみれば企業の内部留保の積み上げがどこに源泉を持っているのかという議論を捨象して「けしからん」という話になっているとしか思えない。むしろ、日本企業が国内製造拠点の競争力低下を懸念して積極的にM&Aしたり、現地で工場を建てて、円高に対抗し、利益を獲得してたというのは極めて合理的な判断ではないだろうか。企業で働いて給料を得ている人にとっては、「そんなことどうでもいい、儲かっているなら給料あげてくれ」というのが正直なところなんだろうが、結局のところ、日本の製造拠点の競争力が回復しない限り無理だろう。国会論戦でも「円安は一部の輸出大企業を利するばかりで大多数の庶民には関係ない」と知性のかけらもない発言をする議員がいるが、日銀統計を見てみなさい。過去8年間で日本の対外直接投資は72兆円も増加している。これがいかにものすごい数字かわかっていない。むしろ、過去の円高が企業をそう駆り立てているわけで、円安のせいにするのは間違っている。少し安直な言い回しだが、国内製造業の空洞化で日本の貿易構造に大きな変化が起きている事を直視して政策を決定してもらいたい。



 福島第一原発の事故から日本の貿易赤字が定着してしまっていることは新聞をみるまでもなく理解できるが、不安の種は原油・LNG輸入の増加だけではない。



 財務省の貿易統計から作成してみたが、確かに燃料輸入は大きく増加しているのが分かるが、一方で不気味に増えている項目がある。一つは医薬品だ。過去10年で3倍になっている。貿易額としてはまだ目立たないが、高齢化の影響とスルーしてはいけない。日本の知財開発力が弱いからこそ、医薬品の輸入が増加していると解釈するべきた。確かに国際的な製薬企業と比較すると日本の製薬メーカーは小粒だが、こういった知能集約型で外貨を稼ぐ国にするべきだ。もう一つきになるのが電気製品の輸入動向だ。



 これを見ると危機感高まるんだが、日本のお家芸ともいわれた電気製品の貿易収支はかなり縮小している。このままいくと将来赤字になるのではと思えてくる。電気製品のサブセクターに通信機という項目があるのだが、これが爆発的に上昇中だ。これはなにかというとアップルの「アイフォーン」とかサムスンの「ギャラクシー」とかが入る。この通信機セクターの輸入額の急増は大いなる皮肉と私の目に映る。先ほどの「企業は内部留保を溜め込んで、従業員に還元もしないでけしからん」式の議論だが、けしからんと言っている人たちが競って「アイフォーン」や「ギャラクシー」を購入しているわけだ。パナソニックやソニーではなく。別に国産至上主義を掲げるつもりはないが、外国製品大好きだからバンバン買うけど、国内製品はダサくて買わない。でも給料は上がるべき。と言っているようにも聞こえてしまう。日本企業の怠慢があるのかもしれない。でも、消費者のアップル信仰はなんか行き過ぎているような気もする。(それだけアップルのマーケティング力が優れている証拠かもしれない。)



 この問題に処方箋があるとすれば、円安と時間だ。円はピークと比較して5割以上減価している。今年とか、来年に状況は変化しないが、円安傾向が続く、少なくとも現在の為替レートが安定的に長期間維持できるもしくは維持される見通しが立つとき、企業は必ず行動を起こす。それは日本企業が過去10年以上にわたって行った膨大な対外直接投資の逆の現象。すなわち、国内への回帰が始まる。しかし、それは着実だが、テンポは非常にゆっくりしたものとなるだろう。10年以上にわたって続いてきたトレンドを逆転するわけだから、同じようなタイムフレームで考慮する必要があるだろう。

 こんなことを言うと怒られるかもしれないが、格差問題の一部は自分自身で作り出しているかもしれないと思う時がある。街中でこんな会話を聴くかもしれないと想像してしまう。

 「国内企業は内部留保を溜め込んでいる。」
 「そうだ、そうだ」
 「労働者に還元していない」
 「そうだ、そうだ」
 「アベノミクスは失敗している」
 「そうだ、そうだ」
 「企業も政府もけしからん」
 「そうだ、そうだ」
 「ところで、今度の新型アイフォーンってどうよ」
 「超クールだよ、発売日には徹夜でならぶよ」
 「だよねー」
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サンタンデールプライベートバンキング -カードのアクティベーション-

2015年02月16日 | グローバル投資


 Santander Private Banking(旧アビーインターナショナル)のカードの更新がまた例によって来た。口座作ったときはこれでオフショア口座ができて日本が崩壊しても何とかなるかもなんていう妄想で満足していたが、セキュリティのせいなのか、結構めんどい。カードの有効期限が2年なんですぐに新しいカードが送られてくる。しかも、日本の銀行と違ってカードは受け取っただけではだめで「アクティベーション」というプロセスが必要になってくる。これは以前にブログにも書いたのでそれを参照してください。

 アクティベーション自体はそれほど難しいことはないのだが、いちいち国際電話をかけなくてはならない。英国人だから、わかりにくい英語ではないのだが、たまにアクセントが強い人だったりするとこれがさらに面倒になる。普通のクイーンズイングリッシュだったらいいのだが、スコットランドアクセントだったりするとこれがよくわからない。(実際、強いスコットランドなまりは英国人でもわからないという話だ。) オフショア口座ではないが、香港にHSBCの口座もあるし、それで十分なのだが、今となってはなんでアカウントオープンしたんだろうと自分で思ってしまう。まだ死ぬ年でもないので、それほど考える必要はないのだが、相続で海外口座があるとかなり面倒らしい。でも、自分は関係ないし。(その時は自分は死んでるし) HSBCの口座と違ってほとんど利用していないし、解約しておくか。少し迷う。

 因みにアクティベーションの時にはこんなやり取りがあった。(英語です)

オペレータ 「サンタンデールプライベートバンキングです。何か御用でしょうか」
私     「新しいカードを受け取ったのでアクティベーションをお願いします。」
オペレータ 「わかりました。しばらくお待ちください。カード番号をどうぞ」
私     「カード番号は ****-****-****です。名前は *** ****です。綴りは******です。」
オペレータ 「生年月日をお願いします。」

(アクティベーションの際にはセキュリティ対策として事前に登録しておいた個人情報を確認する。必ずしも生年月日をきくわけでなく、生まれた場所とか他の質問をする場合があり、それはオペレータ次第)

私     「** ** **です。」
オペレータ 「ありがとうございます。テレホンバンキングパスのコードの3番目と7番目を教えてください」

(事前に登録してあるテレホンバンキングパスはインターネットバンキング用のパスワードと異なっているので間違えやすい。前回はテレホンバンキングパスを忘れて、少しトラぶった。)

私     「3番目は*、7番目は*です。」
オペレータ 「ありがとうございます。受け取ったカードはreplacement cardですか」
私     「いえ、renewal cardです。」

(Replacement Cardとはつまり紛失などで新しく受け取ったという意味、私の場合は紛失でなく、期限が切れて新しいカードが来たことからRenewal Cardと答えた。Replacementだと、新しいパワードやPINを設定しなくてはならないのでオペレータが聞いてきたと考えられる)

オペレータ 「わかりました。受け取ったカードのstart dateを教えてください」
私     「....... あっ、March 15です」
オペレータ 「新しいカードは3月からご使用ください。それまでは古いカードが使用できます。継続カードですのでパスワード、PINともに従来のものをご使用ください。」

(オペレータがStart Dateを聞いてきた時は一瞬理由が分からなかったが、そういうことだった。海外とのやり取りではこういう、判断に困る質問で一瞬フリーズしてしまうことがよくある。)

私     「わかりました。ありがとう」
オペレータ 「ありがとうございました。」

 何年かに一度は海外投資ブームがやってきて、中には現地まで行って口座をオープンする人がいる。私は香港もサンタンデールの口座もすべてメールでやり取りして開設した。よくわからないのはわざわざ現地に行って、少額のお金を入れたり、ほとんど意味のないことをする人たちがいる。飛行機代のほうが高いのに。それとこれは私も反省するのだが、使うつもりがないのに開設する場合。ほんと勿体ない。一番もったいないと思うのは、代理人を雇って口座開設する人。お金払うだけ無駄。わからないのならやらないほうがいい。やっても多分利用しないのは確実。

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財産債務調書制度の新設

2015年02月07日 | 金融市場
 確定申告の季節がやってきて、税理士を雇っていないし、雇う気もない私にとっては申告作業に時間を取られる季節だ。株式などのの金融資産所得が中心だが、一応実物不動産もやっているし、とりもなおさず海外にある証券口座からの所得は自分で計算しなくてはならない。税理士はドメな人が多いのでこの辺はわからないだろうし、雇うだけお金が無駄になるので税理士は雇っていない。外国証券口座からの所得は配当所得がメインであまり売買していないので所得の把握という点ではそれほどの苦労はないのだが、外国税額控除の計算のために配当の支払い調書の収集(法第95項に規定する財務省例で定める書類に該当)と外国源泉税の計算が面倒だ。一番面倒なのは売買が発生した時の損益の把握で、どういうわけか外国の証券会社のステートメントには簿価が載っていない。時価主義というのはわかるけど、税務申告するときには簿価は必要だろうにと思うのだが、この辺が不思議なところだ。だから海外口座ではなるべく売買しないでバイアンドホールドできる銘柄に絞っている。

 税制改正で国外財産調書が創設され、海外に資産を持つ投資家は提出する義務を負った。厳密にいえば昨年1月1日以降の確定申告だが、周知期間として1年が設定されている。つまり今年の確定申告はマストであるということだ。昨年の確定申告では様子見で出さなかったという人が多かったという話が雑誌に載っていた。何を様子見しているのかはよくわからないが、おそらく申告書を提出したら税務署がやってくるのではと恐れている人が大半だろう。私の場合は昨年の確定申告時に提出済みだ。別に悪いことしているわけではないので来るなら来いという感じだったが、来なかった。(別件の大したことない用事で税務署が来たが)



 上記に書いてある通り、調書を提出せずに国外財産からの所得漏れが発覚すれば加算税が課されることになる。加えて不提出なら刑事罰もあるというかなり厳しい処置だ。こんな制度はなくしてもらいたいが、要するに海外での所得を申告してない人が多いという事実がこの制度を生んだということに他ならない。税務調査が恐ろしいという人は結構いるかもしれないが、私は何回も税務調査を受けてきたが(税務署に来てくれというケースも自宅に税務署員が来たこともある)、有用なアドバイスを一つ。ちゃんと申告していれば全然怖くありません。私の場合は計算間違いとか、税法解釈の違いを理解してなかったケースがほとんどで、税金をごっそり持っていかれたことはない。むしろ、この金額で税務署員がわざわざ自宅までやってくるなんてという感想すら持った。

 ただし、今回、自民党、公明党の税制調査会が発表した平成27年度税制改正大綱は問題ありと考えている。タイトルにも書いたが従来の財産債務明細書を「財産債務調書」に格上げするという内容だ。これは所得2000万円以上または資産3億円以上の個人に調書の提出を義務付けるという内容だ。税をより補足しやすくするという趣旨だとは思うが、国外財産調書とは別に国内外すべての財産の申告を義務付けるものだ。要するに相続税対策が主眼だと思うが、めんどくさいことはやめてほしいというのが個人的な感想だ。因みに大綱の中身は以下の通りだ。



 私個人の不満は国内は特定口座があるじゃないか、預貯金にしても国税のシステムであるKSKで把握できるだろうに。どう考えても国税の怠慢にしか思えない。まあ、逆にいえば相続税などで巧妙かつ悪質な脱税もしはく租税回避行動が目立つということかもしれない。税金は少ないほうがいいというのは心情的にも理解できるけど、脱税事件のニュースを聞くたびに、「そんなに税金はらいたくなかったの?」という気持ちも一方ではある。富裕層増税の国会議論なんかはいつも不愉快だけど、ルールに則って税金おさめてればこんな話にはならないんじゃないかといつも思う。ピケティの「21世紀の資本」が巷で人気になっており、「そうだ、そうだ富裕層にはもっと課税しろ」なんていうのがメディアでの正論になりつつある。でも、日本の課税システムはかなり公平だし、消費税の逆進性云々よりも所得税・地方税の累進性によって富の分配機能は他の国よりもかなり正常に機能していると思うんだけど。



 こんな図を出して日本には格差がない。格差問題なるものは存在しないと主張するつもりは全くない。しかし、日本は「旧ソ連や中国共産党すらなしえなかった偉大な社会主義国家」の例えもあるように分配制度は機能している。しかもかなりうまくいっている。個々の事例を取り上げてこんなにひどいというのは簡単だし、メディア受けもする。でもそれはマクロ的に正しいわけではない。上の表は平成11年からのジニ係数の変化だが、グロスの数字。つまり名目数値は確かに上昇しているが、富の再分配により格差はちゃんと埋められている。第一、国税が把握している給与所得者数4645万人の内、4割に当たる1901万人は所得税率は10%以下だし、納税者の53%に当たる2711万人は給与所得者が収める所得税の11.4%を負担し、所得上位8.3%に当たる385万人が税収の61%を負担している。(国税庁 平成25年民間給与実態調査)
 国会なんかでの議論(特に共産党とか)で、「格差是正どころが富裕層を優遇している。とんでもない政策だ」とか聞くと、ちゃんと数字見てから言えと突っ込みたくなる。格差問題はある。でも、メディア受けしそうな論調の本質は格差問題ではなく、「お前の財布には俺より10万円多く入っている。だからずるい」と言われているような気がしてならない。

 話がかなり脱線してしまった。財産債務調書の話だが、ひどいとは思うが、義務化されたときにどう対応するかが問題だ。実は従来からある「財産債務明細書」は提出義務があるが罰則規定がないのが問題とされていた。今回の大綱では義務化の実施と申告漏れに対する加算税の導入があるが、国外財産調書とは違い、不提出による罰則規定は盛り込まれなかった。個人的には国内資産の補足は海外に比較すればかなりできるはずなので納税者の負担を増やすこの制度の導入は反対だ。どうも国税の怠慢としか思えない。国内預金は仮名口座は禁止されているわけだし、不動産は固定資産台帳がある。有価証券は特定口座があり、国税にはKSKがある。いったいなんで導入するのか理解に苦しむ。どう考えても国税が楽しようと考えた制度にしか思えない。ちゃんと申告していれば加算税は課されないわけだから、提出なんかしないほうがいいかとも考えるが...もう少し考えてみる。

 
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東証REIT指数先物を利用してみる。

2015年02月06日 | 国内上場REIT
 REIT市場は昨年25%上昇し、過去3年連続で二桁の上昇となっており、過去3年でみると127%のパフォーマンスとなっている。同じ期間でみるとTOPIXは93%なのでかなりの高パフォーマンスだ。ECBの量的緩和や米国の景気回復期待でさらに上昇という声もあるが、正直、ここから上がるのはバブルが発生する必要があるのではないかと個人的に思っている。無論、現在の長期金利の水準とREITの配当金利回りのスプレッドを考慮すれば十分アドバンテージがあるのだが、現在の平均分配金利回り3%が、2.5%、2.0%とどんどん低下するという感じが正直しない。過去3年は特に何も考えずにREIT中心のポートフォリオを組んでいたが、昨年末にパフォーマンスを計測してみるとだんだん怖くなってきた。まあ、時価が倍になったんだからこれをほんとに維持できるのか心配になってくるのは当然だろう。株もほぼ倍になったわけだが、REITと株の違いはEPS成長力のポテンシャルが全然違う。なぜか日本のREITは株よりもボラティリティが高い。普通、安定的に配当を出しているわけだからもっとボラティリティが小さくてもいいんじゃないかと思うのだが、日本のREITは株よりもボラタイルな不思議な資産だ。と言っても保有するREITを全部売却する勇気もなくどうしようかと思っていたが、REITの先物があるというのでヘッジしようと思った。

 ここでヘッジしてREIT市場が爆騰すれば先物で損失がでることになるのだが、現在のポートフォリオの時価を維持するのを最優先にすることにした。で、取引をしようと思って板を見るとスカスカではないか。実際の画面はこれ。



REITが投資手段として認知されてそこそこの市場として育っているわけだが、それでもREIT市場の時価総額は10兆5,610億円(2014年1月30日現在)でTOPIXと比較してもかなり小さい。仕方がない部分はあるにしてもそれにしても先物市場の流動性はかなり小さくヘッジ機能を十分に提供しているとはいいがたい。たとえば今日のREIT先物期近(3月限)の出来高は21枚しかない。仮に10枚売ったら、マーケットインパクトで自分の首を絞めかねない。
しかも10枚といっても日経平均先物1枚分相当だ。

 文句を言っても何も変わらないのでここ1週間少しずつ先物でヘッジした。それでもポートフォリオの1割もヘッジできてない。まあ、フルヘッジするつもりはないんだけど。REITが上昇すれば先物は損するが現物で儲かるので、トータルではやはりREIT市場が上がるほうが得だ。問題なのは流動性があまりないために先物市場が現物と比較してディスカウントされている。もう少し流動性があればこんなことはないのだろうが、現時点では仕方がない。更なるREIT市場の成長を望むしかないだろう。
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HSBCの新型セキュリティデバイス

2014年03月30日 | グローバル投資
インターネットバンキングでのフィッシング詐欺など日本でも問題になっているが、海外でもオンラインバンキングでのセキュリティ強化は問題になっている。HSBCでは従来からPINコードの自動生成ができるデバイスを配っていたが、今回から新型のデバイスに変更された。


 ① 変更方法は至って簡単だ。まず、新しいデバイスの電源を入れると新規パスワードの入力を求められる。エンターキーの表示がないが、左下の四角ボタンを押せば入力できる。確認の為に再度パスワードの入力が求められ同じく入力してエンターを押すとデバイスにパスワードがかかる。
 ② 次にインターネットバンキングにログオンする。旧来のデバイスでログオンするとHPに新型デバイスのアクティベーションをしてくれというメッセージがでているはず。日本人はなじみが薄いアクティベーションだが、新しいデバイスを受け取っただけでは使用できないので注意が必要。どうも日本人は安全意識が薄いらしく、なんでアクティベーションなんて面倒なことをするのかと思っている人が多いと思うが、本人であるという証明なので必要。
 ③ メッセージに従ってアクティベーションページに移ると新型端末のシリアルコード(端末の裏に書いてある数字。説明書には表記されていないので戸惑う人がいるかもしれない。)を入力する。さらに新型端末の電源を押し、パワーが入ったらもうパスワードを入力してエンター、さらに一度電源ボタンを押すとPINが表示される。これを入力。それが終わったら古い端末の電源を入れてPINを入れる。アクティベーションには旧型・新型の両方からのPINが必要なことに注意。まあ、ちゃんと説明書にかいてあるからそれに従えばOK(但し、英語)


 旧来のデバイスと比較すると電卓型になっているのだが、なにが変更されたかというとデバイスにパスワードロックがかけられるという点が新しい。PINの自動生成でセキュリティを高めても、第三者にデバイスを盗まれたら元も子もないという発想なのだろう。言ってみればパスワードにパスワードをかけるようなものだが、それだけにリスクが減少するならば歓迎することなのだろうか。日本でもジャパンネット銀行はデバイスの無料配布を行っているが、他の銀行は有料がほとんどであまり浸透していない。フィッシング詐欺を防止するという観点からはユーザーに無料に配布するのが望ましいが、コスト面からの問題が大きいと思われる。せめて残高の多い預金者向けには無料配布した方がいいと思うが日本の金融機関の腰は重い。因みに日本で電子デバイスによるPIN生成は利用可能だが、HSBCのようなさらに強固なパスワード管理をしている金融機関は日本には存在していない。

 自分には関係ない。もしくは自分は大丈夫だと考えている人ほど詐欺にあいやすい。振り込め詐欺にあうほとんどの人が「自分はそんなものに引っかからない」と考えている人が大半らしい。まあ、日本人特有の「根拠のない自信」というやつだが、どうも日本人は危機意識が足りない。

 フィッシング対策協議会という団体が発表しているフィッシングレポート2013によれば2012年3月に成立した不正アクセス防止法成立後の方がトロイの木馬型のような悪質なウィルスが増加している。特に引っかかりやすいのが無料ソフトというやつでスマートフォンのアプリなんかで引っかかりやすい。最近はユーザーもスマホによる被害を警戒してアプリで個人情報を送付するアプリなのかどうかをチェックするユーザーは確かに多くなったが、騙そうとする人間はさらに巧妙だ。例えば、無料のゲームアプリをダウンロードしたとする。インストールする際にはアプリが個人情報を送信する機能がないと安心してインストールしても、しばらくたってアプリのアップデートをしたら個人情報を送られてしまったというのもある。インストールするときに注意しても、アップデートで新規に個人情報を送る機能を付加してもユーザーに気が付かれにくい。


 上の表は国家公安委員会・総務省・経済産業省がまとめた「不正アクセス行為の発生状況及びアクセス制御機能に関する技術の研究開発の状況」というレポートから抜き出したものだが、5年前と比較して認知件数が減少しているのがわかる。これは事件が減少しているのではなく、ユーザーに認知されずに不正行為が増加しているという可能性がきわめて高い。仮に自分の銀行口座が被害に合わなくても、自分のパソコンが詐欺グループの踏み台にされている可能性だってある。つまり、経済的な被害はないが犯罪の片棒を担いでいる可能性だってある。気を付けるのも大切なんだが、なによりも「タダより高いものはない」と考えていたずらに無料ソフトに頼ることをしないのが重要だ。とはいってもタダと聞くと心躍る日本人がなんと多いことか。

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HSBCの新型キャッシュカード

2013年04月01日 | グローバル投資


 HSBC香港で直接口座を開設した人はすでに届いていると思うが、新しいATMカードがメールで来ているはずだ。(写真) 個人名と番号は消してあるが、こんなカードがきている。一番の変更点は磁気カードであった従来のカードがICチップになった点だが、それだけで特に気が付かない人がいるかもしれないが大きな変更点がもう一つある。

 それは新カード切り替えに伴い、香港以外の海外ATMの取引可能額がゼロにリセットされる。つまり、手続きしないと国内でのATM利用に制限がかかることだ。「聞いてないよ!! そんなこと!!」と思う人がいるかもしれない。(個人的には意外に多くの人が該当するのではと思っている) でも、これは昨年、HSBCから手紙が来ていてちゃんとアナウンスされている。



 私の場合、昨年手紙が来た時、「また、しちめんどくさいことをやりやがって」と思ったが、よく見ると次の年の2月中までなら、インターネット経由でリミット変更できると書いてある。早速、探すがよく分からない。悪戦苦闘してようやく変更完了。これで問題なし。ATMは実は使っているので制限されると困る。もしかしたら、HSBCに口座を作って、そのままほったらかしにしている人がいるのかもしれない。海外口座開設ブームで自分でも開設したが、いざ開設してみると結局使い道がなかったり、単に開設して安心してしまった人なんかが多いような気がする。

 もし、あなたがその部類なら少し考えた方がいい。多分、すでにインターネットバンキングもできなくなっている。(12か月間インターネットバンキングにアクセス記録がないとネットバンキングのパス自体凍結されている。) ATMも日本で利用できなくなっている。もし両方該当するなら、香港に電話してネットバンキングのパスの凍結の解除の手続きとATM利用制限のリミット変更の手続きをしなくてはならない。というか、口座開設してから単にキャッシュを置きっぱなしにしていて、ネットバンキングもATMも利用せずに1年以上も経過している人ということだから、多分、海外口座もつ必要がないかもしれない。手紙には2月までと書いてあったが、実は今でも限度額の変更はウェブでできるのだが、これがまた少しわかりにくいところにある。ログインすると(インターネットバンキング自体ロックされている人はまず解除してもらわなければならない)、上部のメニュータブに「MY HSBC」というのがあり、さらに下のメニューにATM限度額を変更するメニューがあるのでそこをクリックして変更することになる。



 来年の確定申告で海外口座の資産報告義務が課せられるが、「私は早めに海外に口座開設してあって良かった」などと考えている人は甘い。国税に調査能力はあまりないが、ゼロではない。海外に現金を直接持ち込んで口座入金(ハンドキャリー)すればオッケーみたいな人がいるが、その人はそのお金をどう使うつもりだ?海外の不動産を購入する? でもその不動産収益(賃貸用を購入すると仮定して)はどう利用? また海外口座に入金してオッケーみたいな? でも、じゃあそのお金は? 結局お金を何に使いたいのだろうか。墓場まで持っていきたいのだろうか。リターンを上げるのは重要だが、最終目的ではない。そのリターンをどう使うかが重要なのだ。外国口座の資産報告は当然行います。だってやましいこと何一つしてないもの。中には恐れなくても良い人が極度に恐れているが、報告したから課税されるということはない。(無論、脱税をしていないという前提で) 報告の最大の目的は相続税の補足であって、それをもって脱税の調査の利用を国税は考えていないはず。つまり、あなたが死んだあとに利用するのが最大の目的なのだ。
(但し、過去の納税記録と照らしてあまりにも不自然な資産形成を海外でしていると認められる場合は別。)

 でも、よく考えてみればあなたが死んだ後に利用される報告書をあなたが恐れるというのは滑稽なことだ。いや、むしろ、あなたは死ぬ前にその資産を何かに使おうとは思わないというのが滑稽だ。それは財産を墓場に持っていきたいという意思表示だから。しかもそんなことは不可能なことだと自分で分かっているのにそれを行っている。滑稽なことだとは思わないか? 
 
 ここは冷静になって考えてみよう。ではもう一度改めて聞こう。あなたはどんなことに自分のお金をつかう?

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賃貸物件のリフォーム

2013年03月09日 | 不動産
 REIT等の証券投資と異なり、実物不動産投資は手間がかかるうえにキャッシュフローがあまり安定していないなどの特徴はあるが、リターンという点では証券よりも高いケースが多い。今は相場がもとに戻ったのでなんともいえないが、不動産不況の時にはグロスで10%以上はざらだったし、中にはかなりお買い得の物件もあったようだ。地方物件は特にグロスのリターンは高く、20%以上も珍しくない。但し、賃料が東京圏と比較して大幅に安い上に、管理費などのコストは東京と同じくらいなので実質のリターンは低い。グロスベースで2ケタを割ると実質ベースでは東京圏よりも利回りが下がる場合がある。

 地方物件のリスクは空室リスクだ。空室になると1年以上客付ができないということも多い。地方は賃借よりも家を買う人が多い。賃借で済ます人は地方では短期的なニーズがあるか、転勤してきた人たちで、転勤シーズンの3-4月を逃すと次の年まで空室なんていうこともありうる。一番良いのは一棟などのポートフォリオで運用するという形だ。たまに「サラリーマンでも大家さん....云々」という本に触発されて地方物件を1つとか、東北、関西、九州に区分所有を1件ずつなど購入して結局ほとんどすべてが空室でローン支払いに苦しむなどという投資家もいる。最悪なのは東京圏での不動産投資をしていた人が地方でも同じように1Kタイプの一棟アパートを購入するとかいうケース。地方で1K借りる人はかなり特殊なニーズだ。東京圏と違って回転率に大きな差がある。ある不動産屋さんに聞いた話だが、地方大学のすぐそばに1Kタイプのアパートを建てて運用したのは良いが、しばらくしてお目当ての大学が移転してしまい、ほとんどが空室になってしまったという笑えない話がある。

 結局、実物不動産を運用するには覚悟だけでなく、運用のポリシーも必要だ。純粋にリターンだけを考えて、「住めればいいんだ。借りる奴はいる」みたいな考えの人は失敗する。実際にその物件に自分が住んでみたいかと言えば、NOだったりする。自分が借りたくもない物件を他人が借りてくれるなどと考えるのは間違った考えだ。私の場合、よくある木造アパート1棟という形の不動産投資はしなかった。税効果を考えればもっとも効率が良いのだが、そういう物件は新築の時は気にならないが、5年、10年たつと本当にぼろくなる。税効果、投資リターンを最大目的にしているから、管理も自主管理だったり、管理費をケチったりする。そういう物件は本当に痛みが速い。

 私が実行したのは地方物件の区分所有マンションを数件まとめて運用する方法だ。(投資を始めたのはだいぶ前だが) これなら空室リスクはゼロにはならないが、ある程度抑えられる。1Kや1LDKなど単身者向けでなく、ファミリー向けでポートフォリオを作る。東京圏と異なり、地方で単身者向けというのはやはり特殊なマーケットだ。地方は流動性がないことから、例えば大学に近いとか単身者が多そうな工場の近そうな立地であるとか、そういった特殊物件になりがちだ。ファミリー向けであればそのような特殊事情を考慮しなくてもよい。つまり「大は小を兼ねる」というのが地方では当てはまる。

 それでも実物不動産の悩みはまだある。それは経年劣化による賃料下落だ。首都圏だろうと地方だろうとやはり「初物」には人気がある。一方、マンションも時間が経つとやはり相場が下がってくる。無論、原状回復工事をするからクロスもきれいになって部屋の見栄えもいいのだが、やはり設備は古くなる。特に水回りは人が使うとクリーニングしても古さは払しょくできない。そうなると影響するのは賃料で年々、微妙に下がりだす。私が運用する物件でも賃借人が変わるたびに微妙に賃料が下がる。エアコン、照明等を新調したりといろいろとやったが、やはりうまくいかない。さらに悪いのは賃料の下落が起きるとその賃料相場で集まるユーザーの質が低下することだ。具体的には「滞納」というやつで、賃料が安いということはそれにあった所得層の人が集まってくる。当然、この20年間のデフレ相場の影響でリストラされたり、賃金が下がったりして滞納リスクが高まってくる。過去数年のケースでも滞納案件が起きた。理由はさまざまなんだが、やはり経済の悪化で職をうしなったというケースが多い。

 いゆわるデフレスパイラルによる負の連鎖というやつで、実物不動産も同じだ。こうした負の連鎖を断ち切るにはいくつか方法がある。まず考えられるのは実物不動産からの撤退。REITが運用手段として有効になっているのでリスクを完全に遮断することができる。取るべきリスクはマーケットリスク、銘柄固有リスク位だ。但し、利回りも下がる。以前、地方の実物不動産を売却した時、トータルリターンを計算してみた。いろいろと厄介な物件で滞納が起きたり、空室がでたりと苦労があった物件でだ。市場価格で売却できたので一安心だったが、計算してみると意外にリターンが高かった。(キャピタルゲイン+期中のインカムゲインを含めて計算) 苦労したのでリターンは低かったろうと思ったのだが、税引き後のリターンで考えても実物の方が高かったのは本当に意外であった。但し、苦労した分を考慮すると見合ったリターンだったかは微妙なんだが。

 もう一つの方法はリノベーションによる賃料自体の引き上げだ。普通の現状回復工事で賃料を上げたところで単に空室期間が長期化するだけだ。上げるにはそれなりの投資が必要になる。それは需要側の要望を斟酌したうえで、値段に合った設備を適正な値段で提供することに他ならない。賃料引き上げはもう一つの効果を狙っている。それは上昇した賃料水準にある所得層を狙うこと。5万円の賃料を求めるユーザーと7万円のユーザーではやはり所得水準が違う。低価格を求めるユーザーは一番の要求項目が「賃料の絶対水準」だったりする。要するに安いことが第一なのだ。一方で、高めの賃料を受け入れる層は所得水準が高いというのもあるが、要求の第一項目は絶対水準でなく、「設備」になる。因みに東京圏と違って「駅から5分」とかは競争項目としては弱い。地方は車社会なのでよほど遠くにあるなら別だが、駅や商業施設まで5分-10分以内(勿論、車で)であれば差別化は難しい。ということでリノベーションによる賃料水準のアップを狙ってみた。どのようなリノベーションをするのか、まあ結論は見えているのだが、とりあえず人口動態的に検証してから計画を作ってみる。(とりあえずカッコよく言ってみる)



 厚生労働省の「国民生活基礎調査の概況」(平成23年)から抜粋した世帯構造別統計表からは、よく言われているように少子高齢化の影響がでている。単独世帯、夫婦のみ子供なし世帯の全世帯に対する比率で見ると47.9%とほぼ半分に達している。世帯別の平均人数を見ると下のグラフのようになる。



 要は少子高齢化、晩婚化に伴い単独世帯が増加、夫婦子供なし世帯が増加しており、平均世帯は継続して減少している。統計を取り始めた昭和28年には5人だったわけだから、いかに減ったのかがわかる。また平均人数が3人を割ったのは平成に入ってからであるのでここ20年間の減少傾向が加速していることが理解できる。つまり、ファミリー向けといっても20年前のファミリー向けは現在のファミリー向けでないことが容易に想像できる。そこでこんな計画にしてみた。



 計画の肝は間取り変更だ。保有している物件は平成3年頃に建設された物件で、築で20年を超えてきている。当時はファミリー向けといえばこのような3LDKが当たり前でLDK10畳、和室6畳・4.5畳、洋室5.5畳と平均的な間取りになっている。東京圏でファミリー向けでもこのような間取りはほとんどないが、地方で20年以上前だとこれが当たり前だった。購入した時から気になっていたのだが、この間取りは夫婦・子供2人の計4人もしくは5人といった家族構成を想定していている。現在の日本の平均的な家族構成とはマッチしない。

 まず、和室が人気がない。無論、和室を好む人がいるのは事実だが、最近の傾向はフローリングだ。それに世帯平均が3人を切っている状況では部屋数よりもリビングなどの生活空間がスペースが重要になってくる。LDK10畳というのは狭くはないが、実は商品の訴求力がない。賃借人が内見するときは家具などのものが置いてないのでスペースがあるように思えるのだが、実際に家具を配置すると10畳は狭く感じてしまうものだ。ここは自分の感性を信じて、というか「もし自分だったらどのような間取りがいいのか」というのを重視して窓側6畳の和室をぶっ潰して、LDK16畳に変更。洋室はカーペットからフローリングに変更した。

 ついでにいろいろと手を加えてみる。洗面台、浴槽、バス床なども交換した。ユニットバス交換でなく、単純に浴槽交換である点が重要。ユニット交換だとコストが10倍くらいになる。キッチンは変えたかったが、これもコストの面から断念。不動産業者によるとキッチンは30年以上もつのでよほどの不具合がないと交換しない方がいいと言われた。照明ははやりのLEDでおしゃれなやつを。東京圏では照明、エアコンがついているのが普通だが、地方ではついてないケースが多いらしい。だが、これは私のポリシーなので付ける。という訳でリフォーム前と後を比較してみる。



 お風呂は汚れるよね。後、トイレがあれだと借りる気力は落ちるよね。



 借りる人にもよるのだが、引っ越す前に掃除する人と、全く掃除しない人がいる。新品同様ピカピカにする必要もないしできないのは分かっているけど、必要最小限の掃除もしない人ってどうなんだろう。別に怒ってないけど、「立つ鳥跡を濁さず」ていう格言もあるんだけど。この物件は全く掃除の形跡がなかった。

 でまあ、リフォーム後は次の通り。まずはお風呂



 ユニットバスの交換をするとどんなに安くやっても60-70万かかる。だからたいていのオーナーはクリーニングで済ますんだけど、20年くらいたつとクリーニングでは落ちない汚れが発生する。次善の策としては浴槽交換というのがある。文字通り、ユニットは交換しないでパーツの一つである浴槽だけ新品に換えるという手だ。浴槽だけなら安く調達できれば5万くらいでいける。



 シャワートイレは日本国民には必須アイテム。当然購入した時はなしだったが、これは量販店で買えば2万-5万位でできる。便器まで変えるとえらいコストになるが、そうまでしなくてもOK。写真のは実はリフォーム前から設置したものでクリーニング後のもの。設置してからまだ3年たってないので今回は新調しなかった。



 洗面台変更。いまどきのはやりはやはりシャワー水栓。水栓部分が伸びるのでシャワーがすごく楽になる。自分は朝シャンなんてやったことないけど。特に女性には人気かも。



 やはり16畳のリビングは一言で言えば「spacious!!」。これなら自分でも住みたいと思う。天井のシーリングライトもLEDに交換。エコです。



 和室4.5畳をLDKから見た写真。流石にここをつぶすと寝るところがなくなってしまうので残したが、単身者ならとってもいいかもしれないな。まあ、しないけど。和室6畳をつぶした効果は面積だけでなく、リビングが「明るくなった」ことが一番大きい。採光できる窓の面積が増えたのだから当然なのだが、本当に「ものすごく明るくなった」のにはびっくりだ。



 キッチンは残念ながら交換しなかった。個人的にはしたかったが、コスト的に厳しい。別段、お金がなかったからでもないし、出せない金額でもないのだが、これをしてしまうと投資採算利回りがかなり低下する。「自分の住みたい」部屋にリノベーションするのは必要条件だが、投資採算利回りを無視してまでやるとただの「趣味」になってしまう。またREITの利回りを下回るようではやる意味がない。交換は無理だが、浄水機能付きの水栓に交換してみた。それと購入当初は蚊取り線香みたいな電熱器タイプだったが、IHに交換してある。



 洋室はカーペットからフローリングに。カーペットって人気ないんだよね。掃除しずらいというのもあるが、汚れが目立ちやすい。オーナーにとってはカーペットの方を好むがそれは「安い」から。



 20年以上の前の物件だからテレビカメラ付きインターホンなどはない物件。付けてみる。個人的には大したことがないと思ってたが、意外に受けている。やっぱセキュリティに関心があるからだろうか。20年以上前の物件なのでオートロックではないし、他の人がマンション内に簡単に侵入できるのでこれは必要なのかも。

 こんな感じでリノベーションを実行し、募集賃料を20%引き上げた。地方なんで埋まるのは半年くらいかかるかと思ってたら、なんとリノベーション終了と同時に賃借申込みが入った!! マジですか? まあ、工事終了がちょうど転勤シーズンの4月前に終わったというのがあるんだが、それにしても速攻で埋まったのには驚き。但し、一つだけ説明しておくと20%賃料を引き上げたが、それは「相場の範囲内」であって、コスト掛けたから相場を無視して賃料設定したわけではないことに留意してほしい。その地方での相場はグレードによって範囲があり、以前はどちらかと言えば相場レンジの下の方だった。それをレンジ上位(最高値ではない)に設定した訳で、コストから逆算して設定したわけではない。あくまでもその地方の相場を無視してはいけないというのは重要な点だ。

 実はブログには書いてないが、リノベーションはこれで2件目だ。1件目も同じような工事を行い、これも賃料設定を20%引き上げた。工事終了が転勤シーズンが終わった後なので埋まるのに半年かかったが、これも設定賃料で埋まった。


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下諏訪温泉に行ってみる

2013年02月26日 | Weblog
 別に温泉ブログにするつもりはないのだが、なんとなくそろそろ温泉のおいしい季節も終わるなあと感慨にふけっていたら、もう一回位行きたくなった。日本人というのは本当に幸運で、温泉地と呼ばれるところはごまんとある。温泉というレジャーが一般的でなおかついたるところにあるというのは世界を見回しても日本だけだろう。一方で選択肢がありすぎてどういう基準で選ぶかという問題もあるが、まあ適当に決めてみる。

 株式市場もあったまってきたし、このパワーが持続できればいいなあと考えていたら、やはり自分もパワーを貰おうと考えると.....やはり神頼み? 神様がいて温泉地なんてごまんとあると思うけど、そこはとんでも科学風(非科学的)に考えてみる。日本列島の地質学的な大きな特徴として中央構造線の存在があげられる。中央構造線とは日本列島を横断する大きな谷のようなもので衛星画像でも確認できる巨大なものだ。



 中央構造線は西は九州から四国を横切り、長野をとおって関東に至り千葉県の銚子沖を抜ける大渓谷ともいうべきものだ。興味深いのはフォッサマグナ地域を隔てる糸魚川-静岡構造線とぶつかって(フォッサマグナのどこをとおっているか分からないが)関東に抜けている。中央構造線はまたパワースポットとの関連性を指摘する(自称)専門家が多い。



 パワースポットとして有名な磁場ゼロ地域と呼ばれる分杭峠が中央構造線上にあり、諏訪大社、豊川稲荷、伊勢神宮、それに(ちょっとずれているけど)高野山、石槌山(日本七霊山のひとつ)などがある。その中でも諏訪大社位置する諏訪湖はフォッサマグナとの境界になる糸魚川-静岡構造線と中央構造線がぶつかる場所の断層が湖を形成したとされており、しかも諏訪大社で最も古いとされる前宮が置かれたのがその線上であることが確かめられています。

 おぉぉ、一気に胡散臭くなってきた。



最初は春宮。下諏訪駅から徒歩で15分位。現地に行って初めて知ったのだが、いわゆる諏訪大社とは春宮、秋宮、本宮、前宮の4つの神社の総称で、出雲大社とか春日大社とか1つの社の事でないというを初めて知った。また、諏訪大社は男の神様と女の神様が祭られており、下諏訪にある春宮、秋宮は女の神様。上諏訪方面にある本宮、前宮は男の神様が祭られている。また季節によって神様は遷座なされるようで、今の時期は女の神様は春宮におり、3月になると秋宮に移動するとのことだ。行ってみないと分からないことだ。



万治の石仏。高さ2メートルほどの半球状の自然石の上に、ちょこんと仏頭が乗っている。何とはなしにイースター島のモアイに似ている。伝説によれば諏訪大社に大鳥居を奉納する際に石工がこの石を材料にしようとノミを入れたところ、血が流れ出し恐れをなして作業を中断し阿弥陀如来を刻んで建立したといわれる。2002年から2007年にかけて仏頭の首が5センチ伸びるという怪現象が起きた。また芸術家岡本太郎がこれを見て大絶賛、何度もこの石仏を見るために当地を訪れたという。名前の由来は胴体に刻まれている「万治三年十一月一日」から来ている。石仏の回りを三回回って祈ると万病を治すとも。当然、回ってみた。



 秋宮。春宮と作りが同じなので一枚目との区別がつきにくいが別の場所にある。訪問時は神様は春宮にいるので不在。因みに女の神様とは八坂刀売神(やさかとめのかみ)といい、男の神様の奥さんです。



 諏訪湖。糸魚川-静岡構造線の断層運動によってできた湖で構造湖(亀裂によってできた湖)。従って、最大水深でも7.2m、平均4.7mととても浅い。冬になると凍結する。凍結した時に氷がせりあがる現象が起き、これを「御神渡り」と呼ぶ。一説では男の神様が女の神様のもとに通ったことでこれが起きるとされた・御神渡りが発生すると神事が執り行われいろいろな吉凶を占う。記録では少なくとも14世紀から行われている。訪問当時は半分氷が解けてしまっており、御神渡りは見られなかった。



 本宮。男の神様のいる所。男の神様とは建御名方神(たけみなかた)で出雲の国譲りに抵抗し敗北して諏訪まで落ち延びたとされる。また諏訪大社には御柱祭という奇祭があり、7年に一度材木を切り出して坂から落とすという神事で死人も出ることがあるという荒っぽいものだ。かなり大昔から行われており、少なくとも平安時代以前から行われているらしい。こういう長い伝統を持つ祭祀はたいていの場合、国などから無形文化財の認定を受けるのだが、あまりにも危険な祭りの為、国の指定を受けられないそうだ。



 前宮。最も古くからある社で、最初にできたものらしい。古文書よれば、出雲で敗れた建御名方神は諏訪地のやってきたときにすでに土着の神がいたという。その土着の神を追い出して今の地に来たとの言い伝えがある。それを考えると出雲からこの地にやってきた部族が土着の部族を駆逐したと解釈ができるが、まあそんなところだろう。



 諏訪湖の氷は半分解けたといってもやはり東京よりも寒い、つららができるほどた。因みにこの写真は尖石縄文博物館の建物。ここには国宝に指定されている縄文のビーナスと呼ばれる土偶が展示されている。実物が展示されている。見てきました。

 ということで、パワースポットをまわったが、自分がパワーを得ることができたかと言えば.......................全くわかりませんでした。


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鬼怒川温泉に行ってみる

2013年02月20日 | Weblog
株式市場も好調、REITもまずまず。円安傾向の継続とやることがあまりない。新規公開したコンフォリアと日本ロジスティクスだが、コンフォリアは少し買ってみたがロジスティクスは見送った。いくらなんでも高すぎないか。物流REITだよ。地価が上昇してNAVが上がると思っているのだろうか。地価の高い場所に物流倉庫は作らないだろう。それとも稼働率が上昇・レントの上昇を想定しているのだろうか。アマゾンや楽天などのネット通販が送料無料で激しい競争をしているのに、レントは上がらないだろう。稼働率の上昇にしてもかなり高い稼働率を想定して物流倉庫を建てているわけだから、そんなに上がらないんじゃないのか。まあ、それだけ市場が熱狂している証拠だろう。産業ファンドが一時分配金利回りが10%を超えていたのが懐かしい。

 こういう時は何をしてもうまくいかないので温泉に行くことにした。場所は鬼怒川にした。電車で2時間で行けるとてもお手軽な場所だ。何十年も前にそれこそ小学校の修学旅行で行った記憶があるのだが、記憶がぼやけていてどんな場所か忘れてしまったというのも理由の一つだ。



 冬の鬼怒川は寒い。夏がやはりピークシーズンらしいのだが、温泉地にしては寂れてしまっている。やはり海外に行く人が多くなって日本の観光地もすたれてしまったか。外国人観光客もほとんどいなかった。



 泊まったホテルは駅から徒歩5分の鬼怒川金谷ホテル。評判は良いらしい。実際に良かった。お風呂の写真はないが、こぎれいでよい。但し、狭いけど。せっかく来たのだろから少し観光してみる。日光は電車で30分くらいで近いので行ってみる。鬼怒川自体は川下りとかあるのだが、冬は閉鎖中。



 東照宮までの参道の木漏れ日。運よく晴れていて寒いながらも気分の良い日だった。



 まあ、いわゆる東照宮だ。東照宮をじっくり見ると一時間半かかるらしいが、やはり寒い。鬼怒川でおのぼりさんの真似をして日光江戸村、東武ワールドスクエアを見て回る。



 人がいない。料金はデズニーランド並みだが、ちょっとという感じ。



 東武ワールドスクエア。要するにミニチュアセットが置いてある。まあ、これを見に電車で行くほどでもないが、鬼怒川・日光を回った時に暇をつぶすという感じだ。観光というよりも静かに過ごすというのが目的だったのでその目的は達成した。宿泊中、テレビもネットもほとんど見なかった。こんな感じでゆっくり過ごすというのは意外に難しい。観光地に行くとやはり何か見て回らねばという強迫観念に囚われ投宿先でのんびりすることは普通の人には難しい。夜中にふと外を見て東京では考えられないくらいの満点の星を見れたのは今回回った東照宮・江戸村・ワールドスクエアを凌駕する感動した景色であった。残念ながら写真技術がないので星空の撮影には失敗した。あれは一体どうやったら撮れるんだ。

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猪苗代温泉に行く

2012年12月24日 | Weblog
 特に理由があったわけではないが、露天風呂付き客室に泊まりたくなった。露天風呂がある温泉は結構あるしそれは珍しくない。宿泊客専用の露天風呂というのもあることはある。だが、その中身は部屋の外に風呂桶がおいてあって、蛇口をひねってお風呂を楽しむというものが多く。単に外にお風呂がありますよ程度のものでしかないのが多い。一度河口湖の温泉宿で露天風呂付き客室というのにとまったのだが、それだった。見ると結構がっかりする。普通の人は源泉かけ流しの温泉が独占できると思いがちだが、温泉ですらないものが多く、泊まった人の多くはたいていがっかりする。

 たまたまネットで見てみたらイメージに近いものがあった。猪苗代湖の近くの温泉だ。別段、福島頑張れと思っていこうとしたわけでなく、探していたら福島県の猪苗代湖だった。というわけで、源泉かけ流しの各客室に露天風呂があるという宿にいってきた。お風呂自体も大きくて、10畳近くある。



 意外と近くて東京からは新幹線・在来線乗り継いで2時間30分位でついてしまう。こんなに近いのに天気は大違いで、言ったのは12月の中旬だったが、12月に入ってから大雪がずっと続いていたそうだ。

 

 雪化粧の庭園を眺めがら露天風呂というのは結構風情がある。外は寒いが、温泉につかってぼーとする。なんとも至福の時ではないか。猪苗代湖といえば、スキーとかで有名らしいが、ウィンタースポーツは興味がないし、それ以外は観光名所もほとんどないので温泉以外することはない。それがいいという人にはお勧め。



 露天風呂独り占め。ああ、なんという贅沢。因みに泊まった旅館だが、静楓亭(せいふうてい)という旅館。1泊2万7千円-3万8千円(2人で行く場合、1人なら4万5千-5万円)

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なんやかんやで時間が経って

2012年12月16日 | 投資理論
 ブログ更新もせずにかなりの年月が経ってしまった。別段何かが起こったわけでもなく、ただ市場がつまらないので放置していた。まあ、近況を書けば今年はREIT指数が年初から23%上昇したことにより、トータルの資産のリターンも19%程度の上昇になった(11月末現在)。REIT指数よりも割り負けているのは株式資産が足を引っ張っている点(年初来でTOPIXが+7.2%、MSCI Kokusai指数がドルベース+12.31%)と実物資産の価格変動をゼロとおいたことが影響しているが、そこそこいい線をいっているだろう。因みに東日本大震災が起こった2011年はトータルの資産リターンで-6%程度になったが、TOPIXが-18.94%、REIT指数が-26.21%、MSCI Kokusai指数が-6.64%(但しドルベース)下落したことからこれもまあいい線いっているといってよいだろう。

 アセットアロケーションはREIT資産を含む日本株式・投資証券が60%、外国株式が15%、実物資産が10%、キャッシュが14%、その他が1%キャッシュが多いのは株式の大幅調整を予想していたことだが、結局大きなものはなかった。それでも、自慢するわけではないがアセットアロケーションはいわゆる機関投資家と比較しても勝っている方ではないのでなかろうか。株式会社格付投資情報センターが発表しているR&I年金ユニバース・パフォーマンスによれば2012年1-3月は6.82%のプラス、4-9月はマイナス2.02%だから年初来で考えると時間加重収益率で4.66%のプラスだ。9月末現在で見ても私の資産全体のパフォーマンスは18%を超えているのでまずは勝利だ。とはいっても個人資産と企業年金のパフォーマンスを比較しても仕方のないことだが、でもやっぱ自分がどうだったかというのは知りたいところだ。R&I年金パフォーマンスは日本の厚生年金基金、確定給付企業年金の多くを網羅しているので、「世間並み」がどの辺にあるのかを教えてくれる。

 勝っているからと言っても常に勝っているわけではない。例えば2011年の場合(私のパフォーマンス評価は暦年ベースで行っており、企業年金では年度ベースで行っているので比較するには再計算する必要がある)、R&Iの年金ユニバースのリターンは再計算してみると-3.6%。私の資産は6%以上下がっているので負けていることになる。一番の大きな原因は債券の比率がどの程度あるのかという一点に尽きる。基本的に為替ヘッジ目的以外の債券投資にはあまり興味がないのでほとんど投資していない。債券投資の世間並みがどの程度なのかは不明だが、一番参考になるのが企業年金連合会のアセットアロケーションだ。


            
 企業年金連合会は実は私もお世話になる予定の年金基金で、転職した人や退職して自営業などになった人が企業に勤めていた時に掛けていた厚生年金基金の資産を引き継ぐ組織だ。わかっているとは思うけど国が運用している厚生年金(基礎年金)と企業が運用している厚生年金基金は別物ですから。紛らわしいので理解している人が少ないのだが.....。これで見てもわかるとおり、債券の比率は結構多い。外国債券を含めれば59%。つまり6割も組み入れている。個人的にこれはどうかなと思うけど。アセットアロケーションで顕著に変化したのはやはりリーマンショックの時で21年度から22年度にかけて大幅に国内株式の組み入れ比率が減少している。一方で外国株式の比率は上昇しているが、先進国から新興国株式に振り向けられたと考えれば頷ける。リターンの方はどうなったかと言えば、それは下の図になる。



 債券の比率を上昇させた割には資産のボラティリティが低下しているとも思えない。債券を引き上げるという意味は株式士資産のボラティリティと比較して期待リターンが低いと予想していることを示しており、当然資産のボラティリティを引き下げパフォーマンスの悪化を防ぐ目論見だが、あんまり成功しているようには見えない。むしろ、市場が好転した23年度は株式の比率が低すぎてとれるリターンが取れなかったとも解釈でき、裏目に出たとも言えるのではないか。年金の指導的立場にある企業年金連合会が保守的なアセットアロケーションを組んでいるのには理由がある。AIJ事件で注目されたが、総合型と呼ばれる中小企業主体の年金システムが崩壊しかかっている。基金の解散とかあるとその受け皿になるのは連合会だ。10兆円弱の資産規模を誇る連合会だが、今後の年金給付や解散基金の増加を考えるとあまりリスクを取れなくなるのは自然だ。直近の23年度で見ると給付・受換金の合計ではネット5千億円のキャッシュアウトになっており、ピークで13兆円あった資産は25%以上減少している。



 アセットアロケーションというと即ち、「いかに儲けるか」というのが第一目標と考えられがちだが、それは投資主体による。私のような個人では確かにそれが第一目標といっても良いだろうが、年金基金の場合には少し意味合いが違う(と私は考える)。年金であるからには年金受給者に対して受給権の確保。即ち、資産の保全が重要であることは間違いない。実は資産の保全という観点では国ごとに考え方の違いがあって、例えば欧米など最も早くから年金制度を初めた国では株式資産への傾斜が高く、債券・不動産への比率が低い。これは株式に長期にベットしてリターンを上げることを目指しており、一方で債券はポートフォリオのボラティリティの低下、つまりリスクリターンプロファイルの改善を目的としている。不動産は一般的にリスクが高いと考えられており、ようするにリターンはあるかもしれないが「あぶない」資産クラスと考えられている。一方、日本では株式は「あぶない資産」と考えられ、債券は安全、不動産はまあまあ安全と考えられているのは特徴的だ。「年金は大切な資産だから、安全に運用しなくてはならない」。確かにこの考え方は間違っていない。間違っていないから合成の誤謬というか、意図せざる結果をもたらす。

           
 上の図は経済財政諮問会議のグローバル化改革専門調査会が平成20年に出したレポートで出ていた図を載せたが、日本の2002年から2007年の平均収益率は2.9%。カナダの9.1%はもとよりノルウェーの4.6%にも負けている。但し、注意しなければならない点として旧大蔵省預託分を除く、市場運用部分で見ると4.3%となる。それでもカナダには負ける。これはどういうことかと言えば、仮に平均リターンが5%と下位だが、それなりの運用をしたとすれば日本の実績値との差は3%。5年間で複利計算すれば、資産は1.15倍になる。国民年金・厚生年金保険(政府管掌分)の積立金規模が149兆円だから、5年間で23.7兆円の差がでていることになる。確かに損はしてなかったが、儲けそこなったのは「損じゃないか」? 因みに各国のアセットアロケーションを示せば以下の通りとなる。



「だからもうけるのが正解だろう」と言われれば、そうなんだけれども、そうじゃない。結局、アセットアロケーションはちょっとカッコよく言えば投資の理念・哲学・思想が反映されていなくてはならない。報告書で紹介されているカナダの年金基金の場合、投資の目標・信念は次のようなものとされている。

・CPPIBの運用の使命は、加入者及び受給者の最善の利益のために投資を行い、カナダ年金制度の資金調達に与える影響や同制度の財政上の義務を考慮しながら、不必要なリスクを回避して長期的な投資収益を最大化させることとされている。

また、CPPIBは次のような考え方で運用を行っていることを明らかにしている。

1. 投資に対する新しい考え方は、収益をもたらし得るものである一方、このような投資にはスキルが必要。

2. 先行して参入することには、高いリスクがあるが、高収益を得るチャンスもある。

3. 市場収益を上回る収益(α)は非常に重要である。ひとつの市場において、投資家が多くなるほど、αの獲得は難しくなる。

4. 未公開株は多大な収益をもたらすものである。


 さらにノルウェーの政府年金基金の場合は

○ 将来の高齢化の進展による福祉関連支出の増加に対し、石油・天然ガス産出による財産を将来世代に残すことが投資の目標とされている。

○ 基金財産は国会の承認に従って中央財政のみに使用されることとしている。基金の運用益は中央政府の財政赤字補填を行うこととされており、その補填額を除いた剰余金は基金の積立金として蓄積される。中央政府の財政赤字補填(2008年予算で約7,300億円、約4%に相当)に当たっては、基金の仮想収益率を4%として政府予算を組んでいる。

○ 国内外に対しての情報開示を徹底して行っている。

 カナダと違って少し、あいまいな書き方だが、国内の資源で得た資産を将来に残すという点をはっきりさせている。そのために資産配分は株式資産は41%の配分としているが、ノルウェー株式。即ち、自国株式の配分をゼロとおいているのが特徴的だ。自国市場が小さいことから海外株式に特化するとは
っきり打ち出している点が興味深い。


 スウェーデンのケースではこんな感じ

○ 所得比例年金において可能な限り高いリターンを得ることとされている。ただし、投資における全体的なリスク水準は低くあるべき、また、リスクの水準は、長期的に高いリターンが見込まれるように決定されるべきとされている。

○ 産業政策やその他の経済的関心については勘案しないこととされている。

 運用資産の30%以上は信用リスク及び流動性リスクの低い債券に投資することと、インハウス運用及び、アクティブ運用の比率が高い。特にアクティブ比率は7割以上になっており、日本の年金で流行っているインデックス運用とは一線を画している。



 翻って日本の公的年金の運用の理念・哲学・思想とはなんだろうか。「長期的な観点からの安全かつ効率的な運用」、「分散投資を基本として長期的な観点からの資産構成割合(基本ポートフォリオ)」を定め、これに基づき管理・運用」などとまあわかるんだけどアナリスト試験のテキストからコピペしたような文章がつらつらと並んでいる。先ほどのカナダの例で言えば、受給者の利益を考慮して最善の投資を行う。即ち、リターンに見合ったリスクはちゃんと取りますと宣言しており、その具体例を挙げている。ノルウェーの場合でも資産を後世の世代に残すためにリスクを取ります。但し、自国市場は小さすぎるので投資しませんと宣言している。スウェーデンの場合には少しあいまいだが、一定の債券投資を除けばリスクを取ります。そしてインハウス・アクティブ運用が多いという特徴がある。アクティブが多いということは市場リターンだけでなく、積極的にアルファを取りに行くということを宣言していることだ。

 そこで先ほどの哲学・思想に関わるのだけれども、「受給権は大切だから損しないようになるべくリスクを押さえます」というのは思想たり得ない。これは年金は年金でも閉鎖年金の思想だ。閉鎖年金とは加入者がいない受給者だけで構成される年金のことを指し、受給者に給付をすることを最大の目的とした年金を言う。従って、リスクは取らず給付ととも最後には消滅することを前提にしている年金だ。

 投資は期待収益率をもとにアセットアロケーションを決定するというのは確かに教科書が教えることだが、結局のところ期待収益率をバーラモデルとかでどんなに精緻に最適化計算をしたとしても確率論的に高いものしかでてこない。つまり絶対に正しい答えなど世の中に存在していない。個人の場合には1年あるいは3か月程度の見通しでしか市場を見ない。機関投資家でさえ、毎四半期のレビューを恐れて、長期と言いながら3か月位の見通しで運用している。本来、長期で考えられるはずの年金基金ですら、理事会への報告の為にアロケーションは1年位でしか考えられないのが現状だ。

 そんな不確実な世界にいる我々が長期の視点で運用など本当にできるのだろうか。損を出さずに利益を最大化するなど神でもないわれわれ人間が可能なんだろうか。こういった不可知論に陥ると何もできなくなるが、それを防止するために運用の哲学・思想が必要になってくる。確かに絶対確実な期待収益率は得られない。損する可能性もある。受給権の確保はとても重要だ。神に頼ることができない我々人間は次に頼るのはおのれ自身が持つ信念による他ない。 哲学・信念は人それぞれ、お国ごとにも違うので正解はないが、例えばこんな感じ。

・長期(ここでは30-50年とかの単位)で考えれば、経済は拡大再生産して行く(ここでは単に日本経済という視点でなく、世界規模での経済の拡大再生産を前提とする)。従って、受給権の確保とリターン最大化を狙うには債券投資よりも企業への投資、即ち株式投資への傾斜配分がリスク・リターンプロファイルを最適化させる。株式投資は経済のグローバル化の進展を考慮してGDPウェイトベースのベンチマークを採用する。アクティブ投資はインデックス投資に負けるというリサーチ結果が数多くでているが、優秀なファンドマネジャーは必ず存在する。従って丹念にマネジャーの資質を精査しながら、一定割合のアクティブ投資を行ってアルファを獲得する。未公開株投資はリスクは高いがリターンも大きい。新興国経済の一層の成長は当該市場の株式リターンが高いと予想できるためある程度の配分を行う。


 上記に書いた内容が正しい、正しくないというのは議論の余地はあるが、繰り返しになるが思想・信念に1つの正解はない。つまるところ、それを信じきることができるかが重要なのだ。なんだか、宗教がかってくるが、絶対確実な期待収益率が得られないのは真実である以上、何を信じるかが重要であって「慎重」にとか「適切」、「リスク管理」とかわかったようなわからない言葉を語るよりも、最善の運用するためにどういった信念でもって運用するかを明らかにするのが大切だ。「経済が拡大再生産に向かう」と信じられるか、「優秀なアクティブマネジャーが存在する」と信じられるか。「新興国の経済成長」を信じられるかが上記で問われている。ちょっとかっこよく言えば、アセットアロケーションには自らが信じる思想・信念が入っていなくてはならない。

 先ほどの企業年金連合会のアセットアロケーションを見ると、日本株の長期的な配分減少は「日本経済は衰退する」もしくは「日本経済の低迷はさらに長期化する」との暗黙の了解が資産配分に実現したものだ。原発事故いらいよく「がんばろう」という言葉をよく聞く。「頑張ろう日本」という標語もよく目にするが、日本の投資家に限っては「日本は頑張れない」という暗黙の信念があるようだ。私は「日本は頑張れる」との信念から日本株の比率はかなり多いです。恐らくこの信念は相場がどうなっても変化しないだろう。なぜなら私の信念だから。

 PS

 文章を読み返して気づいたのだが、上記の議論で言っているアセットアロケーションとは厳密には「ポリシーアセットアロケーション」を指します。ポリシーとはGPIFなどが言っている基本アセットミックスと同じで長期で保持すべき基本的なアセットアロケーションを指し、実際の運用の過程では資産配分を変更するのは問題ない。信念があるからと言って確たる相場見通しがあっても当該資産を減らしてはいけないという意味ではなく、マーケットのタイミングで資産配分を変更することをタクティカルアロケーションと呼ぶ。一般の投資家は資産配分と言えば、タクティカルアロケーションの事だと考えているが、長期の投資家にとってはポリシーとタクティカルをわけて考える必要がある。短期的に相場局面で資産配分を変更してもそれは基本配分であるポリシーに色を付ける形で行い、もし相場予想が立たない、よく分からない、自信がない場合、長期配分であるポリシー配分に戻るという形で利用される。ポリシーが必要なのは人間は間違える、自信過剰になる、悲観的になるのが普通なのでそれらを防止するアンカー(錨)の役割を果たす。そういう意味でポリシーはアンカー配分とも呼ばれる。

 年金運用ではよく使われる概念なのだが、まあ、何を言っているのかわからないという人は特に気にする必要はありません。上記の議論含めて忘れてください。


 最後に最近もらった株主優待を紹介



 日清食品のセットです。結構大きいです。



 これはJT。優待品は選べます。私はごはんセットを選びました。

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住友林業(1911)

2011年07月14日 | 銘柄研究
 アナリスト協会主催の会社説明会(個人向け)に参加する。実のところ、それほど興味があったわけではないが、震災後ということもあり、業績がどうなるのかという点に関しては知りたかったところだ。



 住友林業を知らない人というのはそれほどいないと思うのだが、業態を知っている人は実際には少ないのかもしれない。住宅メーカーというイメージがあるくらいだろう。創業は1691年、設立1948年。創業が江戸時代になっているのは住友家が愛媛県・別子銅山を開坑した時期を指していて、住友林業がそのころできたわけでなく、住友家が創業したときを創業といっている。どちらにせよ由緒あるということか。現在の株価は上のグラフの通りだが、バリュエーションではPER13倍、PBR0.81、配当利回り2.01%。まあ、こんなものだろう。株価のチャートを見て思ったのだが、売られたときに仕込んでおけば結構儲かるんじゃないかという印象を持つ。500円台で仕込んでおけばその後値上がりするんじゃないかと簡単に考えてしまうのだが、その時の相場で買える勇気は多分ないんだろうなあとも思ったりする。そんなに簡単だったら、こんな株価チャートはしてないよね。


 当社は年間9000棟の受注能力を持っており、国内での市場シェアは2.9%程度だ(持家着工ベース)。この数字は過去10年間変化しておらず、住宅着工数の動向で業績が変わってくるとも解釈できる。つまり、それほど面白みを感じる業態でないというのが誰しもが最初に持つ印象で、実際に私もそう思った。坪単価は80万円弱で推移しており、つまり高い。住友林業の顧客層もそれなりの収入を持っている層が対象となる。デフレの時代には逆風の吹きやすい会社であることも事実。当社の強みはまず国内でNo1の木材流通商社機能を有していることと、日本全国で42642haの社有林を保有している。この社有林は日本の国土の900分の1にあたるそうだ。プレハブメーカーとの違いはといえば、やはり現場施工であること。これは大工さん中心の施工でやってますという意味だ。会社によればプレハブと違い、細かいカスタマイズが可能なのが強みであるとのこと。言い換えれば、自由度がある分それだけコストがかかるので、坪単価は安くならない。当然顧客層も高いインカム層に偏るので、マーケットシェアも大きく高まるという期待はそれほどできないという意地悪な見方も可能。

 上のグラフを見てみると直近のファンダメンタルズに変化が見られる。ひとつは坪単価が上昇していること。2009年に756千円に低下した後、2年連続で上昇している。単純に解釈すればリーマンショック後の低迷から回復しつつあると見ることもできる。また当社は全国展開している会社であるが、地域別の受注動向にも若干の変化が見られる。グラフでは見づらいが、首都圏顧客の比率が2009年で31%であったものが、直近の2011年では33%に増加している。首都圏にはやはり顧客の大部分がいるのでこの回復傾向は市場の回復と軌を一にしている。


 実際に住宅着工を見てもその傾向が見て取れる。持家着工の数字を拾うと2008年が31万1803戸に対して2010年が28万6993戸と8%も減少している。2011年に30万8517戸まで回復しており、水準的には2009年まで戻った感じだ。2002年の37万7066戸まで回復するかどうかは疑問だ。当社が顧客とするのは土地を持っていて家を建てるような人だが、少子高齢化で持家のニーズがどれだけ高まるか不透明だ。私事だが、自分の両親は数年前に一戸建てからマンションに引っ越した。やはり戸建は高齢者にはつらいようで、労力もコストもかかる戸建よりもマンションという選択が年を取った人には有力な選択肢になりうるようだ。


 業績はご覧の通りだがどうもエクサイティングではないのはどうしてだろう。やはり業態からくるのであろうか。成長性という点で天井が見えてしまっているというのが正解ではないか。マクロ動向で業績が決まるのなら、天井はそれほど高くないと思えてしまうからだろうか。それでも業績は回復している。今期は経常利益ベースでみると47%の大幅な増益になっているが、この数字は実際にはもっと高い。というのはここでは年金数理差異の影響が表れていて、その影響を除くと実質ベースの経常利益は170億円になる。また前期の経常利益94億円も年金数理差異の影響を取り除くと74億円であり、実質的な経常増益率は139%の大幅な増益になっている。つまり、10年度の営業利益は24億円のゲタをはいており、終わった期の営業利益は28億円少なく表示されている。増益の中身であるが、それは下のグラフ。



 これで見るとやはりつまらない。というか結論が見えていて持家着工の増加。即ち、マクロ要因が大きい。受注増、単価上昇で52億円。それに伴う木材建材の増加28億円。戸建分譲の増加19億円、リフォーム5億円。細かく説明すればそれなりにあるのだろうが、要は着工戸数が増加したという一言だ。それでも変動要因として年金費用の増減に関しては一定の注意を払う必要があるのはじじつなのだが、それにしても面白くない。もっと成長のドライバーはないのだろうかという気持ちになる。少し不謹慎だが、東日本大震災に伴う仮設住宅需要の増加に関してはどうだろうか。しかし、これは期待することができない。プレハブと違って木造現場施工なので仮設住宅のような大量に必要な量を作る能力がない。とはいっても応急住宅の建設で当社も参加しているのたが、阪神大震災の時の施工実績が200棟とのこと。今回は具体的には説明しなかったが、その倍くらいの400棟くらいた。プレハブメーカーは何千棟と施工するのと規模が全く違う。また、会社側の説明ではやはり災害対応ということで利益はでないということだ。いかに赤字にならずに施工できるかというのがポイントだそうだ。まあ、そうだろうな。

 ひとつだけ、考えられるのは海外事業だ。海外事業は2010年3月期に売上255億円だが、前期は332億円。今期は380億円になると予想されている。利益について言えば赤字なのだが、一昨年が26億円の赤字が終わった期で18億円。今期は損益トントンになると予想されている。海外は植林事業、住宅、建材製造などで、海外の山林は19万haとそれなりの規模だ。また、売り上げは持分法の会社を除いており、それらの会社を含めれば売り上げ規模は750億円に達するという。しいて言えば海外部門の成長がどうなるかだが、それでもまだ時間がかかりそうだ。最後に年金費用についてコメントしてみる。



 年金と企業業績は切り離せなくなっているが、会計処理がこまごましているうえに年金の費用認識のシステムを理解するのが難しい。また、年金の仕組み自体を理解するのが難しいので投資家も混乱しやすい。サトー株主総会の記事でも年金の話をしたと思うが、やはりややこしい。上の経常利益の増減表にもあるとおり今回の年金数理差異での影響が11年3月期に28億円のマイナスにきいており、10年3月期に24億円のプラスに効いている。具体的に年金数理差異分28億円が販管費に加えられている。問題なのは「年金数理差異」とはなんぞやということだが、以下のように定義される。

 日本の退職給付会計において、数理計算上の差異とは、(1)年金資産の期待運用収益と実際の運用成果との差異、(2)退職給付債務の数理計算に用いた見積数値(計算基礎率)と実績との差異および(3)退職給付債務の数理計算に用いた見積数値(計算基礎率)の変更により発生した差異である。
 なお、数理計算上の差異のうち、当期末時点にまだ費用処理されていない金額を「未認識数理計算上の差異」といい、この未認識数理計算上の差異は将来にわたって費用処理される。

 はい。何言っているのかわかりませんよね。そうなんですよ。年金関係は理解するもの難しいのだが、説明するのはもっと難しい。ちょっと乱暴に説明すると、住友林業の2010年3月期末の年金資産残高は411億23百万円だった。一方、その前の期の資産は419億96百万円となっている。つまり資産は減少している。年金基金の期待運用収益率は3.6%となっており、本来であれば15億円のリターンが期待されていたわけだ。つまりこの分の差が予想と現実の差になる。それに(2)の分の差を加えて数理差異とするわけだが、上記定義の(2)の部分は簡単に計算できない。これは年金アクチュアリーでもなければ計算できない。退職給付費用は上記の表でいえば、イからホまでたしあげたヘの部分にチ、リを足すと総額が計算できる。ややこしいのは、退職給付費用が損益計算書の同じ項目で計上されるのではなく、営業費用となる部分と特別損益に計上される部分に分かれる点だ。赤く囲った数理差異に関しては営業費用として計上され、緑色の部分は特別損益に計上される。

 どちらにせよ年金が絡むとややこしくなるのは確か。それに今度から包括利益という概念まで出てきて何が何やらわからなくなってきた。

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NSD(9759)株主総会

2011年07月05日 | 銘柄研究
 NSDの株主総会に参加。株主のくせに知らなかったというのも実に奇妙な事だが、本社が東京に移っていたなんて知らなかった。NSD、いや旧日本システムディベロップメントといえば大阪のソフトウェア会社として有名で外人の好む銘柄としても有名だった。それが商号変更を昨年行ってNSDになったという事実を実は知らなかった。じゃ、なんで買ったのという厳しい突っ込みがありそうだが、それはまあ、NSDも日本システムデベロップメントも同じと思ってたんで。ついでに言うと東京に本社を移転(正確には大阪・東京2本社体制の一元化)を行ったのは2006年12月。ああ、もうそんな前だったのね。

 総会は6月28日午前10時、小田急第一生命ビル18階本社会議室で開催。大江戸線の都庁前で降りると近いと書いてあったので大江戸線に乗ったのだが、失敗した。大江戸線は他の地下鉄と異なり、何気に止まる駅が多い。えらく時間がかかる。これなら、東京から丸の内で新宿に行って歩いたほうが早いかもしれないという気になった。もしくは東京から中央線で新宿とか。大江戸線はなんていうか、地下鉄というか、地下を走るバスみたいな気分だ。車内のアナウンスもローカルな宣伝流しているし、駅と駅の間隔も短いうえに数が多い。こういうのもなんだが、都庁前駅なんか作る必要があったのだろうか。だから都営線は儲からないなんじゃないのか。ということで遅刻した。受付でお土産とミネラルウォーターを貰う。会議室に入るとすでに業績説明のビデオが流れている。会議室は結構広く、参加している株主もそれなりにいるのだが、NSDの株式市場でのイメージとは異なり何とはなしに閑散としているという印象を受ける。NSDのネームバリューももう過去の話かもしれないというと思った。議事進行も株主からの質問もまあ、普通というか、特に問題なく終わる。特に印象に残らない。お土産を家に帰ってからみてみると千趣会の選べるギフト。千趣会のページで調べてみたら価格2100円(税込)となっていた。まあ、そんなものだろう。しかし、ギフトカタログを見てみての最初の印象。「欲しいものが一つもない.....」 しいて選ぶなら、タオルかスプーンくらいかな。



 業績はパッとしない。というよりも衰退しているのかもという印象さえ与える。じゃあなんで買ったのというのは.....まあ、いろいろ考えるところがあって....ともかく業績のトレンドを見てみると



 業績を長期間にさかのぼれる資料がなかったので、過去の決算説明会資料から2001年3月期から前期までの12年間の業績トレンドのグラフを作ってみた。ああ。見事に下降トレンドですな。売上が落ちれば当然、業績も苦しくなるわけだが、それではどの分野がというのが問題となってくる。NSDの事業セグメントは大きく分けて3つある。①システムソリューションサービス、②人材派遣、③不動産賃貸の3つで、そのうち最大のセグメントシステムソリューションサービス。終わった期で全体の売上高の93.8%を占めているわけであるからここで説明がつく。システムソリューションはさらに情報サービスとソフトウェアプロダクトの2つに分類される。情報サービスはソフトウェア開発とコンピュータ室運営の2つからなるビジネスでいわゆるソフト会社のコアとなるものだ。一方、ソフトウェアプロダクトはパッケージソフトなどを取扱う事業。直近の売上は情報サービス299億円、ソフトウェアプロダクト13.3億円なのでやはり情報サービスの比重が高い。情報サービスの中のコンピュータ室運営は17.9億円なのでやはりソフト開発が大きい。



 情報サービスの売上がピークとなったのは2001年3月以降で見てみると2008年3月の382億円だ。その時には同部門の事業粗利は112億円になっており、営業利益もピークの87億円まで上昇している。現在の同部門の粗利は56億86百万まで減少。粗利的には以前のボトムであって2004年の粗利63億円すら下回っている。景気が悪いというのも割引く必要があるかもしれないが、過去12年間のトレンドから見て成長のモーメンタムを失っているという見方すらできるかもしれない。リーマンショックとかいろいろあったのは理解できるが、売上400億円を突破できたのは2001年度、2006年-2008年にかけての4年。500億円突破は一度もない。ソフトウェア業が成長産業というのはすでに過去の話となったようだ。

 リーマンショック、東日本大震災と続けざまに不幸が日本経済を襲ったわけだから企業のIT投資が低迷するのは当然としても今後、需要が回復するのかという点と、NSDに成長ポテンシャルがあるのかというのが最も重要なポイントだろう。これだけを見ると単に景況感の悪化で業績が低迷しているだけでいずれ回復するんではないかと思われるが、果たして本当にそうなんだろうか。日本企業のIT投資との関係で見る必要があるのではないか。その疑問には会社プレゼン資料から答えを導けないので調べてみた。



 上のグラフは経済産業省の企業活動基本調査という統計資料をベースにNSDの営業利益と並べて比較して作成した。企業活動基本調査という便利な統計があるとは実は知らなかった。この統計は日本の企業2万7779社を対象に調査したもので日本にあるすべての企業を網羅しているわけではないが、対象企業の売上高は590兆円、営業利益11.5兆円でさらに対象企業の子会社8万4千社を含む。残念ながら直近で発表されている速報ベースでも2010年3月が最新になっているので、去年の数字の比較ができないが、NSDが減益になっていることから市場自体も減速している可能性もある。調べてみてあまりにもありきたりな結論になってしまったのでいささか興が醒めてしまうが、クラウド化というのが(ありきたりだが)、結論として導かれるだろう。



 総務省のICTの経済分析に関する調査から抜粋したグラフで2008年までしかないが、最も直近の資料だ。それによれば日本の実質情報化投資は民間設備投資の24.4%まで占めるようになっており、トレンドだけを見れば右肩上がりが継続している。但し、グラフは実質で計測しているので絶対金額でないことに留意する必要がある。デフレなんで特に直近はデフレータ割引くので元の絶対額はマイナスになっている。つまらないことだが、ICTとはInformation and Communication Technologyの略で昔から使用されてきた「IT」と同じ意味だが、最近はICTという言葉で表現することが多くなった。なんで変えるんだろう。やはりインターネット技術がそれだけ進化してきており、Communicationを含まなければならなくなった時代にはいったということだろう。特にクラウド技術はインターネットなしには語れないので、ICTと表現せざるを得ないという時代の背景があると考えられる。



 全体の実質市場規模が拡大、ただ絶対額では減少。だから市場規模が縮小していることから既存のソフトウェア会社が苦戦している。まあ結論としてはそうなんだろうが、それだけで片づけてよいのだろうか。上のグラフは日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)が毎年発表している企業IT動向調査2010年から抜き出したものだが、リーマンショック以降、企業のコストカットは聖域がなくなり生産性向上のための情報化投資も例外ではなくなった。特にインハウス運用していた企業がアウトソースするようになり、いままで自社用にカスタマイズしていたシステムがアウトソースされることでシステム構築の需要自体が低下したと考えられる。しかも表からは中小・中堅企業よりも大企業のほうが積極的になっている。さすがに金融機関の勘定系などのシステムはクラウドにするわけにはいかないが、それ以外のシステムは自社でシステム構築する必要性は突き詰めて考えるとあまりなかったりする。



 ICTの専門家でないので細かい解説はできないが簡単に言えば現在流行している現象は主に上記の3つ。3つの内、仮想化はビジネスとしても大きくなっており、企業の合理化の進展から自社にサーバーを置くより、データセンターなどに分散すれば、リスク管理にもなるし、コスト削減できると考えているユーザーが多い。それとこのレポートを読んで面白い指摘は「システム保守費用は5年間で初期開発費用と同等のコストがかかる」ということ。即ち、アウトソース可能なシステムならなるべくそうすべきであるというのが結論になる。

 ところでパブリックだ、プライベートだとよく分からない単語を用いたが、例えばパブリッククラウドの例でいえば、ポータルサイト、SNS、検索サイト、ネット販売などのコンシューマーサービス(Google,Amazon,etc..)などやグループウェア、CRM、コールセンターなどの企業のフロントオフィス部門のシステムがそれに該当する。一方でプライベートクラウドではSCM、財務会計、購買管理、人事給与、物流管理など企業内部の業務システムがそれにあたるが、現状ではプライベートクラウドの浸透率はほとんどないと言っていい。さすがに企業も一気にクラウド化するというのはかなり勇気がいるだろう。特にセキュリティの面で十分な対応がなされていなければ、会社が傾く。また前述したように金融機関の勘定系は恐らくクラウドの対象にはならないだろう。

 ただ、ユーザーにとってクラウド化のインセンティブは高まっていると考えるのが妥当だろう。10年前と比較すればインターネット技術が格段に進化している。サーバー技術、CPUの能力などインフラのコストパフォーマンスが大きく向上しているのは間違いない。クラウドという言葉は最近の言葉ではあるが、発想自体はいわゆるシステムのアウトソーシングであり、昔からあった概念だ。ただ、いろいろなIT新用語がでてくるので紛らわしいが、昔と今の違いはインフラのコストパフォーマンスだといってよい。大昔、それも超大昔の話だが、リクルートがある意味社運をかけていたRCS(Remote Computing Service)というのがあったが、クラウドの原型とも言えなくもない。結局投資コストが高すぎて会社が傾いた上に、リクルート事件で結局身売りを余儀なくされたが、アイデアは昔からみんな持っていた。Saas/ASPだって、全く新しい概念というわけではなく、昔からみんなが考えていたものがビジネスのレベルまでコンピューティングパワーが上がったということだ。



 最後にどうなるか予測をと言いたいところだが、それほどの知見もないので現在どんな状況になっているのか見てみる。上のグラフはパブリッククラウドの導入状況をJUAS会員企業にアンケートした結果だ。日本の企業全体を代表しているわけではないが、売上高1兆円以上の企業が39社、1000億円以上の企業みれば219社あるのでそれなりの母集団だ。それでみると1兆円以上の企業ではさすがに導入レベルでは少ないものの、検討中を含めれば半分。しかも売り上げの傾向を見ると売上規模が大きい企業ほど積極的とみることができる。現在のソフトウェア企業の苦境はしばらく続く可能性がある。いま議論してきたように、インハウス運用が今後減少していく上に、競争が激しくなる。データセンターなどストック型ビジネスを手掛けている所は別だが、純粋なソフト開発業はビジネスモデルの転換か、再検討が必要だろう。


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