こんな気持ちでいられたら・・・一病理医の日々と生き方考え方

人生はあっという間だな、あと少しの間どうやって生きよう

見なかったことにして、何も言わない、気にしない

2017年11月16日 | 電脳化社会

”理由はどうであれ、暴力はいけない。”

たしかに、そう。

それが目上の者から下の者に対してのものであったりすれば、それはなおさら。となると、目下の者、後輩に目に余る行状があったとして、たとえ良かれと思ってそれに対して意見したくても、何もしないほうがいい。正義感が強くて、気の短い人だったりしたら、相手がスマホに気を取られれ自分の話を聞かないような失礼な態度をとったら思わず手が出てしまうことがあるかもしれない。あと、叱責の言葉も受ける方が暴力だと言われたらそれまで。

今の若者を見ていると、人の話なんて聞いているのかどうかわからない。こちらが大事(だと思っていること)を話している時でも、片時もスマホを手放すことはなく、そっちがブルブルいったら、こちらのことなんて二の次にして画面を覗き込む。目の前の人のことなんて、一瞬見るか見ないかで、一瞥して”くれたら”喜ぶべきなのかもしれない。

e-mailが登場した時、電話と違って相手の時間を妨げないことが利点の一つとして挙げられていた。ラインとかメッセンジャーもそのはずだけど、実際のところは違って、”連絡を受けたい!”と願っている人は常にチェックする。一対一の連絡であれば、仕方ないこともあるだろうけど、ツイッターとかフェイスブック、インスタグラムなどでは、誰かが発信した情報を大量に集めて、多対1的なメッセージのやり取りとなっている。”情報の横溢”といったふうだ。ツイッターは2006年、フェイスブックは2004年、インスタグラムは2010年の開設だそうで、今の若者、というか自分で自由に扱うことのできるスマホを持つようになった人たちが1990年代以降の生まれとすれば、ちょうど思春期からその世界に触れるようになったと言える。私のような今の中年世代は、そのような電子機器の登場前の”古い”生活スタイル、倫理観を知っているけれど、今の若者はそのこと自体知らない。でも、思い出してみれば、私たちだって、目の前に人がいるのにかかってきた電話に出ることはあった。サザエさんの中での固定電話の使われ方を見たら、それはよくわかる。

この前、スマホ育児にみる子育ての変容(2017年7月24日)という記事を「(自分自身が)電脳社会の一員となっていることを省みると、もう、戻りたくても戻れないところまで世界は来ていると考えざるをえない。」と結んだ。世の中は急速な勢いで変容していると感じていたら、先日、6歳以下の子供の2割がほぼ毎日スマホに接するということがベネッセから報告された。こうなると、近い将来はスマホとともに生まれ育った世代だけの世の中になる。こういう人たちを相手に、「人の話を聞くときは、スマホの画面じゃなくて、人の目を見ろ」とか、「人が話している時ぐらい、スマホを置いておけ」なんていうことを話しても、理解してもらえないだろうと思う。

なぜなら、スマホはそこにあるから。そこにあるのが当たり前だから。

社会的倫理規範は今後、電脳化の進歩とともにもっと変わっていく。スマホに変わるハードも生み出され、”今の”スマホ世代も時代遅れになる時が来るはずだ。

星新一のショートショートに「肩の上の秘書」というのがあったけど、他人とのコミュニケーションなんて全部ロボット、すなわちスマホの未来形、にやらせるようになるだろう。そして、そのうちそんなもの体の中にでも埋め込まれてしまって、全てなくなってしまうかもしれない。となると、相手のことをあれこれ考えるとかそういったことは拒絶されるし、あれこれ口を出されたくないという権利も発生する。権利があれば、それは拡大解釈されて無限に増大するから抑えようがなくなる。

個人個人の人権はネットという誰もが平等な世界によって守られるようになったかのように見える。倫理観は変容し、価値観は急速に変貌している。

今、”先生””先輩”だのと呼ばれている人たちは、自分の意見を他人を強要しようなどということを考えてはいけない時代なのだ。

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2 コメント

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私も、、、 (リディア)
2017-11-17 06:07:21
人と逢う時とかは、スマホをミュートにして、お話してますが、
日頃は私も、スマホをよく触ってます。

スマホも、それ以外でも、
目上の方々や先輩に対する自分の姿を、
見つめ直さないとダメですね。
反省します。

今後、失礼な私の発言があり、
コロ健先生が怒った時は、言って下さいね。
それでも気をつけないと (コロ健 to リディアさん)
2017-11-17 07:30:50
おはようございます。コメントありがとうございます。
「人の話、聞いてんのか?コラァー!」みたいなことだったんでしょうかね。それで勢い余って・・・。それでも暴力はいけなかった。暴力にはきりがありませんからね。残念です。
ベタないいかたになってしまいますが、スマホ、携帯に限らず、電子機器の取り扱いには注意が必要ですね。電子カルテの方ばかりのぞいていて、患者のことを見ない、なんて言われる医者もいますからね。

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