介山の日記

つれづれに思ったことを書きます。

前文科次官の会見への疑問

2017-05-29 12:01:13 | 所感
先日、行われた会見では、いろいろな
問題が指摘されました。

が、公平を期すために、できるだけ
前次官の話を善意解釈して整理したい
と思います。

第一に、「総理のご意向」などと書か
れたという文書があるかですが、次官
まで務めたかたが嘘をつくことはない、
と信じましょう。

第二に、それを明らかにするのは国家
公務員法(守秘義務)に反しますが、
国民のためにやむをえずにしたことと
信じましょう。

第三に、文科省側にそのような文書が
あっても、内閣府側がそのような発言
をしたか(まして圧力をかけたか)
ですが、前次官は直接、それを聞いて
いないものの、前次官を含めた文科省
の受け止め方を全面的に信じましょう。

第四に、「戦略特区だから新たに獣医
学部開設に政治的判断があって当然」
とか「『行政が歪められた』と官僚が
判断するのは僭越」とかの批判もあり
えますが、学部開設の許認可は文科省
の権限と責任で、その前次官が「行政
が歪められた」と言うのですから、
その判断が正しいと信じましょう。

第五に、前次官は文科省の天下り問題
で自ら違法行為を行い、自ら認めて
いますが、それはすでに退職という形
で責任を取っており、ここで持ち出す
べきではないと考えましょう。

第六に、プラーベートな問題で前次官
の人間性に疑問が投げかけられて
いますが、それは違法行為はなく、
あくまでプライベートな問題で、この
問題とは、無関係だと考えましょう。

ここまで前次官に好意的に解釈しても、
たったひとつ、しかし本質的で大きな
疑問が残ってしまいます。

それは、文科省にとって、前次官自ら
「文科省で設置認可の審査をしない
かぎりは大学はできません」と言い
切るほど重要で責任がある仕事なのに、
どうして次官在職時に、職を賭して
抵抗しなかったのか、という疑問です。

官僚だから政治判断には従うのは宿命、
というなら、結論がどうであれ、政治
判断には粛々と従うべきですが、それ
でも納得できないから、今回、記者
会見を開いたのではないのでしょうか。

百歩譲って、現役時には言えなかった
と言うなら、なぜ、この問題が発生
した時に、次官を辞職して国民にそれ
を訴えなかったのでしょう。

さらに百歩譲って、納得がいかない時
にいちいち退職などしていられない
(退職を機に言えるようになった)と
言うなら、なぜ、退職した時点で、
国民にそれを訴えなかったのでしょう。

しかも、記者会見によれば、それほど
重要な仕事なのに、判断材料は農水省
と厚労省が作成すべきだが、それが
不十分だった、とも言っています。

それほど大事な仕事を、他人に任せる、
または、他人の専門性に頼らざるを得
ないとしても、所管庁としてしっかり
作成させることすらしない、というの
は、いかがなものでしょう。

それでは、文科省はしっかり仕事を
していたのに政治家が「行政を歪めた」
のではなく、文科省が所管庁として
判断材料の準備を怠ったから「行政を
歪めた」、とすら思えてしまいます。

要するに、前次官は、文科省にとって
大学開設は重要な仕事と言いながら、
所管庁として判断材料を用意する努力
すら怠って、政治判断に誤りがあって
も是正の努力もしない、しかも責任が
ある時には発言は控え、退職してしば
らくして、実は納得していません、と
表明しているに過ぎません。

社会人として、こんな仕事のしかたを
する人が、組織の上層部にいたという
こと自体、にわかには信じられません。

「そんな大事な仕事が歪められようと
していたのに、その時、あなたは何を
していたのですか?」と問いたいです。

しかも以上は、くり返し述べたとおり、
前次官の話を、最大限、善意解釈して
の話です。

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