
正義のミカタ 〜I’maloser〜
- 本多孝好
- 双葉社
- 価格未定円
livedoor BOOKS
書評/国内純文学


この本も「本が好き!」からもらった一冊であるが、正式発売日はまだ先のことだ。したがって、書店にならべられる本のかたちではなく、プルーフ(見本)のかたちでもらった。こういうものが関係者以外の手にわたることは珍しいだろう。
さて、ひさしぶりに読む小説である。作者は本多孝好。『MISSING』などの著作で知られる人気作家である。推理小説とも恋愛小説ともつかない、独自の作品を何作か発表し、いずれもベストセラーになっている。
結論から書くと、まあ、それなりにおもしろかった。この本のテーマは、タイトルを読めばわかるように、「正義」である。素直に傑作!といえないのは、この本がぼくにとってあまりにも痛すぎるからである。
主人公は高校生時代いじめられていた「負け犬」で、ある部活に入部するところからその「負け犬」人生にピリオドを打とうとする。その部活とは――ということが本書の眼目なのだが、本そのものが発売前でもあることだし、それについてのネタバレはよそう。
とにかく、自分のことを高く評価できない人間にとっては、奇妙に痛い一冊なのであった。痛いということは、リアリティがあるということで、自分を負け犬だと思わないひとにとっては楽しい一冊になるだろう。
しかし、「正義」をテーマにする以上、どうしても青臭い議論が展開されることは回避できない。本書も、気にいるひとは気にいるだろうが、拒否反応を示すひともいるだろう。
個人的には本多の小説は少しオヤジくささがただようところがあって、はっきり好きだ!とはいいづらいものがある。しかし、一流の作家であることは間違いないので、今後も読みつづけることにはなるだろう。
正義とは何なのか、本当にそんなものが存在するのか、あるいはそんなものがあるはずがないと嘲笑していればいいのか、本書の問いかけは軽くない。
ちなみに、「正義の味方」という言葉は、『月光仮面』ではじめて使われたものらしい。「正義」ではなく、「正義の味方」。ここらへんの微妙なニュアンスが、日本人にとっては心地よいのかもしれない。社会正義が期待できないこの世の中でも、この言葉は広く知れわたっていて、将来的に忘れられることはありそうにない。










