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イタリア旅行記(14)メディチ家ダイジェスト(長いけど)

2010年04月20日 | 旅行とか出張とかアレとか
アイスランドの火山灰の影響で、飛行機がアレみたいですね。
日本でも影響を受けた方がいらっしゃると思います。
こちらでも出張者がイギリスに帰ってこれない or 日本に帰れないみたいな状態が発生しており、プチ混乱が発生しております。

ちなみにイギリスでは、この類の有事が発生するとBlack Humourが巷で氾濫するのですが、今回も

「Dear Iceland, we asked you to send CASH not ASH!」

など、相変わらずウィットの効いた毒々しい表現が出回っているわけで、それはそれで楽しいわけです。
ここらへんは、「ニュースな英語」というコラムで詳細が読めますので参考までに。



さて、更新が滞っていたフィレンツェについて。
今日は(ようやく)メディチ家について書こうと思います。

端的に言うと15世紀にフィレンツェを実質上統制していた商人兼銀行家兼政治家一族です。
元々は薬屋 or 医者。
多分、薬屋。
なお、"Medici"は"Medical"の意。
メディチ家家紋の「六個の球」も丸薬を意味しているそうな(もしくは銀行屋だったことから「貨幣」や「分銅」を意味している)。



で、その薬屋さん、バファリンとかバッサリン(昔、北海道で見かけた頭痛薬)とかを売っていたかどうかは知りませんが、商売をしながら財産を蓄え、そのカネでちょっとした銀行業をやり始めたわけです。そしてその金融業、ジョヴァンニさんという人の代で、法王庁の預金管理を任されたのをきっかけに一気に成り上がり「メディチ銀行」をそれなりに有名な銀行へとのし上げるわけです。ここらあたりからメディチ家の隆盛が始まります。

以下、ピエール・アントネッティ「フィレンツェ史」にあった家系図をデータに起こしたものです。



本家筋が左側、分家筋が右側という具合です。

さて、メディチ家の実質的な祖であるジョヴァンニ・ディ・ビッチさん以降なんですが、こういう風になってます。

◎ コジモ・デ・メディチ。通称、コジモ・イル・ヴェッキオ。「老人(賢人)のコジモ」の意。地味で表舞台になかなか出てこなかったけれども名君。
◎ ピエーロ・ディ・コジモ・デ・メディチ(コジモの息子のピエーロ)。通称、ピエーロ・イル・ゴットーゾ。「痛風持ちのピエーロ」の意。病弱だった故に軽くイジメみたいな名前に。ちなみに、色々と乱暴なことはしたけれども、結果的にそこそこ成功。
◎ ロレンツォ・デ・メディチ。通称、ロレンツォ・イル・マニーフィコ。「偉大なロレンツォ」の意。名君であると共に、ルネサンスの華やかさを体現した大スター。顔はちょっとアレだけれども多才で人望も厚い。ちなみに弟のジュリアーノはイケメンで、これまたスター。兄弟二人でフィレンツェ社交界の人気者。例えるなれば・・・誰だろ?狩人?宗茂と宗猛?まえだまえだ?てじなーにゃ?違うな・・・まぁ、いいや。

さて、このヴェネツィア当主3人(ジョヴァンニを含めれば4人)は、それはそれは大成功を収めまして。商売(繊毛業とか)をやれば大儲け、それを元手に金融業を行い資産を膨らませ、王族・貴族との養子縁組なんかもバッチリやりながらメディチ家としての地位を磐石にしていったわけです。まぁ、要所でフィレンツェから追い出されたりだとか、暗殺劇によりロレンツォの弟のジュリアーノが殺されたりだとか(パッツィの乱)、そういうドラマチックな展開はあったのですが、もう、これがかなりの数のイベントがありましてですね、挙げるとキリがなくなるので割愛しておきます。ただ、いずれもかなり面白いので興味がある人は塩野七生作品を色々と読まれると良いと思います。



さて、ここで一応補足しておくとですね、メディチ家というのは、名目上は「商人・銀行家・政治家」であって、肩書きそのものは王族だとか元首だとかでは無かったんですね。

ただ、名目上はそうだったとしても、実質上どうだったかというと・・・まぁ、結局ね、

世の中ゼニカネだって話ですよ!

というわけで、議員が買収されたり養子縁組の兼ね合いだとかで、実質上はメディチ家が寡頭政治を行っていたというわけなんです。
フィクサーみたいなもんですかね。
ある意味、徳川家康みたいな感じだと思います。

で、じゃあそういうカネや権力にモノを言わせるアレが悪いかと言われれば、そうとも言えないんですね。
というのも、そういうゼニカネのおかげでルネサンス絵画が開花していったので。
ここらへんはまた後日・・・書く元気があれば書きます。



そんな隆盛を極めていたメディチ家ですが、「祇園精舎のうんたらかんたら、おごれる人も久しからず」ですよ。
ロレンツォの息子、ピエーロ・ディ・ロレンツォ・デ・メディチ(ロレンツォの息子のピエーロ)という人がやらかしてしまうわけです。

何をそんなにやらかしたのかと言うと:
(1)当時、フランスがナポリに侵攻をしようとしていたところ抗戦せずにカネで解決して、さらに市内に引き入れてしまった(元々フィレンツェはフランスと同盟を結んでいた+フランスの強大な軍事力を恐れてフランスの言いなりになってしまった)。
(2)そのフランス軍がフィレンツェ近郊にある都市を陥落してしまった。
(3)和平条約を結んていたはずのフランス軍が、フィレンツェに入るなり横暴な態度で振る舞いフィレンツェ市民の反感を買う。
(4)当時、サヴォナローラという過激な発言で有名な修道士がいて、これがフィレンツェ人たちを扇動し、フランス軍を追い出そうとする(このサヴォナローラさん、かなり面白いので後日改めて何か書くかもしれないです)。

その他にも細々とした理由はあったと思うんですが、いずれにしてもフィレンツェ人たちは「ポポロ・リヴェルタ!(民衆に自由を!)」を叫びながら暴動を起こしてしまうのです。

で、これはヤバイと思ったのか、ピエーロさんは国外に逃亡してしまうわけです。
しかもそんな彼は、後のとある戦争で逃走中に川に落ちて溺死という、残念な最後を迎えるわけです。

ちなみにこのピエーロさん、通称はピエーロ・ロ・スフォルトゥナート(不運なピエロ)もしくはピエーロ・イル・ファトゥオ(愚昧なピエロ)。
塩野七生女史は「わが友マキアヴェッリ」でピエーロをこう評しています。

父が死んだ年、ピエロ・デ・メディチは、二十一歳だった。

(中略)

だが、父のロレンツォも、大任を背負うことになったのは二十歳の年である。また、ピエロだって、イル・マニーフィコと尊称された父の遺産を、すべて継承したということでも、フォルトゥーナ(好運)に恵まれなかったわけではない。ひっきょう、ヴィルトゥ(力量)に欠けていたのであろう。「スフォルトゥナート(不運者)」という彼の渾名は、少々点が甘すぎる感じさえする。


いずれにしても「愚昧なピエロ」は、メディチ家における残念な位置付けなわけです。
ZZで言うならばマシュマー・セロぐらいの残念さ。



と、沙羅双樹の花の色の如く必衰してしまったメディチ家ですが、その後、色々とあってコジモ1世(分家の人)が再びフィレンツェの権力の座に返り咲きます。



シニョーリア広場にいる、あの人です。



ちなみにウッフィツィ美術館内にあるコジモ1世の肖像画は、こんな感じです。



塩野七生「銀色のフィレンツェ」の挿絵ですが。



というわけでメディチ家、コジモ1世以降も、まぁ、それなりに色々なことがあるんですが大雑把にはこんなところです。
ただ、このメディチ家、他にも特筆すべき人たちはかなりいましてですね。

◎ 法王クレメンス7世(ジュリオ・デ・メディチ):神聖ローマ帝国のバチカンへの侵攻(ローマの掠奪、1527)の際に中途半端なことを行い、結果としてバチカンの破壊を見過ごしてしまった人。
◎ ロレンツィーノ・デ・メディチ:ルネサンス黄金時代にメディチ家が集めた絵画を何とか回収して、ボッティチェッリの「プリマヴェーラ」と「ヴィーナスの誕生」(共にウッフィツィ美術館所蔵)の両方をベッドルームに飾った人。
◎ 黒備えのジョヴァンニ:勇猛さで名を馳せた傭兵隊長。この人が当時生存していたら「ローマの掠奪」も違う結果になっていただろうと言われている。ちなみに、この人の母親は「イタリアの女傑」として有名なカテリーナ・スフォルツァ。子供が人質に取られた際に、スカートを捲くり上げながら「子供ならここからいくらでも出てくるんだよ!」と言い返したとされている。すげーな。

と、まぁ、ホントに個性豊かな方々が揃っていらっしゃるわけです。
いやー、この時代は何と言うか、ものすごいカオスなわけでして、そういう観点で色々と見ていくと面白いんですよね。

というわけで、以上、メディチ家ダイジェストでした。
次回以降は、恐らく比較的普通の話が出来ると思います。

よろしくお願いします。


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2 コメント

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メディチ萌え (クリストフォロ・コロンボ)
2010-04-21 23:04:53
君も相当なマニアになってきたな。イタリアに移住すれば?
Unknown (けんた)
2010-04-22 08:14:14
塩野七生女史ばりにアルノ河の目の前に住むか。
それにしてもフィレンツェは面白いよなー。

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