"L'Enfer"
2005年フランス/イタリア/ベルギー/日本
監督)ダニス・タノヴィッチ
出演)エマニュエル・ベアール カリン・ヴィアール マリー・ジラン キャロル・ブーケ ジャック・ペラン ジャック・ガンブラン ギョーム・カネ ジャン・ロシュホール
満足度)★★★☆ (満点は★5つです)
銀座テアトルシネマにて
夫の浮気に苦しむ長女ソフィ(エマニュエル・ベアール)、介護施設に入院している母親を献身的に見舞う孤独な次女セリーヌ(カリン・ヴィアール)、妻子ある年上の男を激しく愛する三女アンヌ(マリー・ジラン)。
それぞれに悩みを抱える三姉妹の人生には、父親(ミキ・マノイロヴィッチ)の起こしたある事件と、彼に対する母親(キャロル・ブーケ)の仕打ちが大きな影を落としていた。
ポーランドの名匠故クシシュトフ・キシェロフスキの原案を『ノー・マンズ・ランド』のダニス・タノヴィッチがメガホンを取り映画化。
『メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬』が大人の男の映画だとしたら、今作は完全に大人の女の映画ですね。いや、内容もテーマも全然違うし半分以上こじつけなんですが。あえて言えば、友情に生きる(生きたいと思う)のが男なら、愛情に生きる(生きたいと思う)のが女、というか。そこから逃れられないというか。いささかステレオタイプなものの見方だし、女性からしたら「何言ってるの?」ということなのかもしれませんが、少なくとも僕は今作を観てそんなことを思いました。
なにしろ長女と三女のほとんど狂気すれすれの愛情表現合戦がすごい。夫の愛人の部屋に忍び込び眠っている彼女の匂いを嗅ぐ長女、愛人の妻と娘にあてつけのように恋愛相談をする三女。女優陣の演技がまたやけにうまいものだから、妙な説得力があって。
こういうウェットな演技はやっぱりヨーロッパの、というかフランスの女優さんはすごく合いますね。ドン引きしてしまいそうな場面なんだけど、決してエレガントさを失わない。これがアメリカ映画だったら、ほとんどサイコ・スリラーになってしまったと思います。
この映画のキモは、そんな三姉妹の行動、全て過去の家族の悲劇が遠因になっているという設定。彼女等の狂気を帯びた振る舞いには、全て異常かつショッキングなある事件が影を落としているわけです。
この事件の陰鬱なトーンがこの映画の基調を形作っているし、彼女等の狂気すれすれの行動に説得力を持たせている。
故キシェロフスキは女優の見せかたがとてもうまかったと思うのですが、今作の3姉妹を演じた女優陣もそれぞれにとても魅力的でした。動物的なエマニュエル・べアール、母性を感じさせるカリン・ヴィアール、無垢なマリー・ジラン、そして無言の演技が強烈なキャロル・ブーケ。
特に、次女を演じたカリン・ヴィアールが電車でまどろむ場面、良かったですね。この重苦しい作品の中で唯一といっていいホッとできるシーンでした。
それと、蛇足ではありますが、車掌さんには今後是非頑張ってほしいです。
どちらかいうと影の薄い男性キャストの中で、あんたがいちばん光ってた!
何時の回でご覧になったのでしょうか?私は12:20~の回でした。鑑賞後は、ぴあ出口調査隊に捕まったとです。
いやぁ、深い作品でした。長女と三女の行動は、狂気の沙汰でしたね。何か、女の嫌な部分をこれでもか!というくらいに見せつけられました。私が男だったら間違いなく別れを切り出すし、よそに女も作る事でしょう。でも考えてみると、父親も居なければ母親も側に居ない22年間だった訳ですよね。「愛し方」が学べなかった事は気の毒でなりませんでしたよ。孤独な心が暴走してしまった訳ですね。正に「地獄」でした。次の「煉獄」に当たる作品は作られるのでしょうか。とても楽しみです。
女優陣も素晴らしかったですね。本当に「コレぞ女優でしょ!」って感動すら覚えました。前の日に観た試写会のチェ・ジウはひどかったです。趣味でやるなら去りなさいって思う程に稚拙な仕事っぷりでした。
車掌さん!とても微笑ましかったシーンでしたね。カセット・テープを渡しそびれたシーンでは、代わりに私が渡しておくよ!ってすら思える程に印象深かったですよー。
そちらのコメントにも書いたのですが、僕はその次の回でしたねー。早めにチケットを買って近くのタリーズでコーヒーを飲み、戻ったらちょうど調査隊がエレベータから出てきた観客第1弾(多分)を捕獲しているところでした。
この作品の女優陣の演技はすさまじかったですね。役への入り込み方が尋常ではなかったです。特にエマニュエル・ベアール。あれだけ美しい女優さんがこういう役を演じると現実感が感じられないときがままあるのですが、あの乱れっぷりは説得力抜群でした。
ラスト近くで子供を守りながら雨に打たれるところもなかなか印象深かったなあ。
そうですか、チェ・ジウさんはひどかったですか。あんまり観たことないので何とも言えないのですが、確かに演技派というイメージは無いですね。なんか週刊誌でもエライ叩かれているようだし、ここのところのジウさん、一気に株が下がっている感があります。
そういえば『ぴあ』別冊、買ったまま未だに読んでないんです。うーん、もっと時間がほしい!
ところで。ココログで『メンテナンス』をかけてから、Kenさん以外のgooの全ての方からのTBが貼れなくなったので!現在、問い合わせしてみています。調査中ですという返事は頂いてますけど、どーなる事やら。
ま、回復した暁には、またジャンジャン貼りにいらしてくださいね♪
確かに、来週末公開作品はぐっと来るものがないですね。
再来週以降の作品では、隣の評論家さんが挙げられている作品全て楽しみにしているわけなのですが(特に『ブロークン・フラワーズ』)、他では『ニュー・ワールド』なんていうのもありますね。テーマそのものはポカホンタスのお話、ということであまる興味ないのですが、なにしろ監督がテレンス・マリックですからね!これは観にいかざるをえないというか。
リーブ・シュレイバーさん、僕は初耳だったのですが俳優さんだったのですね。良い映画だと良いなあ。
他の方のブログでも見たのですが、ココログ何だか最近調子悪いみたいですね・・・。
当ブログで、あんな子供じみた記事に思いやりのあるコメントを頂き、ありがとうございました。ブログって、多分どこも色々調子悪い時ってあるんですよね。引越しするとなると、携帯の機種変更のように気軽には出来ないし、困っちゃいますよね。まぁ、そんな事でへこたれるアタクシではございませんわよ。
飲み過ぎなんですか?肝臓は元気にしてますか?サーファーみたいな顔色になってないですか?営業は辛いですね...。アタクシの職場は、ビックリする程飲み会がありません。アタクシごときが酒の席で『エース』と呼ばれてしまう程、お酒に弱い人達ばかりで少々物足りないんですわ。そんな職場、羨ましいですか(笑)?
何か、疑問形ばかりになっちゃいましたね。取りあえず、コメントありがとうございました。「美しき運命の傷痕」と無関係な内容のコメントにて、失礼いたしました。
しかしですね...いや参りました。タイトル“地獄”のままで公開して欲しかったです。でもそれじゃ誰も観にいかないですわよね。
Kenさんがラストに書いてらっしゃる車掌さん...セリーヌの寝顔を見つめる姿...いや良かったですね。彼はこの映画の正に一服の清涼剤って感じでしたもの。
女のすごさをひしと感じた凄まじい作品でした。
「トリコロール」3部作を今一度観てみたくなりましたわ。
劇場で観て、後にDVD化されたら又観ちゃうのですが、これはもう観たくないです。
修羅場でしたね。女性はこういうとき結構破壊的になってしまうというか…テーブルひっくり返したり物を壊したり。こわっ!
まあ、でも次女が和む存在であった事は何よりオアシス的で良かったです。車掌さんとのラブロマンス応援しましょうか~笑
さっそく「ぴあ」を購入、確認しましたよ!
同世代、ということもありますが、何よりもコメントで「この人だ!」とわかりましたよ。
これで今度映画館でバッタリお会いしたときには声を掛けられますな!
そうそう、最近本当に飲みすぎなんです・・・。会社の飲み会はそれほど無いんですが、お客さんとの飲みが結構あってですね、さらに先週から今週にかけてはプライベートも重なってしまいまして、10日間連続(!)飲みだったりしました。本当に体がぶっ壊れそうで、今週末は映画を観ないで大人しく家にいることにしました。
基本的に酒は好きなんだけど、流石にキツイっす。
『ふたりのベロニカ』『美しき~』と観て、僕も改めてキェシロフシキの旧作を観たくなりましたです。『デカローグ』のボックスとか確か出てたと思うのですが、あれ、結構高いんだろうなあ。
あの車掌さん、キツイ登場人物達ばかりの中で、ほんとにホッとできましたよね。3姉妹が仲良く笑い合ってる場面もあったり、そんな車掌さんが働く電車は良い雰囲気でした。