く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<イヌゴマ(犬胡麻)> 唇形の淡紅色の小花がかわいいシソ科の多年草

2014年07月14日 | 花の四季

【実がゴマに似ているが食用にはならず、「チョロギダマシ」の別名も】

 北海道から九州まで全国各地の湿地に生えるシソ科イヌゴマ属の多年草。6~8月ごろ、直立した茎の上部に淡紅色の小花を輪生状に付ける。シソ科に多い唇形花で花冠の長さは1.5cmほど。草丈は40~70cm。茎の断面もシソ科に特徴的な四角形で、稜(角)には下向きの小さな棘があるため触るとざらつく。イヌゴマ属の仲間にチョロギ、ラムズイヤー(和名ワタチョロギ)など。

 花が終わるとゴマに似た真っ黒い粒状の種子ができる。だが食用にならないため「ゴマ」の上に「イヌ」が付いた。頭に「イヌ」が付いた植物は多い。イヌツゲ、イヌビワ、イヌブナ、イヌホオズキ、イヌザクラ、イヌガシ、イヌサンショウ……。その多くが「役に立たない」「食用にならない」「似て非なるもの」といった意味合いで名付けられた。

 「イヌ」には漢字で「犬」の字が当てられている。犬が付く言葉には植物以外にも「犬死」や「犬侍」など侮蔑的なものが多い。ただ植物名の「イヌ」には、本物とは違うという意味で「否(いな)」から来ているのではないかという見方も。イヌゴマには「チョロギダマシ」という別名もある。これも塊茎が食用になる中国原産のチョロギに似ていることに由来する。和名に「イヌ」、別名にも「ダマシ」。そう名付けられたこの草花が少々気の毒に思えてきた。

 しかも湿地の開発や田畑の圃場整備などで西日本を中心に分布域も減少している。環境省の絶滅危惧種にはなっていないものの、高知、福岡、宮崎、山口の各県では絶滅危惧Ⅰ~Ⅱ類としてレッドデータブックに記載、奈良、岡山両県でも準絶滅危惧種になっている。昨春、北原白秋が一時住んでいた東京都江戸川区北小岩の一角に、白秋の歌が刻まれた石碑が建てられた。「夏浅み朝草刈りの童らが素足にからむ犬胡麻の花」。


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