く~にゃん雑記帳

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<イペ> アマゾン川流域など中南米原産、ブラジルの〝国花〟にも

2015年05月06日 | 花の四季

【神戸の「旧移住センター」周辺に植樹、沖縄には「イッペー通り」も】

 ノウゼンカズラ科タベブイア属の落葉性中高木。アマゾン川流域を中心に中南米に分布し、大きいものは樹高が30m以上に達する。花の色は白や黄、赤紫など。黄花の「イペ・アマレーロ」はブラジルの国花にもなっているそうだ。「アマレーロ」はポルトガル語で黄色。満開になると、木全体が鮮やかな黄花で覆われ遠くからも人目を惹きつける。

 タベブイア属の樹木は花の形が長さ7~10cmのラッパ状。そのため英名では「トランペット・ツリー」と呼ばれる。黄花の場合は「ゴールデン・トランペット・ツリー」。和名には「コガネノウゼン(黄金凌霄)」と名付けられている。赤紫の花を付ける「紫イペ」は樹皮に様々な薬効成分を含み、古代インカ帝国の時代から薬用として用いられてきた。木材は強度と耐久性に優れ、ウッドデッキや枕木などに広く活用される。

 日本にとってイペは中南米移住者との関わりが深い。海外移住の拠点となった神戸港から1号船の笠戸丸が781人を乗せて出航したのは1908年(明治41年)。以来63年間にわたって約25万人がブラジルを中心とする中南米に渡った。ブラジル移住100周年の2008年、記念事業の一環として「旧神戸移住センター(現海外移住と文化の交流センター)」から、みなと公園に至る鯉川筋にイペが植樹された。毎春この時期になると、かつて移住者の方々がたどった道沿いに約30本の黄色いイペが咲き誇る。

 多くの移住者を送り出した沖縄にも公園や道路沿いに多く植えられている。戦後、移住者が沖縄に帰る際に種子を持ち帰ったのが栽培の始まりという。イペは沖縄で「イッペー」と呼ばれる。沖縄市の中央パークアベニューの裏通りは黄花イペの並木が続き、通称「イッペー通り」と呼ばれている。2011年度には沖縄県の「花と緑の名所100選」に選ばれた。『イッペーの花―小説・ブラジル日本移民の「勝ち組」事件』。元サンパウロ新聞記者だった札幌在住の紺谷充彦さんが執筆し昨夏発売されたこの本が、移民たちの歴史の1コマを生々しく描いた作品として注目を集めている。


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