く~にゃん雑記帳

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<人形絵本「まんまるパン」> 奈良・田原本の人形作家が3年半かけて製作

2016年09月08日 | メモ

【奈良県立図書情報館で絵本に使われたジオラマ&人形を公開】

 半世紀ほど前、日本で「人形絵本」が大ブームを巻き起こした。手作りの人形で物語を再現し、それらを写真撮影して作ったカラフルな絵本。作家の藤沢匡(1909~94)と画家の土方重巳(1915~86)によって生み出された人形絵本は、国内だけでなく海外でも評判を呼び、外国語版は世界36カ国に輸出されたという。発行総数は2000万部を超えたともいわれる。1954年に出版された「トツパンの人形絵本」の中の『三びきのこぶた』は後にNHKで『ブーフーウー』というテレビ人形劇(60~67年)になってお茶の間の人気を集めた。

 

 今となっては懐かしい人形絵本を蘇らせたい――。そんな思いから人形作りに挑戦し、3年半がかりで1冊の絵本を完成させた人形作家がいる。奈良県田原本町在住のYoko-Bon(ヨウコボン)さん。その作品はロシアの民話「カラボーク」を基にした『まんまるパン』で、ロシア語専門家で「ムーザ文化交流協会」代表の片山ふえさんが翻訳を担当し、ロシア文学を専門に刊行する群像社(本社横浜市)から出版した。この絵本に収められた写真のジオラマ&人形を再現した「まんまるパンの世界展」が奈良県立図書情報館(奈良市大安寺西)で始まった(9月29日まで)。

 

 この物語はおじいさんとおばあさんが落ちていた小麦を拾い集め丸いパンを焼き上げるところから始まる。最上段の大きな写真は「こんがりパンができた」と2人が大喜びしている場面。ところがこのパン、隙を見て家を飛び出す。コロコロ転がって、次々にウサギやオオカミ、クマに出会うが、その都度、得意の歌を披露して逃げ延びる。しかし、最後に出会ったずる賢いキツネに――。Yoko-Bonさんは人形作りに当たり、監修者のロシア人文学者に折に触れて相談した。試作したウサギやパンは「とてもいい」と好評だったが、キツネは「コヨーテみたい」「ロシアの民話のキツネは赤毛」などと指摘されたそうだ。まんまるパンだけで大小や様々な表情などを合わせて15個も作ったという。

 

 今回の「まんまるパンの世界展」ではこの展覧会のために製作した「ロシアの森のまんまるパン市場」や「カバとカエルの水辺」など4つのジオラマ&人形も展示中。また懐かしの人形絵本コーナーでは今や入手難となった人形絵本のうち『三びきのこぶた』『まっちうりの少女』『へんぜるとぐれーてる』など8冊を手に取って見ることもできる。9月18日には同図書館でYoko-Bonさん、訳者の片山ふえさん、群像社社長の島田進矢さんの3人によるトークイベント「『まんまるパン』ができるまで」も開かれる(無料、要申し込み)。


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