く~にゃん雑記帳

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<大和文華館> 特別企画展「花と鳥の楽園―花鳥を表した絵画と工芸」

2015年12月03日 | 美術

【雪村の「花鳥図屏風」や応挙の「雪汀双鴨図」など60点余】

 大和文華館(奈良市学園南)で特別企画展「花と鳥の楽園―花鳥を表した絵画と工芸」が開かれている(25日まで)。展示作品は花鳥をはじめ樹木や草、虫、魚などをモチーフにした日本、中国、朝鮮の古代~近世の美術・工芸品64点。雪村周継の『花鳥図屏風』、伝毛益(中国・南宋時代の宮廷画家)筆『蜀葵遊猫図』『萱草遊狗図』の重要文化財3点を含む。

       

 雪村周継(1504~89?)は室町時代の武家出身の画僧。特定の画家に師事することなく雪舟に私淑した。『花鳥図屏風』は六曲一双の紙本墨画で、花鳥図の名品として名高い。早春の朝の光景を描いた右隻ではしぶきを上げる雪解け水の流れに乗って2羽のカモが滑るように泳ぐ。左隻は夏の夜の光景で、カモは川辺で眠りにつき、ツバメは巣に向かう。明るく躍動的な右隻と静寂が支配する左隻が好対照をなす。

 六曲一双の屏風がもう一つ。江戸中期に京都で活躍した絵師・渡辺始興(1683~1755)の『四季花鳥図押絵貼屏風』。こちらは紙本著色で12枚の花鳥画を屏風1扇ごとに貼り付けたもの。梅や萩、菊、ボタンなど四季の花と鶴、ヒバリ、オシドリ、チョウ、バッタ、カマキリなど鳥や虫がセットで描かれている。いずれも花鳥の写生を通じ画技を確立した始興らしい精細な筆致。始興には63種の鳥類を描いた『鳥類真写図巻』があるが、後に〝写生派の祖〟といわれる円山応挙(1733~95)はその図巻を模写している。

 その応挙の作品も1点展示されている。同館の新しい収蔵品の『雪汀双鴨図』。雪が積もった水辺で雌雄のカモが寒そうに首を縮めて寄り添う。応挙40歳すぎの1774年(安永3年)の作品。「平安人物志」の安永4年版には画家の部の筆頭に応挙の名が挙がっており、京都画壇で応挙の名声が高まった頃に当たる。他に伝狩野源七郎筆『叭々鳥図』、山口宗季筆『花鳥図』、大友月湖筆『双鶴図』、呉春筆『孔雀図』、松村景文筆『雪芦鴛鴦図』なども出展されている。

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