く~にゃん雑記帳

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<フシグロセンノウ(節黒仙翁)> 日本固有のナデシコ科多年草

2015年08月07日 | 花の四季

【別名「オウサカバナ」 関所があった逢坂峠に因んで】

 ナデシコ科センノウ属の多年草。センノウ(仙翁)は中国原産だが、このフシグロセンノウは日本の固有種。本州~九州の高原や落葉広葉樹の林縁などに自生する。草丈は50~70cmほどで茎が直立する。その茎の節が黒褐色を帯びるため「節黒」の名が付いた。

 センノウの名前は京都・嵯峨にあった仙翁寺に由来するといわれる。『大和本草綱目』(1708年)も「センヲウハ嵯峨ノ仙翁寺ヨリ出タルユヘ名ツクト云」と記す。1300年ごろ留学僧が中国から持ち帰って同寺で栽培されたらしい。フシグロセンノウは7~9月ごろ、茎の先端にセンノウの花色に似た朱赤色の5弁花を付ける。花径は5cmほど。花弁の先端は丸く、センノウのような切れ込みが入らない。

 別名「オウサカソウ(逢坂草)」「オウサカバナ(逢坂花)」。山城国(京都)と近江国(滋賀)の国境に関所があった逢坂峠付近で多く見られたことによる。田中澄江著『花の百名山』(1980年)は雲取山(東京・埼玉・山梨)を代表する花としてフシグロセンノウを挙げている。この花は茶花としても人気が高い。

 ただ、この花も目立つ野草だけに多くの地域で絶滅が懸念されている。秋田や鹿児島などでは既に絶滅したとみられ、千葉、石川、山口、愛媛、高知などでも絶滅危惧種や準絶滅危惧種として県のレッドリストに掲載されている。同属の日本在来種にマツモトセンノウ(別名ツクシセンノウ)やエンビセンノウなど。同じナデシコ科には「フシグロ(節黒)」という植物もある。同じように茎の節が黒っぽいが、こちらはごく小さい白花を付ける2年草。

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