く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<今井町並み散歩㊦> 順明寺で87歳・中井良雄さんの個展開催中

2014年05月18日 | 美術

【今井町の古民家や自画像など16点】

 順明寺で開催中の「中井良雄個展」(17~18日)をのぞいてみた。油彩と水彩合わせて16点で、自画像1点のほかは全て今井町の町並み。『重文上田家』(写真㊨、部分)は重厚な屋根瓦が長い歴史を物語る。瓦1つ1つの描写が実に繊細で味わい深い。「本葺きの屋根瓦に惹かれます。その時々の光の加減で様々に輝いて見えますから」と中井さん。『山門の桜』は今回の個展会場でもある順明寺の春の盛りを描いたもので、10年前に同寺に寄進した作品。他に『東蘇武より順明寺』(下の写真㊧)『床屋のある家並み』(写真㊨)などが出品されている。

 

 中井さんは地元の今井町生まれで87歳。戦後、小学校教員を務める傍ら、武蔵野美術学校(現武蔵野美術大学)の通信教育で絵画を学んだ。その後は独学で各地の古民家を描いてきた。今は自宅で「かしはら画塾」を開いており、創造美術協会常任委員、橿原市文化協会専任委員なども務める。

 

 「古民家も1軒だけでは存在しない。町並みの中に和して隣近所と仲良く存在している。その佇まいが好きで長年描き続けてきた」。中井さんの絵に温かみを感じるのはそんな思いが凝縮されているからだろう。これまでに奈良、大阪など近畿各地のほか、うだつのある町並みとして有名な徳島県脇町や岐阜県美濃市などにも足を運んだ。

 遠方の場合、気候のいい春か秋に車で出かけ、初日に4~5カ所の家並みを選んでそれぞれ約2時間ずつかけて写生。そして、翌日また同じ時間帯に同じ場所で描き、3日目もその繰り返しでほぼ完成させる。その間は車中泊。後は自宅に戻ってから最終的に仕上げるという。

 

 これまでに描いた作品は油絵を中心に500点ほどに上る。そのうち150点を選んで昨年秋、DVD「米寿記念画集―今井町と畿内外の古い家並み」(1000円)を制作した。別に7枚セットの「今井 油彩原画」第1集、第2集(いずれも500円)も作っている。ベレー帽を被った中井さんは柔和な表情で来場者1人1人に応対。帰りに署名した人たちには礼状と作品2点を印刷した絵葉書入りの封筒を渡していた。上の写真2枚はその絵葉書で、左は「駒ケ谷月読橋(羽曳野市)」、右は「新緑の頃・竹内街道(太子町)」。

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<今井町並み散歩㊤> 重文の民家・伝統的建造物を無料公開!

2014年05月18日 | 祭り

【18日には「茶行列」や「今井六斎市」なども】

 かつて「大和の金は今井に七分」「海の堺、陸の今井」といわれるほど栄えた今井町(奈良県橿原市)。往時のまま約500軒の町家が整然と連なる町並みは国指定の重要伝統的建造物群保存地区の中でも全国最大規模。その今井町で「町並みはみんなのもの」をテーマにした催事「今井町並み散歩」が開かれている。17~18日には重要文化財に指定された町家を無料公開、18日には今井町ゆかりの茶人今井宗久にちなむ「茶行列」や昔、月6回開かれていた市を再現した「今井六斎市」などが開かれる。

 

 これを機に17日、久しぶりに今井町を訪ね3時間余り散策した。西端にある今西家住宅は惣年寄の筆頭を務めていた家柄で、1650年に建てられた建物は城郭のような重厚な構造。その規模もさることながら、土間の前の出入り口に設けられた板戸が目を引いた。黒光りした板戸に光が当たると松竹梅の絵模様が浮かび上がった(上の写真㊨)。ボランティアガイドの方によると「もともとは天然色でしたが、長年、かまどの煙でいぶされるうちに真っ黒になったようです」とのこと。(上の写真㊨は今井町の町並み、右手の建物は上田家住宅)

 

 上田家住宅は1744年ごろの建築。優美な衝立が室内を飾り立て、柱の上の桁には赤いヘルメットのようなものがずらり。さらにその奥には寺院の釣り鐘のようなものまであった(上の写真㊧)。はてな? 担当者に問うと、上田家は今西家とともに惣年寄を務め、消防団の取りまとめ役も果たしていたという。納得! ヘルメットは火消しが被るもの、鐘は叩いて火事を知らせるためのものだった。

 豊田家住宅は1662年の建築。今井宗久ゆかりの茶室跡が残る。室内では18日の催事「筝のしらべ」を控えて、女の子5人が琴の練習に励んでいた。細田家では今井町の古地図を展示中。順明寺境内では地域の特産販売やそば打ちの実演などの「今井町衆市」が開かれていた(写真㊨)。また町内では「町かどアート」と称して20カ所を超える会場で様々な展示会も開かれている。

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