く~にゃん雑記帳

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<大和文華館> 特別企画展「中国陶磁の広がり」中国の青磁・青花など約60点

2013年05月31日 | 美術

【日本・朝鮮・ベトナムなどの作品も約30点】

 東洋美術・工芸品のコレクションで知られる大和文華館(奈良市)で、特別企画展「中国陶磁の広がり―愛好・写し・展開」が開かれている。中国の南北朝(東晋)から唐、宋、元、明、清に至る青磁・白磁・青花・五彩など約60点と、日本や朝鮮、ベトナム、オランダなどの作品約30点。中国陶磁器の変遷をたどりながら、その高い技術と多様な造形がいかに世界の焼き物に影響を与えたのかを示す。6月30日まで。

   

 館内に入ると真正面に「青花双魚文大皿」(上の写真)。明朝初期の景徳鎮窯のもので直径が53.5cmもある。唐草文に囲まれて2匹の魚が水藻の間を泳ぐ構図。「青花」はコバルトで絵付けを施した上に透明な釉薬をかけて焼き上げる。このため水が浸透せず文様が半永久的に消えないのが特徴で、この大皿も深みのある濃い青が実に鮮やか。

 顔料のコバルトは西方ペルシアから入ってきたもので、青花はいわばイスラム文化との交流の中で生まれた。中国の唐三彩や青磁は日本の施釉陶磁器の発展にも大きな影響を与え、朝鮮半島では高麗青磁が生み出された。江戸時代に入ると日本でも佐賀・有田で磁器焼成に成功し、伊万里焼はヨーロッパへの有力な輸出品になった。この企画展にも江戸前期の「染付山水文大皿」(重要文化財)や江戸中期の「色絵花文皿」などの有田産が出品されている。

   

 「光琳筆銹絵(さびえ)山水文四方火入」(上の写真)は京都の陶工、尾形乾山の1711年頃の作。乾山は野々村仁清に師事しながら、中国など海外の陶磁器も熱心に研究した。この作品は白絵の具で覆う〝化粧掛け〟という技法で作った器に、兄の尾形光琳が水墨画を描いた兄弟の合作。同時に展示中の乾山筆の「陶芸伝書(陶工必用)」には師仁清の陶法や自身が考案した陶法などが墨書されている。

   

 「黒地色絵瓜桃文鉢」(上の写真)は青木木米が加賀で春日山窯を築いたときの代表作。木米も中国の古陶磁に傾倒した1人で、仁清、乾山とともに江戸3大陶工ともいわれる。もともとは京焼の名工だが、加賀九谷焼の再生に尽力した。この鉢は見込みに桃、内外の側面に瓜が油絵のように柔らかいタッチで描かれている。

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