CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】赤目四十八瀧心中未遂

2017-01-02 16:16:33 | 読書感想文とか読み物レビウー
赤目四十八瀧心中未遂  作:車谷 長吉

ずいぶん前の直木賞受賞作品であります
題名からして、三重県ゆかりの何かかしらと
つらつら期待でもないが、想像して読んでみたのですが
ほぼ、京都大阪兵庫で話が進み、しかもはかばかしくないというか
暗い、地を這うような生活が描かれていました

これは、芥川賞作品の間違いではないか?

そう感じてしまうような
私からすると、暗い、人間の情感みたいなのを描いた作品だと感じたのである
純文学かどうかはよくわかりませんが、
難しいではないけど、なんとも鬱々としたものを読んだと
最終的に明るく終わったか?
いや、どっちかというと、ウシジマくんあたりで描かれる
見た目上よかったねみたいなお話で、
何も解決していないそれじゃないかしらと
そういう具合でありましたが
ともあれ、読み終えて、すっきりしたとは
まったくいえない読後を抱えているわけですが
まずまず読んだのである

それなりに順応していた人間が、
考えもなしにドロップアウトして、
アウトローでもないが、外界と呼んでも差し支えないところで
もくもくと生きている、いや、過ごしている
この鬱々とした感じで、
その外界と交わってはいけないが、
いやおうなしに交わらざるをえなくなっていく
この人生から逃げているかのような具合は
正直共感と呼べるようなものを覚えたのでありますが
こういうセンチメントは、バブル期特有の厭世観なんだろうか
かっこよくまとめようと思いましたが
物語の成立がいつなのかわからないので
想像で書いておる次第

どうと考えるでもないのに、
ただ、逃げたいという甘えのようなものに、
人生をかけていく、その状態に甘えているという
思考上の救いを嘲笑うような具合が
ある意味心地よいと思えたので
こういう本を読んで、追体験するあたりで我慢しておくというか
溜飲のようなものを下げて、
ドロップアウトしないでおこうなんて
自分を戒めたりしたのでありましたとか

何を小説感想にかこつけて
自分語りをしているんだと恥ずかしく思いつつも
メモっておくのである