ケン坊のこんな感じ。
キーボーディスト、川村ケンのブログです。




今日、いらしてくれた調律師Aさんは、かつて、ニューヨークでも修行を積まれた方で、

スタインウェイのピアノに関しては、かなりの研究をされた方なのです。

もちろん、ご自宅のピアノもスタインウェイだとのこと…うわあ、いいなあ。

で、今日も、調律の合間に、ほぼ邪魔をするかのごとく話しかけ(笑)、

いろいろと伺ったのですが、いくつか、衝撃的だったことがありました

 

世の中には、たくさんの素敵なピアノがあります。

スタインウェイ、ベーゼンドルファー、ベヒシュタイン、この三つが世界三大メーカーといわれるものなのですが(お値段も、とにかくお高い…)、

他にも、もちろん、ザウターブリュートナーなど、沢山の有名なメーカーがございまして、あと隠れた名機、スタインウェイの兄弟分の…グロトリアン、なんていうのもあります。このあたりは、みーんなヨーロッパのご出身。

もちろん、日本が世界に誇るヤマハやカワイもございます。

あと、アメリカ製には、ボールドウィンなんていう、あちらではかなり有名なものもあります(イシヤマさん!なんで、「JUMP」弾いてるんですか!マジでびっくりして巻き戻してしまいましたよ(笑))。

 

と、まあイシヤマさんでまた笑わせて頂いたところですが(なんか、お会いしたくなってきた…(笑))。

ピアノって、木でできていますし、作られた場所も、年代もいろいろ。部品もたくさんありますし、経年変化もします。

なので、それなりに個体差が激しいのですよね。

同じ品番だからといって、まったく同じ音がするわけではないのです。

このあたり、ハモンドオルガンやミニモーグなどの、ヴィンテージオルガン、ヴィンテージシンセサイザーも同じですよね。

 

そこで、訊いてみたのです。

「Aさん、スタインウェイにも、やっぱりハズレってあるのですか

手を止めるAさん。

一瞬間があって…

「いえ、…スタインウェイには、ハズレが、ないんです。」

「え

「確かに、メンテナンスの状態などでは酷いものもあります。出会ったことも、正直、あります。しかし」

Aさんは、こうおっしゃいました。

「他のピアノには、一般的には、どんなピアノにも、やっぱりハズレがあるんです(ただし、ベーゼンドルファーなどにはあまり詳しくないので、わかりませんが、と付け加えておられましたが)。どんなに調整をしてみても、どうしても『鳴らない』、ハズレのピアノというのが、残念ながら、あるんです」

「しかし、…スタインウェイには、それがありません。全部、全てに、何かしら『良いところ』があるのです。それを見つけてやって、そこを伸ばしていけば、必ず、鳴るんです。ちゃんと、スタインウェイのピアノになるんです。それが、スタインウェイのすごいところなんですね。」

このお話は、とてもとても、興味深いものです。

 

正直、ハモンドオルガンというブランドの製品でも、ダメなものはあります(C3,B3はまず大丈夫ですが。でも100%ではないです)。

メーカーだって、人間がやっているものです。ならば、試行錯誤があるわけですからね。

ミニモーグにも個体差があって、僕は、だからこそ、なかなか二台目には手が出ません。

自分の好きな音で鳴ってくれるミニモーグが、そんなにめったやたらにあるとは思えないからです。

そのくらいの精度、というか、確率なんだと思っているのです。

 

そこで、スタインウェイです。

Aさんは、スタインウェイのピアノには、ハズレがない。

調整をしてやれば、かならず、スタインウェイの音のピアノになるんです。

とおっしゃいました。

そして、スタインウェイの音、というものの特殊性に関しましては、

 

「あれは、別物です」

「では、たとえば、僕たちの身近にある国産のY社やK社のピアノの中でも、最高の品質で、最高の状態のものを、さらに最高に調整しても、あの音は出ないんですか?」

「無理ですね。スタインウェイじゃないと、出ません」

こう、きっぱりとおっしゃいました。

 

うおおお…

 

いえ、もちろん、ベーゼンの暖かい音も好きです。ベヒシュタインも、素敵すぎるくらい素敵なピアノだと思います。

実は、スタインウェイよりも、ベーゼンのほうが好きかも、と思っていた時もあるのです。

 

が、あの人の音が、スタインウェイの音、なんです。

 

キース・ジャレット(もうすぐ、会えます…待ち遠しいよう)。

 

スタインウェイの音が、やっぱり、キースの音に聴こえるんです。

世界中にスタインウェイを使っている人がいるのですから、単なる、思い込み、もしかしたら中長期的でもあるけど、一時的な刷り込みなのかもしれませんが…、

 

でもねえ。

 

たとえば、

ファラドミ

って左で、そっと弾くだけで、

「…ああっ

ってなるのは、

あれはやっぱり、何かあるんだと思いますよ。

 

何人もの人が、手作業でつくるピアノなのに、

いや、手作業だから、なんでしょうけれども、

たったの一台もハズレを作らないなんて、神がかってるにもほどがありますよね

 

 

ってか、ピアノ、面白すぎです

 

…イシヤマさんも面白いけど(笑)。

 

おかげさまで、僕のCPは、…えー、すっごくよくなりました。

…けれども、

またもう少し調整をしてもらうことになりました(ながーい(笑))。

でも、今日は、実はもう一人、同時に別な調律師さんが来てくれて、二人で見てくれたのです。言ってみれば、内科と、循環器科の先生まで来てくれたような感じかな。

いやあ、面白かったー

 

ではー。



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