おかあさんの科学。

生活にも人生にもほとんど役に立たない科学風味のお話で、お茶でもいかが。

赤い星のふたご

2006-04-12 17:12:21 | 宇宙
 愛すべきふたごを紹介したい。ご存じの方も多いかもしれないが、今もなお火星で活躍中のふたご、マーズローバー(遠隔ロボね)のスピリットとオポチュニティーだ。いいづらいので、精神くん(スピリット)と機会くん(オポチュニティー)と呼びたい。最初のころ、英語で書かれているサイトをweb翻訳してもらったら、そういう名前で出てきたのだ。最近は、少しは自分で根性で読もうと、翻訳なしで首をひねりつつもチャレンジ中。

 お兄さん精神くんは、2003年6月10日に打ち上げられて火星に向かった。弟機会くんは同じ年の7月7日、七夕の日に出発した。2人とも2004年1月に無事に火星について、予定では3ヶ月ほどは動作するだろうとの予測だったんだけど、なんと2006年4月の今もなお、そう、今日もなお、活動中なのだ。

 火星の気候は結構きびしくて、精密機械の精神くんと機会くんには大変なことで、実際、いろんなコトも起きて、動けなくなっちゃったりしたことも。しかしそこは(地球スタッフの根性もあって)まだがんばって動いて、データを送ってきている。意外だったのは、おそらく電源である「太陽電池パネル」に砂埃がたまるだろうって予想が、火星の「嵐」によって逆にとりさられたことか。信じられないほど少ない空気、深い砂、大きな岩、気温の低さ。土も赤く、空も赤い。ただ、夕焼けは青いのが火星らしい。

 精神くんと機会くんから送られてきたいきなりのデータは、世界中が驚くものだった。ブルーベリーと呼ばれるようになった「砂粒」はまんまるく、画像データから見ることのできる「地層」や分析された物質は、火星にあったかもしれない水の仕事を見せてくれた。それだけでなく、ホルムアルデヒドとかゆー化学物質の量の多さ!どんどん普通なら自然に分解されてしまう物質だけに、なにかおもいっきり大量に発生しつづける仕組みがあるか、‥‥あるいは、どこかにそれを生み出す「生物」がいるか‥‥ってな話にもなったり。

 このふたごの話はつきることがない。さらに昨年夏に打ち上げられた、新しい弟分の「マーズ・リコネサンス・オービター」(火星偵察周回機)が、この前火星の軌道に無事到着した。秋には、詳細なデータをドンドン送ってくるって。リコネくんは、火星上空300キロという非常な低空から、火星全体の観察をする。ふたごの姿もきっと見ることができるだろうな。

 思わず毎日のように、NASAがwebで公開してくれる情報を待ってしまう。あの赤い星で、今日もがんばってるふたごの冒険が、あまりに楽しい。

空飛ぶタイムマシン

2006-01-03 01:30:12 | 物理
 最近のカーナビには、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)ってのが入ってて、アメリカの軍の20コ以上飛んでる人工衛星を使って、今の自分の地球上での位置を測定できるようになっているようだ。なんだかすごい。いくつかの人工衛星からの電波と、中継基地を使うと、誤差は数メートルレベルまで絞れるらしい。

 だから、ちょっと昔GPSを使ってなかったころのナビだと、いつのまにか地図の沼地の真ん中を自分の車が走っていたりする「誤差」が当たり前のようにあったのだけど、最近はあまりないのかもしれない。(カーナビを持ってないので知らない)

 さて、今回はこのGPS衛星の話。ものすごいスピードで、高度2万メートルあたりをブンブン飛んでいるのだけど、あんまり速いので、実はすごいことになってるらしい。

 アインシュタインが考えた「相対性理論」っていうのが関係してくる。よーするに、「時間」というものも、実は絶対的なものでなくて、あくまでも「相対的」なもんなんだよーということなんだけど、結構むずかしい。

 特殊相対性理論ってのは、運動してる物体の「時間」が遅れると言ってる。んで、一般相対性理論ってのは、重力によって「時間」が遅れると言ってる。んで、上空の衛星は、地上のわたしたちより重力の影響が少ないので、地上より「時間」がすすむらしい。

 それでどうなるかというと、結局、衛星の時計は、地上の時計よりすすんでいるんだと。もちろん、地上とやりとりするのに、時間を合わせなくてはいけないのだから、なんと、衛星に乗せている時計は、ちょっぴり時間を遅らせているというのだ。

 時間が遅れるだのすすむだの、SFのタイムトラベルのような話が、実は今も空に飛んでる衛星では現実に起こっていて、そしてカーナビでわたしたちは体験しているのだと思うと、なんだかとっても日々「アインシュタイン」な感じがしないだろうか。

テントウムシいろいろ

2005-11-30 21:46:28 | 生物
 明日から師走。寒さも本格的になってくる中、テントウムシは木の隙間などに寄せ集まって冬を過ごすらしい。TVでしか見たことないけれど。テントウムシ好きのわたしでも、隙間にぎっしりのテントウムシには驚く。

 テントウムシで子どもの時驚いたのは、ナナホシテントウ(赤い背中に黒い点)とアカホシテントウ(黒い背中に赤い点)、ニジュウヤホシテントウ(赤い背中に黒い点が28も!)の違いだった。ナナホシテントウは害虫であるアブラムシを食べるから益虫。アカホシテントウムシは、カイガラムシ(これも害虫)を食べる。それに比べてニジュウヤホシテントウは、じゃがいもなどの葉を食べるから害虫なのだ。

 ‥‥なんでもいいんだけど、虫を食べる「肉食」が益虫で、葉を食べる「草食」が害虫っていうのがなんか新鮮だった。人にとって有益かどうかってことが大事なんだよね。

バイナリとヘキサ

2005-11-30 13:41:04 | コンピュータ
 なにいってんだかまたワケのわからんことを、と言わないで。今見てるパソコンだって、最終的には「バイナリ(2進数)」で動いてるようなもんなのよ。2進数ってのは、「0」と「1」しか状態がないと思えばいい。あるいは「高」と「低」とか、「ある」と「なし」でもいいんだけど(物理的にはね)、一応数学だとすると、「0」と「1」。

 いつもわたしたちが使っているのが「デシマル(10進数)」。0から数えて、9になって、次1つ加算されると、「ケタ」が増えるのね。「10の位」に1が立って、「1の位」は0に戻る。

 2進数では、0,1、ときて、もうひとつ加算されると「ケタ」が増えるわけ。「2の位」に1が立って、「1の位」は0に戻る。だから、10進数の「2」は、2進数で「10」なのよ。10進数の「3」は2進数で「11」、10進数の4は2進数でさらにケタがあがって「100」。

 それがどうした、と言われても困るのだけど、なんでパソコンって動くのかなー。とか、たまーに気になるなら、ヒントになるわけで。今のハード(機械)では、結局は電圧が「高い」「低い」で動いたりしているから。データを処理したり送ったり、は、結局はそういう「1」と「0」ですべてが表現されてると思えばいい。

 たとえば郵便番号が1234567だったとすると、あなたのパソのそのハコの中ではこれがバイナリデータになっている。実際はたとえば、

 0001
 0010
 0011
 0100
 0101
 0110
 0111

とかね。なんでヨケイな0がいっぱいあるんだ、と言われても、今回はたとえば4ビット(4つの「0」か「1」)でデータを表すとしたらってことで。大昔はこの「4ビットマシン」が「マイクロコンピュータ(マイコン)」だった。パソの中のメモリをのぞくと、こんなんがウジャウジャ並んでいるのだ。

 で、これじゃさすがに読みづらい(ってだれが読むかというと、プログラマーやハードやさんなんだよね)ということで、普通は「ヘキサデシマル(16進数)」で表示することになる。略してヘキサ。

 実際に扱ってみるとよくわかる。たとえばさっきのデータを見てみよう。マルだのボウだのの集まりだけど、アレを4つづつのカタマリにすると、4つ(4ビット)で、1つの16進数を表現できるのだ。

0000 →0H
0001 →1H
0010 →2H
0011→ 3H
0100 →4H
0101 →5H
0110→ 6H
0111 →7H

ほらね。そうしたら、最初のバイナリ表現が、

01H 02H 03H 04H 05H 06H 07H

とすっきり表現できるだろう。あ、おしりのHは、16進数ですよ、というマーク。

 16進数ならではの表記は、この先「10」からケタがあがる「15」までを「A」から「F」までと書くことだ。つまり

0000 0(10進数)  0H
0001 1        1H
0010 2        2H
0011 3        3H
0100 4        4H
0101 5        5H
0110 6        6H
0111 7        7H
1000 8        8H
1001 9        9H
1010 10       AH
1011 11       BH
1100 12       CH
1101 13       DH
1110 14       EH
1111 15       FH
00010000 16   10H
‥‥

となる。さて、では問題。今ここに27才の人がいるとすると、16進数ではいくつになるか。

 答えは、27才=16+11だから
16進数だと、10H+BH=1BH。

 まず普通の小学生のお母さんで、そういうお仕事したこともなく、大学や高校で興味もなければ知らないことだと思う。パソコンで今動いてる「ソフト」やら「ゲーム」は、結局1と0のカタマリで書かれていて、4ビットで16の数字を表現できるということ。それだけの話。せいぜい32才のお誕生日に、心の中で「ヘキサのはたち、おめでとうワタシ。」とつぶやくくらいのワザになる。お母さんには実はほとんど必要ない知識だ。

「イトカワ」に「はやぶさ」が「ミネルバ」を。

2005-11-17 14:32:39 | 宇宙
 お母さんたちは仕事を持っていたり、夕飯の献立に悩んだり、トイレットペーパーが198円だからって走ったり、いろいろ忙しい。だからふっと気づいてスーパーの向こうに夕焼けが広がっていることに、希にハッとしたりするくらいで、夜空を眺めていろいろ思うほどの時間がない方の方が多いんじゃないだろうか。

 宇宙に関する一番新しいニュースで、しかも日本のJAXAという組織が計画、実行中のミッションは、なんといっても小惑星イトカワに、なんと(ちょこっとだけ)着陸して、岩石を採取、地球に持って帰ってくるというなんだかすごい探査機「はやぶさ」(日本らしい命名だ)の状況だろう。2003年5月に地球を出発した「はやぶさ」は、今、イトカワに寄り添って、着陸準備中なのだ。予定では2007年夏に地球に帰ってくる。

 小惑星とはナニか。主に火星と木星の間にたくさんあるらしい。小さい星というか塊らしい。イトカワは全長で500mくらいのものだ。

 なんでそんなとこまでいって、そんな小さな星を調べるのか、というと、ひとつは純粋に、太陽系の成り立ちなど、科学的な探求のため。さらに、意外な理由のひとつになるんじゃないかと(わたしが勝手に)思っているのは、イトカワをはじめ、地球に接近するタイプの小惑星が、いつか地球にぶつかっちゃう時に、早めに回避する方法を模索するためってのもあるんじゃないかと。なにせたった500mだろうが、万が一ぶつかったら全地球の生命がどうなるやらの危機になるらしい。恐竜の全滅は、そういう状況があったのではないかと言われているほどだ。数年前に見た映画のような話だけど。

 ともかく、岩石採取のメインイベントはこれから。その前にサブイベントがあった。数日前の出来事だ。はやぶさに搭載したミニロボを、イトカワに降ろし(落とし)イトカワ表面を撮影させるものだった。このミニロボは、まさにカンヅメみたいな形で、高さ10cm、重さは600gほど。名前は「ミネルバ」という。残念ながら、ミネルバはイトカワに着地できなかった。近くを漂ってるという話も。実に残念だが、それでもこのあとのミッションはぜひ成功させて、再来年の夏に地球にイトカワのかけらを持って帰ってきて欲しいと心から願っている。

つるかめ算

2005-11-14 20:05:12 | 算数
 わたしのように小学生を育てているお母さんでも、意外に「つるかめ算」という名前は知っていてもどのようなものか知らない方も多いのでは。多くなくても知らないお母さんはいる。絶対いるって。というわけで、つるかめ算を説明させていただく。

 問題としては、「つるとカメ、あわせて7匹います。足は全部で22本です。つるは何匹、カメは何匹でしょう。」とかいうものだ。足の形で見なさいよ、という解答も正解だとわたしは思う。つるはよく片足で立ったりするし、可哀想なことに怪我によって1本足を失ったカメがいるとか、そういうのも考えると、意外に多くの答えが待っている。しかしあくまでも今回の問題は、

 <つるの足は2本、カメの足は4本にケッテイ>

 が前提になる。その計算の仕方が「つるかめ算」らしい。

 さて、考え方はさほど難しいものではない。まずはどちらか、たとえば足の数の多いカメが7匹全部だったとする。すると足の数は

 4×7=28   28本

 ところが、全部で22本だというのだから、カメは7匹はいないことになる。では、1匹カメをつるに入れ替えてみると、当然足の数は、(カメの足の数ーつるの足の数=2)で、2本減ることになる。

 だから、多かった6本を足の数の差2本で割った数

 6÷2=3

 3匹のカメをつるに替えればよい。カメが4匹、つるが3匹が正解だ。

 もちろん、最初の設定を「つるが全部だとする。」でも同じ考え方でできる。つるかめ算の考え方というのは、最初の「もし、全部カメだったら」「もし、全部つるだったら」という前提からスタートする方法だ。

 これで小学生のお子さんをお持ちのお母さんも、少し子どもに自慢できるかも?でも、実際わたしの娘(小3)に説明してみたら、その場では「へえぇ」とボタンみたいな声を出してくれたものの、実のところどこまでわかったのかよくわからない。っていうか、たぶんわかってないと思う。高学年向けなのかな。

胃炎や潰瘍の真犯人

2005-11-12 23:16:53 | 医学
 2005年度ノーベル医学生理学賞に輝いた2人のエライ博士がなした功績は、胃炎や潰瘍の原因のほとんどが「ストレス」じゃなくて、「ピロリ菌」という、胃の中にいたりする菌の感染によると明らかにし、それを分離し培養することに成功したことだそうだ。ほとんどっていうのは、この件については80%とか90%のこと。全部じゃないし、他にも原因はあるということ。

 でも残念ながら、まだどうしてピロリ菌が感染すると胃炎や潰瘍になるのかのメカニズムは解明されたわけではないらしい。「分離と培養」が、これから研究をするための「基礎」になるということらしい。これからもがんばって研究を進めていただきたいものだ。

 日本人はピロリ菌の感染率が高いのだそうだ。でも、感染者の中で、胃ガンになる確率は1%以下なのだと。少ないな、と、一瞬思ったが、総数がどれだけかで数が違うもんね。「なん%ですってよ、奥様!」ってな数字のトリックには注意が必要だ。

理科室の思い出(アスベスト/ラーメン)

2005-11-12 21:53:01 | 学校・教育
 アスベスト問題が最近メディアでも騒がれるようになったが、実際はわたしが小さかった何十年前からその「リスク」は、研究者や医学者にはわかっていたようだ(ってことはお役所関係もね)。理科室にあった、あのアルコールランプにつきものの「石綿つき金網」の「石綿」の正体こそがまさにそのアスベストだった。低コストで、遮熱性があり軽く扱いやすい石綿は当時いろんな場所で活用されていた。現在の理科室のアルコールランプ用金網には、セラミックが使われているので逃げる必要なし。

 アスベストは繊維状で、わたしたちの血液のつぶつぶ(赤血球)の数倍ほどの大きさで、肺の中に入ってしまう。入ると肺の細胞はほんとは伸びたり縮んだりするのだけど、それが固くなってしまうらしい。そして呼吸困難になってしまうのだ。細胞を傷つけてしまうので、それをきっかけ(かもしれないという推測の話)にがんになることもあるらしい。しかし発症までには何十年という年月がかかるとか。

 アルコールランプといえば思い出すのは、中学校の理科室で理科の先生が、ビーカーで作ったインスタントラーメンの匂い。高校の理科準備室でなぜか将棋をさしつつ昼寝してた先生の横にあったインスタントコーヒーの匂い。わたしの理想の理科室の匂いだった。(今そんな先生やそんな理科室はないだろうなあ‥‥。