Kanazawa Jazz days

深く広い空とうつろう雲雨風雪雷霰霙を愛でて走って山登り酒を呑み音楽を聴いて過ごす金澤の日々

Art Lande: Rubisa Patrol (1976) 記憶の栞

2012年08月04日 | jazz (piano)

 記憶の栞(bookmark)のようなものがある。直接そのもの(音や話、画像とか)は憶えていない。ふっと気持ちの奥に栞のようなものを見つけ、指を頁に差し入れると、ふわっとある日の光や大気の温度とともに何かが飛び出す。

 昨夜は丘のうえの友人がやって来て、気儘に音を聴きながら酒を呑んだ。いつしか寝入っていたのだけど、朝の熱気と光で眼が覚めた。そのとき、こぼれるように1985年の8月、日中の京都に単車で通りがかったことを思い出した。住んでいた湘南の端っこから信州、北陸、湖西(朽木を通った記憶がある)を伝って洛北から市内へ。陽炎が立つ酷暑の京都、路面からの熱気でヘルメットから汗が流れ落ちる。御所近くの学校に入ったら、たまたま学生時代の友人と出会った。あまり親しかった訳ではないのだけど、懐かしく、烏丸通りの喫茶店で暫く話しをした。そのときの話題がRubisa Patrolとジョニ・ミッチェルのライヴ・ヴィデオ(レーザ・ディスクでジャコが見られるんだよ、って)だった。

 1980年頃のECMは今のように純化が進行していなくて、相応の多様性がある音の様式(温度管理のようなもの)のなかに収められている感じだった。デジョネットのSpecial Editionからキースの現代音楽まで。そのなかで、Rubisa Patrolは今のECMに繋がる室内楽のようなジャズ。最初、ジャズ喫茶で聴いたときは、ジャズにはきこえなくて、様式的に受け入れることが出来ない感じだった。そんな話しを友人にしたような記憶がある。

 最近、どんな音だったか気になってLPレコードを入手した。改めて聴いてみると、透明度が高く、静謐で緻密に作られた音。まあOregonと同じような嗜好。中国やブルガリアの民族音楽を題材としているが、ソフィスケイトした音の造りなので、民族音楽そのもののエッセンスが入り込んでるとは感じない。旋律の素材。

 改めて汗をかきながら音盤を回していると、昔と違って、ジャズだとかジャズじゃないとかカテゴリに対するこだわりも失せていて、ただ音と音の間に広がる静かな空間のなかに心地良く座っている自分をみつけることができる。ボクにとて、だから加齢っていい事だなあと思うことが多い。そんな静かな音が、ある夏の記憶から栞のように引っ張り出されるとは思わなかった。

追記:

これを聴きながらもPat MethenyのUnity Bandで書いたことが気になっている。Chris Potterの音の違和感のこと。結局、このRubisa PatrolのMark Ishamとか、PMGにいたCuong Vuのような音の温度の低さ(彼らはトランペッターだけど)を求めているように思う。


ここで試聴できます

http://www.cduniverse.com/search/xx/music/pid/1377763/a/Rubisa+Patrol.htm

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Art Lande: Rubisa Patrol(1976,ECM)
   A1. Celestial guests/many Chinas
   A2. Jaimi's birthday song
   A3. Romany
   A4. Bulgarian folk tune
   B1. Corinthian melodies
   B2. For Nancy
   B3. Kaimi's birthday song
   B4. A Monk in his simple room
Art Lande(p), Mark Isham(tp,flh,ss), Bill Douglass(b,fl,bamboo fl), Glenn Cronkhite(ds,per)

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