Kanazawa Jazz days

深く広い空のもと、うつろう雲雨風雪雷霰霙を愛でて走って山登り酒を呑み釣って音楽を聴く金澤の日々。

[ECM1058] Steve Kuhn: Ecstasy (1974) ピアノ職人の技

2016年01月12日 | ECM1000番台

 ECMの実りある1974年の録音も終盤になってきた。前作のTranceと同時期の録音。ただし、Tranceは米国録音、こちらはオスロ。やはり、音はこちらのほうが遙かに美しい。

[ECM1052] Steve Kuhn: Trance (1974) 直球のジャズのスピード感に溢れている

 アルバムのタイトルが Ecstasy。前作のTranceといい、日本の某レーベルのエロ・ジャケットのように狙っている。そして、狙い通りのような音に仕上がっている。うまいし、聴かせる。ピアノ職人の技、が光っている。凄いなあ。

 キューンって、ピアノが本当にうまい。曲作りもうまい。ある種のECM的な印象、natural、とは距離があるのだけど、技でECMらしさを作ってしまうところは本当に凄いと思う。バイラークとの違い、はソコかなあと思う。

 今までTranceばかり聴いてきたのだけど、改めてしっかり Ecstasyを聴くととても良い。ときどきキメ技を連打するケレン味が気になるが、それも持ち味。ふっと力を抜いたときに、弛緩した雰囲気のなか溢れ出るような旋律に心惹かれた。ECMらしい録音空間のなかで、漂う。

 ピアノも様々ま音を出しているし、曲も一本調子ではなく、メリハリもある。芸能としてのジャズを演奏しながら、その範疇でこなすECM、って感じかなあ。ただ、感情の基層まで降りていくようなmagicalな何か、が決定的に欠けているところが、キューンであり、いやキューンの良さじゃないかなあ、と思っている。キース・ジャレットは一人でいいからね。

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[ECM1058] Steve Kuhn: Ecstasy (1974)
A1. Silver (Steve Kuhn) 8:49
A2. Prelude In G (Steve Kuhn) 4:26
A3. Ulla (Steve Kuhn) 7:23
B1. Thoughts Of A Gentleman - The Saga Of Harrison Crabfeathers (Steve Kuhn) 12:16
B2. Life's Backward Glance (Steve Kuhn) 4:45
Steve Kuhn(p)
Design [Cover Design]: Maja Weber
Engineer: Jan Erik Kongshaug
Layout: Dieter Bonhorst
Photograph: Odd Geir Saether
Producer: Manfred Eicher
Released:1975
Recorded November, 1974 at Arne Bendiksen Studio, Oslo

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4 コメント

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TBさせていただきます (910)
2016-01-12 17:44:58
インタビューではっきり読んだことがあるのですが、キューンは、アイヒャーの好みに弾いたというようなことを読んで、ちょっとショックでした。ここでそんなことができるのだなあ、と改めて思った次第です。でも、その後の多面性を見るとやはりなあ、と。

自分のアルバムコメントを読んでいるとけっこう好きな1枚になってましたです。久しぶりに聴いてみよう。
ピアノ職人 (ken)
2016-01-13 14:08:15
芸能という眼でみると、立派なヒトだなあ、と思うのです。ゲージュツと主張されすぎると、シラけますしね。だからキューンってスゴいなあ、と改めて思うのです。
TBさせて頂きます。 (中年音楽狂)
2016-01-16 17:21:18
kenさん,こんにちは。TBありがとうございました。あいにくTBがスパム・ボックスに入っており,公開が遅れました。お詫び致します。

「技でECMらしさを作ってしまうところ」っていうところは確かにKuhnにはあると思います。エロ・ジャケ・レーベルの演奏もそうでしょうし,その他のレーベルの時はまた違う顔を見せるっていう感じがします。

音楽性は高いとともに,器用なミュージシャンだということができると思います。
いえいえ (ken)
2016-01-17 06:09:56
私はタイミングよい返信ができてない(笑)。記事アップがやっと、なんで。
キューンを改めて聴くと(クローグのアルバムも)、やはり良いですね。うまい。器用さが一見(一聴?)感じさせず、音楽性に唸らさせる、人は多くないなあ。

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