ON THE ROAD

適当に音楽や映画などの趣味についてだらだら

『深夜特急』 沢木耕太郎

2017-07-29 21:16:36 | 
読もうが読むまいが、引越ししてもこの本は常に本棚にあった。
文庫で6冊もある作品なので気軽に手を出しづらいが、いったん読み始めると一気に読んでしまうと手が止まらなくなってしまう。
沢木は好きな作家ではあるが、正直作品的にはう~んということがちょくちょく。それでも、この作品は面白いし、読ませるし、何より求心力の様なものがある。そうなるとやっぱり「バイブル」という言葉がしっくりきてしまう。

この作品に影響を受けた人もいるだろうが、自分は結局旅に出ることがないまま26歳を終えようとしている。それでも高校生の時に読んだ時からあこがれだけは心の片隅にある。金がない、目的がないというのは作者と同じだろうが、自分はそれ以上に勇気がなかったし、旅に出ても何も得られないのではという恐怖があったな。もしそうなるくらいならと思うと、この作品での追体験で満足してしまう。それに仮にこの本をなぞる旅に出ても時代が違うからな。当時とは違う楽しみを見つけられても、それ以上に失われている楽しさもあるんじゃないかなと考えてしまう。

本は想像力を養うなんて言うけれど、この本ほど想像力を掻き立てられる作品もないな。場面の一つ一つが自分の中で映像化されてしまうから不思議だ。それだけにドラマの方に手を出す気は起きないけどね。


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