渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う

作刀備考

2006年10月23日 | 日本刀

先週の土曜日には尾道道場の師範と福山にある県立博物館に刀剣展を見学に
行った。
手元にある自作の刀(小刀、刀子、短刀)をすべて持っていった。
帰りに予約していた座敷で、酒が入るまでに観てもらおうと思ったら、一振
り一振り丁寧に観てくれたので、飲みながら。
全部見終わった時は、2時間の予約時刻の終了間際だった。
驚いていた。
「こっりゃあ、あんた、素人の作品じゃあなぁで!(これは君、素人の作品
 ではないよ!)」を連発。
少しウレシーかな(^^)
一番嬉しかったのは、平成7年に出来上がった私の小柄小刀を睨んだまま
康宏刀匠のお弟子が40分間微動だにしなかったときだった。


(平成7年正月作の小柄小刀。裏の刃の刃文はまだ描き写していない。
 地鉄青く小杢目詰み地沸つく。刃文は涛乱刃に玉を焼く。
 斬鉄剣康宏鋼を用い、私が三原にて製作。ビシッと切っ先から棟に
 返って焼きが入っているため定石通り右の刃先に向けてうつむいた
 感じの筍反りになっているのが判る。
 寸法は幕末の大御所である水心子の手引書通り)


(こちらは熊本の故谷川盛吉作。無鑑査刀匠の手による名品。
 惜しむべくは、巷間に氾濫する使って研ぎ減った江戸期の小刀の
 形にしてしまっている)

5年前、広島の山奥のキャンプ場に釣り仲間6人が集まって私が作った
小刀7口の焼き入れ会をしたことがある。
私の工賃はその晩の酒盛り代の割り勘分タダということで(^^)
鋼代も結構かかったし、作業工数も随分かかったが、楽しくやれた。
最終のヤスリまで仕上げて、時間をかけて炭切りをし(焼き入れ用の炭は
親指の第一関節くらい。これをかなり用意)、特性の焼き刃土と移動用の炉
を持参し、解説冊子も作って夜の焼き入れ会に臨んだ。
皆さん楽しんで喜んで刀を持って帰った。

きょう、本棚を整理していたら、当時私の書いた解説冊子が出て来た。
東京の居合の先輩は過日それを読んで「これはいい!ちゃんと製本して有志
に配る」と言っていた。
今度、いつか、尾道の人たちとも小刀の焼き入れ会をしてみたい。

あまり知られていませんが、刀の焼き入れは火加減を見るので、月のない夜
に行うのです。微妙な温度変化の影響を受け易い「穂」と呼ばれる繊細な
小刀は特に。

  寒月に 行方戸惑う 火(ほ)の明かり  (渓流)


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