渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う

ナイフのシースは銃のホルスター

2017年08月13日 | 刃物


ネット上で見つけたナイフ+ライト+菓子缶用ホルスター。
これはハイセンスだ。これには唸らされた。なるほど、と。
まるでビアンキのパンケーキホルスターのような雰囲気を
持っている。素晴らしい。
菓子缶はチャーリング・ティン(火種用の缶)だろう。


パンケーキ型ホルスター。和製英語だろうか。パンケーキは英語
ではホットケーキと言うから。米語ではパンケーキ・ホルスター
とも呼ぶらしいが、パンは厳密にはフランス語ですね。フランス
ではパンをパンとそのまま言っただけではあんまし通じないみたい
ですが。なんとかパンと呼ぶみたい。食パンとか菓子パンとかブドウ
パンとかみたいなものかしらね。
ちなみに友人の知り合いがアイダホで米国人にギブミーパンと
言って「はあ?」と言われたらしいす(≧∇≦)



よく出来た革製のナイフシース(鞘)は銃のホルスターのような
作り込みとなっている。
これなども刀のように手を体の前から回して抜くクロスドロウ用
のシースであり、もはや完全に銃のホルスター
のような発想だ。
機能的デザインもとても秀逸だ。オリジナルの作品だろうか。
シースのシルエットからして、ナイフはスキナー・タイプだろう。


これらのシースもオリジナル作品と思える。
ナイフシースはすごく良い味をだしている革シースだ。素晴らしい。


日本人の場合、どうしても洋式ナイフの歴史が浅いからか
センスが磨かれていない。
正直言って、日本人が作るナイフシースはダサい物が非常
に多いのである。
それと革がペラペラで薄すぎる。
日本人でも米国に在住してガンレポーターの経験を積んだ
人などは、ナイフシースを作っても玄人裸足で、非常にハイ
センスな作を作り残している。










製作:長谷川朋之氏(『ナイフマガジン』1996年4月号)

もはや、アメリカ在住ガン・ライターの手慰みなどという域の作品
ではない。完璧にプロ並みの手技だ。
同誌同号の特集「シースを作ろう」では、レザーシースの作り方を
丁寧に解説しているのだが、非常に分かり易い記事で参考になっ
た。昔の『ナイフマガジン』は良質な記事に溢れていたのである。
時代と共に、ただのカタログ雑誌のような編集方針になってしまい、
発行部数激減となり、29年間続いた良専門誌だったのに、ついに
2014年12月号で休刊になってしまった。今ではいよいよカタログ
雑誌然とした『年間ナイフマガジン』というカタログ記事の出版物
を年に一度発行するだけになった。専門誌『ナイフマガジン』は、
休刊であるが、事実上の廃刊といえるだろう。ブレードショーを
追いかけることのみに力量を傾注しはじめたあたりから、「常に
新しい物を消費するための購買意欲を煽る活動」という資本主義
の企業商業主義の代弁者となってしまった同誌は、大切な斯界の
リーダーシップを取ることはできなかった。
商業主義的論理というものは、利益は愛しても人は愛さない。
一番『ナイフマガジン』が警鐘を鳴らしていた人間回帰の忘失や
ネイチャーアプローチのルネッサンス的立場を自ら放棄していた
のでは、読者は自然に離れる。単なる物品販売情報ならば
インターネットには勝てないからだ。
専門雑誌には専門雑誌の強烈な強みがある。
『ナイフマガジン』は、そこを見失ってしまっていた。
『BE-PAL』などは今でも良好な販売部数を誇っており、刊行は
続行されている。誌面の記事内容も、力の入った記事をライター
諸氏が書いている。
『ナイフマガジン』が転落した路線は、返す返すも残念だ。


現在、国内のナイフシーンとしては、ナイフ自体は日本人もかなり
良い物を作るのだが、こと革の
シースとなると、どうしても米国物
にはかなり遅れを取っている。

日本人の殆どがラブレスポーチか古いゾーリンゲンナイフの
コピーに終始しているというのも、進歩がない原因かもしれない。
ラブレスポーチのナイフシースは非常に優れたナイフシースで
あるのだが、あくまでも「シースのうちの一種類」でしかない。
それがすべてであるという発想から一度脱皮して抜け出さないと、
革製品として
のナイフシースの発展は無いように思える。
ただねぇ、日本の場合は革の仕入れとかがなかなか一般的には
難しいからねぇ・・・。
革の仕入販売等は、事実上、既得権益でがっちり固められている
独占権益みたいなところが日本にはあるから。
それなりのコネとか関係性がないと、なかなか新たに革製品を
手掛けて製作販売というのは難しい。
そうした独占状態の市場原理も、一般人がレザークラフトに親し
めない社会背景素地としてあるように思える。
そこらのお店にサドルレザーなんて売ってないし(^^;

それでもナイフシースについては、徐々にではあるが、自作のブーム
も到来しつつあるように思える。
ブッシュクラフトが静かな強いブームとなっているが、ブッシュクラフト
は「自分で作る」ということが基幹になっている。その影響もあるの
かもしれない。
これまでのファミリーバーベキューやレジャーキャンプのように高価な
道具を沢山買い込んで、道具自慢のような野行きだとしたら、やはり
先ほどの専門誌のように先細りのジリ貧になることは目に見えている。
そういう路線に落ち込むと、ビリヤード業界が1990年代末期から
陥った商業主義的路線のように、「常に新製品を発表して売り続ける」
ということでしか息をつなげないことになる。
そうなると、巨額の開発費を投入した1980年代のモーターサイクル
の世界のような構造でない限り、確実に品質は低下する。
そして、新たに出す新製品も「適度に使われたらポイすることが前提」
という製品になって行く。
ブッシュクラフトの世界も、日本に紹介されてすでに7年目を迎え、
傾向性を俯瞰するに、やはり釣りやキャンプ業界と同じようにどん
どん「新しい商品」を売らんがなの戦略に足を踏み入れてしまって
いる業者・メーカー・販売店もあるようだ。
そういうのは必ず失敗すると思う。
常に新製品を開発販売し続けなければならなくなり、それは取りも
なおさず、電球のように製品の一定期間の使用のみが前提となる
ものだからだ。
本当はネイチャー周囲の物品は、「親から子へ」ということまでも
許容できる品質と道具としての機能性と耐久性が無ければならない。
次から次に目新しい「商品」を買い続けさせるという企業方針は
それは必ずや無理が来るのだ。
オリジナルの定番のスタンダード物を何点か保持して、そして間口を
広げ過ぎずにきちんと視座を据えてその製品を主軸としてユーザー
とがっつり向き合うのが、自然環境というネイチャー周辺に接する
業種の健全な在り方であると私は思うのだ。
ネイチャーに関与する小規模アウトドア企業は、トヨタ車を作るので
はなく、ミニやフィアットを作るという路線のほうが本来の立脚スタンス
と乖離が少ないと思われるのである。

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