渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う

ブラウニング

2017年07月23日 | 刃物


かれこれ6年も使っているユーティリティ・ナイフだ。
非常に使い勝手が良い。6センチ強というこの長さのブレード物では
今まで手にしたフォールディングナイフで一番使い勝手が良い。

ちなみにすべてのフォールディングナイフの中で最高峰の作動性と
利便性を感じたのはアル・マーのトップ・ガンだった。MOKIがOEM
製造していた。


正直申し上げて、フォールディングナイフの作動性の良さは、MOKIが
G.サカイをリードしている。これはナイフの現物を多く手にしてみれば
よく分かることだ。(ただし、MOKIでもラコタOEMのみはどれも作動性
が渋すぎた)

アル・マーのトップ・ガンはハンドル部に斜めにせり出したステンレスの
ボルスターのためにハンドル部の重量が重く、ブレードを指で挟んで
軽く振るだけでアメリカン・オープンをすることができたのだった。
音もチャキーンと心地よかった。フォールディング・ナイフならばMOKIだ。

さて、この私のブラウニング277は超低価格で、デザインもなかなか
垢抜けていたので、2011
年にネットで購入した。
いわゆる、当時世界情勢として、世界の企業が中華人民共産党帝国に
産業生産物の生産部門を投入して軌道に乗り始めた頃だ。
今や中華帝国抜きにしては世界経済や各国の産業や国民の生活は
一切成り立たない構造が出来上がった。
中国製品は1990年代末期には「安かろう悪かろう」だったのだが、年々
各産業生産物の品質が向上している。そのうちかつての日本がそうで
あったように、ただの量産低賃金の生産場所から、高品質の産業生産
物の国際製造拠点
に変化するだろうと思われるし、今そうなりつつある。
何しろ、ついこの前まで未開地のような国が中国だったのだ。国民は
人民服を着て、富裕中級労働者(本来賃金格差や収入格差はあっては
ならない国家であるのに、貧富の差は資本主義国よりも大きい)は、
自動車などは夢の夢、全員が自転車に乗って通勤していた。電車・バス
などは未発達で未開の僻地のような国が中国だった。
国民のほぼ全員が戦時中の日本の国民服のような人民服を着ていた。
テレビなどもないし、トイレにドアなどもない国だった。日本人の旅行者が
ポケットティッシュを持っていたら不思議そうに覗きこんで人だかりが
出来る国が中国だった。人民解放軍に米国産タバコを一箱あげたら、
AK47マガジンいくつも分をフルオートで撃たせてくれたし、1カートン
あげようものならば、いくらでも撃たせてくれて、大砲まで撃たせてくれた。
そういう国だった。実際に、私の大学時代の親友などは、「戦後初めて
中国大陸で大砲を撃った日本人」になっている(苦笑)。

それが今や、旧西側先進国と同じようにTシャツを着てジンーンズをはく
だけでなく、スーツを着てネクタイを締め、自動車さえも生産するような
国になった。ここ30数年での変化だ。激変といっていい。

そうした大陸の中華人民共産党帝国では、今やほぼ世界中の洋式ナイフ
の生産を請け負うようになって来ている。
最初の頃は品質たるや目も当てられなかった。
だが、米軍の全軍配備の黒ベレー帽は中国製となり、日本自衛隊の最初
の支給の一つ目の官品である物資以外のPXで購入する自衛隊の日本
迷彩が施された自費装備(弾倉嚢やその他多種物品)は中国製となって
いる。官品などはすぐに駄目になる。二品目以降の日本の自衛隊装備は
すべてがほぼ中国製といってよい。日本の防衛部隊は中国製品を装着
しているのである。米軍のベレーと同じ。

ナイフにおいては、中国製が出始めた頃は非常に品質が悪かった。
だが・・・。
現在はほぼ問題はない。
ほぼ、というのは、ナイフを手作り品の工場制手工業的な製造方法から
パーツ量産構成というシステム化することによって、品質の低下を防ぐ
ことに着手したので、今では生産機械さえあれば中国だろうとアフリカ
だろうと、どこの国でも製造ができるようになったのだ。
だが、工作機械は高価であるので、それを揃えるには資本力がなけれ
ばならない。アフリカの小国の基幹産業とはなり得ない。
中国は今では高速鉄道や自動車さえも自国生産できるほどに、見た目
の工業力は上がっている。(厳格な品質比較は日本製とは比べられない
段階ではあるが)
ナイフの場合、ハンドルやブレード等をネジどめパーツにすることで、
例えば職人技的技法が必要だった「かしめ」や「開閉具合の調整」を
不必要な存在に追いやることができた。
この私のブラウニングなどはもろにその類のナイフである。
実につまらない味のないナイフなのだが、デザインそのものは米国の
デザイナーがドローしているので、横浜大中チャイナ風味ではなく、どこ
となく西側国ぽいシルエットだ。

使い倒したせいで、ブレードの刃道のラインはまったく変わってしまった。
自分の好みで研ぎ上げるので、Rを押さえたサスガのような鋭い姿に
なっている。




私のトゥーセブニセブンは、これみよがしのCHINAの文字が目障り
だったので削り落とした。彫り込みだったので完全分解して磨り落と
している。


ナイフ自体は非常に出来が良い。
このモデルのこの個体を買った時は1,800円ほどだった。
現在は2千数百円の価格帯のようだ。

親指を引っかけて押すように開けるための突起が装着されて
いるのが標準仕様だが、私は邪魔であるので除去している。
そのため、オープンには、私はブレードを指で挟んでハンドル側
を振り下げて開くアメリカン・スタイルでブレード・オープンする。

ブレードを挟んで、


スナップを利かせて軽く下に振る。




するとチャキン!と一気に開いてロックがかかる。
この時のタイムはブレードを挟んでから開いてロックまで1秒と
かからない。


ライナーロック方式である。ブレード・バック・ロックよりも簡単な構造で、
しかも確実なロック方法だ。これは1970年代には存在しなかった。
この構造はアメリカ合衆国のナイフ・メーカーのマイケル・ウォーカー
が1980年に考案した。完全に片手でオープンとクローズが行なえる
方式の為、1990年代には法執行機関や軍事用に大流行した。
現在ではフォールディングナイフの主流ロック方式となっている。

バック社が世界で初めて考案したバック・ロック式のそれまでのロック
方式では、ナイフを手の中でひっくり返さないとロックを解くことが
できない。
(バック社505ナイト。日本製)




手の中で反転させる。




ロックを親指で押して解除する。


そのままテンションをかけて、掌部分でブレードバックを押して


小指等を使って手を切らない位置でナイフをホールドし、


小指を閉じるようにすればスプリングテンションでパチンと
ブレードがハンドル内に納まる。


このように、バック・ロックでも片手で扱うことは十分に可能だ。
また、オープンのやり方も、ブレードを親指と人差し指で挟んで
ハンドルを下に振ってオープンするアメリカン・スタイルでオープン
すれば片手でオープンできる。親指で押すサム・スタッド(親指鋲)
などは必要ない。そもそも、本来は斬りぬくブレード上に突起物が
装着されているほうが刃物としておかしいのだ。私は個人的には
サム・スタッドのあるナイフは嫌いであるし、不必要な部品だと確信
している。不器用なアメリカ人には必要不可欠なパーツなのかも
知れない。コルトSAAをクルクル回せるアメリカ人などは数億人の
うちほんの数えるほどしかいないというのがアメリカ人の器用度の
実情だ。細かい技ではなく大技の力任せの力技のようなことで
押し切るのがアメリカ人の特徴だ。日本人やドイツ人やスイス人の
ような細かい芸はまったく不得手だ。
ナイフにしても、フォールダーの場合に開刃用のサム・スタッドなど
はアメリカ人向けには必要不可欠な部品であることだろう。
だが、私には要らない。要らないどころか、不必要であり、私にとって
は、斬り抜きの障害物でしかない。
そのため、オープンのためにはサム・スタッドなどという野暮な物は
接地せずにスパイダルコのように穴だけが開いているデザイン等は、
実にシンプルだが実用上必要最低限の機能は持たせるという造形を
構成している点で、ナイフデザインの本質的在り方を突いた秀逸な
ものであるし、インダストリアル・デザインとしても秀でた物であると
感じている。


サム・スタッド付のブラウニング・ナイフ(中国製)




ライナーロック方式である。


品質はあまり良くない。だが、十分に使い倒しナイフとして使える。


自分で研いで、いつでも使えるように刃を付けてある。
本来刃物というものは、自分の使い易い刃を自分でつけるものだ。


私のブラウニング・トゥーセブニセブンは研ぎ過ぎてブレードシルエット
がかなり変わってしまった。ブレードバックも刃先に合させて磨って
いる。




中国製といえども、日本製ナイフに見られない非常に良い面がある。
それはスチールパーツの表面処理で、そこには実銃と同じ(であろう)
処理がなされていて、使い込むとまるでビンテージ・コルトのような
風合いを見せてくるのだ。あ、コルトではなくブラウニングか(^^;
ボルスターの黒光りは実銃のそれとまったく同じ輝きだ。


この277はとても可愛い。ここ6年で一番愛用しているナイフだ。


おかしかったのが、このナイフがとても使い勝手が良いことと
デザイン的にもカッコいいよ~なんてことを地元の友人に
告げた。すると二人とも即行で購入した。二人とも自分で刃先
を研いでいる。
その話を埼玉の友人にしたら、友人は即行で購入した。
さらに九州の游雲会会員の人も購入した。他にも友人知人が
複数名同モデルを購入した。
私の神戸のイトコも持っている。
私の周囲だけで8名がBROWNING 277を所有している(笑)。

世間でも人気があるのか、いつの間にか品切れになり、暫く日本で
の販売が停止していたが、最近では再開
されたようだ。次に国内で
リリースされた時には1,800円から
2,500円程に値段がアップして
いた(笑)。

一時、輸入自体が途絶えていたようだが、現在はいろいろなナイフ
ショップでもこのBROWNING 277は購入できるようだ。
このナイフは、かなり推奨できる。フォールディングでは一推しだ。
サムスタッドを親指で押さずとも簡単にアメリカン・オープンもできる。
これはメタルライナーがインナーとして入っているため、
ハンドル部
が重たいからだ。この適度な重さは信頼性も増す。

頑丈にして小振り、しかし能力高し!
こういうアイテムがモノの
「良品」なのではなかろうかと思う。
ハンドル材の木材は天然素材のため、一品一品異なるのも、なか
なか面白くて楽しめる。
米国銃器メーカーのブランド・ナイフ、ブラウニング277、おすすめ
です。


現在ネットで販売されている277。実勢価格¥2,000~¥2,600。

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