渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う

先角交換仕上がり

2017年03月20日 | 職人技



キューリペアショップ・マエストロさんから私の18山ブラジリアン・
ローズウッド・スペシャル・カスタムキューの
先角を交換したシャフト
が返ってきた。

極めて丁寧な仕事ぶりで驚く。






先角とシャフトの密着部分に接着剤の黒い線が出ていない。
これは高度な技法とノウハウを保有していることの証だ。



シャフト1本なのに、しっかりとした専用ダンボールケースに入れて
返送されてきた。なんだか、すごいショップだ。私はこれまで7業者
ほど
各種依頼してきたが、これまでのリペア業者さんたちとは、根本
的に何かが異なる。



早速、担当者の方おすすめで紹介されたこの新素材の人口象牙の
先角にチャンピオンタップを装着する
ことにする。


10数年前にネット公開して以降多くの方々に参考にされた私の
「タップの交換」のやりかたの解説ページは、現在ドメインの更新
手続き中で
表示できない。
今回はこのウェブ日記では初めて説明する。


まず、平面出しがタップ交換の命だ。先角もタップも平面をきっちり
と出して行く。先角はカッターの刃を立ててシャフトを回転し、また
カッターで刃先を掃くように平行移動させて先角の平面を出す。


タップについては、サンドペーパーで表面を均して一皮剥いて
から、やはりカッターの刃を立てて平面出しをする。




仮載せ。一切隙間があってはならない。タップ底面と先角上端面は
ピッタリとまんべんなく密着している完全平面に仕上げないとならない。


接着剤あふれの際に先角を傷めないように保護テープを先角
上端ギリギリに巻いてガイドにする。


私の場合はシアノを使って接着する。
圧着させた時に、「プチッ」と中の空気が抜ける音を確認するのが
ポイント。とにかくこの指押圧(おうあつ)が一番効果が高い。


しばらく経って接着剤が完全に硬化したならば、タップを下にして
シャフトを真下に向けてコンクリ面に自重落下させる。
その時に「キーン」とか「コーン」とか甲高い金属音がしたならば
タップは密着して先角に接着されている。


タップの成形に入るが、タップのカットは平面出しで使ったカッター
は刃先が潰れているので、もったいぶらずにまったく新しい刃を
使用する。オルファの幅広黒刃がおすすめだ。


私が開発し、現在販売に向けて製造中の日本刀目釘削り
専用刃物「ヒラマチ」ならば簡単に削れるが、一般的には
お持ちでない方が多いだろうから、タップカットもカッターで
行なう。まずは真下に向けてカッターの刃をスライスさせ
ながら圧(へ)し切って行く。


タップの外周を大まかに切り落とす。必ず、タップを新聞紙等や
工作用まな板等の上に押し付けて動かないようにしてから真下
に押し切りして行くこと。(これ大切)


これで桂剥きの素材が完成。


あとはカッターの刃を使って桂剥きにしていく。刃を動かす
のではなく、シャフトを回して軽快にリンゴの皮むきのように
外周部を剥いて行く。


どんどん削る。


外周はカッターの刃という刃物一丁でここまで仕上がる。


ヘッド部分を平ヤスリで仕上げていく。滑り落ちて、先角や
シャフト本体をヤスリで疵をつけないように、細心の注意を
払って行なう。画像は左手でスマホ撮影したので左手を
副えていないが、実際にはかなり先角寄りを保持する。




これくらいの位置を本来は持つ。ヤスリが落ちた時に手を
傷つけても先角やシャフト本体は疵つかない。
手の擦り傷は治療で治るが、先角やシャフトの削れ疵は
元に戻らないので厳重に注意する必要がある。


削りながら、タップの先も私は相当叩く。キンキンという音が
するほどに叩いて締める。


成形終了。


最終仕上げとして、唾液もしくは少量の油脂を含めて手で外周部
を拭って、乾いた布で磨いた後、牛乳を少量のみ垂らした布で
外周部を磨き上げる。靴を磨く裏技をタップにも投入する。
すると・・・

このようにビッカビカ。




旋盤など使わなくとも、タップは手作業で交換できる。正確に。
撞球師は自分でタップ交換程度はサクサクッと出来ないとなら
ない。勝負師が人任せの人頼りで、撞球で最大級に重要な部位
であるタップ交換を済ませているとしたら、それはあまりにも情け
ない。撞球者は最低でもタップ交換は自分で行なうべきである。
日本刀を帯びる剣士が、目釘交換を自分で行なうように。
日本刀の目釘も、帯刀者が自分自身で全責任を以って自作する
のが元来の姿である。
研ぎやメンテは本職に任せるほうがよいだろう。
だが、剣士の日本刀の目釘交換・金具の緩みの除去と締め、撞球
者のキューのタップの交換は自己責任で行なうのが本旨である。

私はいくら撞球が上級者であろうとも、自分でタップが交換できない
人間を一切評価しない。評価しないどころか信用しない。
一番大切な箇所を人任せで済ませているという勝負師にあるまじき
ことを行なっているからだ。
スキルがなければ身に着ければよい。
簡単なことなのだ。
「不器用だから」とか言い訳をする者だとしたら、撞球もやめればいい。
不器用なのだろうからキューを持って高度な技術の駆使などできない
ことだからだ。
言訳を常に探している者を撞球界では「ルーザー=負け犬」と呼ぶ。


タップは自分で交換。
これはプロもアマも関係なく、撞球者の自己責任性を体現しているか
否かが如実に表れる部分である。
また、トーナメントプレーヤーだろうと趣味の撞球者だろうと、ずっと永く
ビリヤードを続けて行くためには、キューのリペアやメンテについては、
かかりつけのお医者さんのように腕の良いリペア業者さんと良好な
パイプを作っておくことも大切なことだ。
今回、初めて茨城のマエストロさんに先角交換をお願いしたが、十二分
に満足の行く出来栄えだった。実によい仕事をしている。とても信頼できる
業者さんだ。オリジナルカスタムキューも製作しているようだ。

HAKU CUSTOM CUES

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