渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う

砥石

2017年08月10日 | 刃物





プロユースのような大きな天然砥石は私には必要ありません。
小物の和式刃物を研ぐ私は、このようないわゆるコッパで十分
です。
原石のコッパ売りの物を数キロ購入して、それを自分で磨って
成形して、ホームセンターで板を買ってきてそれにシリコンコーク
で砥石を接着させて使います。
また、仕上げ用の合せ砥石崩れやすいので、砥石の外周にカシュー
を塗って養生してあります。

天然砥石の仕上砥は、刃先の合わせだけでなく、地鉄の素顔を
引き出すことも可能です。
天然仕上砥石で和式刃物を研ぐと、こうなります。


ステンレスの実用ナイフや包丁には天然砥石は全く必要ありません。
しかし、炭素鋼を使用した包丁や和式刃物は天然砥石によって
引き出せる物があります。
ただ切れ味だけを求める筈の寿司職人や和食料理人などの包丁人
たちが和式包丁では天然砥石にこだわるのは、それには訳がある
からでしょう。(多くの理由があるようです)
また、日本刀の研磨だけは、天然砥石でないと絶対に研磨できま
せん。人造砥石のみで刀を研ぐと、ただ光っているだけのナイフの
ようになってしまいます。日本刀研磨には天然砥石は必要不可欠。

天然砥石の仕上げ砥は、地球上で日本の京都にしか存在しません。
これは2億年ほど前の今でいう太平洋の真ん中あたりの海底が
地殻変動で隆起して砥石鉱山が京都の山に鉱脈として出現した
のですが、まったくの偶然です。
地球上では京都と、地球の真裏側にあるのではと推測されていますが
南米のその地は発見されていません。
ブラジルのジャングルやボリビアの高地だったとしたら、この先も永久
に発見されることはないでしょう。
日本の首都京都のごくそばの山に地球上で唯一天然仕上げ砥石の
鉱脈が存在するというのは、単なる偶然とはいえ、神の気紛れとしか
思えない。
そして、その天然仕上げ砥石があったからこそ、日本刀の研磨技術
が日本固有の技術として発生発達し、現在まで脈々と受け継がれて
います。

天然砥石というものは古代海洋生物の化石なのですが、独特の仕上
がりとなり、決して人造砥石では出せない表情と切れ味が出せます。
ただ、扱いはかなりデリケートで、人造砥石やオイルストーンの感覚で
雑にこすっていては砥石の持ち味が出せません。
そこが削って鋭利にするだけの「研ぎ」と「研磨」の違いといえるかと
思います。

私もステンレスのナイフなどはほぼすべて全域において人造砥石のみ
で研ぎ、最後の合わせのみなでるように天然を使用する程度です。
和鉄刃物や現代炭素鋼刃物の場合は、下研ぎから大村や備水や天草
を使いますし、青砥や鳴滝や内曇砥なども使用します。
適材適所ではないですが、場面場面で使う砥石を選択して使用するよう
にしています。

まだまだ分からないことだらけですが、多少分かっている点もあるので、
それはそれで更に深め、分からないことについてはもっと精進しようと
思っています。

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