渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う

ハートフォード製SAAのチューンナップ

2017年06月18日 | トイ

メンテナンスとセッティング中のハートフォード(HWS)製の
コルトSAA(シングル・アクション・アーミー)のハンマー及び
関連パーツを加工してチューンナップした。
地味な作業ではあるが、こうしたフリクションロスを低減させる
加工というものがチューン(調律)であり、それが性能アップに
繋がる。
本当ならば、磨り合せとポリッシュが完了した可動パーツ同士の
接触面にはマイクロロンを塗りたいほどだ。(トリガーロック部
以外)

特にハンマーの前後回転運動については、まったく抵抗なく
ハンマーが動くほどに磨り合せで「アタリ」を出すことが大切
なのだが、勿論平ヤスリを使っての極小研削による抵抗値の
軽減化でも、ガタが出ない程度ならば、結果的には作動に良好
な結果をもたらす。

この画像だけで、先の記事とどこがどう変わったのかは一目瞭然
だろう。



このチューンは私はよくやるが、他の人はどうなのだろう。
ハンマーサイド部の均しももちろんだが、ハンマーを起こした
際に出てくるシリンダーハンドがフレームの穴出入り口付近
で引っかかりが無いように研削加工してやるのである。
これはハンドとフレーム本体自体を削ってやることでスムーズ
な回転を確保するのだ。
地味な加工だが、確実に効果がある。
チューンナップとは、派手派手しいことではなく、こうした地味
ながらも実効性の高い事を副次的に積み重ねることが多い。








ハンマーダウンの状態。


ハンマーコックの状態。ハンマーは擦り合わせ済み。


トリガーはWA製スティールトリガーである。これは磨き上げは
していない。タイヤキ様のバリがあるところからして、ロスト
ワックスの鋳物製であることだろう。

私はWA製SAAはすべてこの鉄製引鉄に変更してある。
それを今回ハートフォード製に移植したのだ。
トリガースプリングも折れる心配がないワイヤー製に交換した。
それに伴い、締め付けネジもWA製の物を使用した。



ハンマーのすり合わせについては、ハンマーのみがいくら面一で
平面が出ていても、フレーム内部の鋳型バリを除去してフレーム
内部も面一面を出すようにしなければ意味がない。
フレーム内部は細工ヤスリで均して真っ平らにするのである。

どんどんとチューンナップされて行く私のHWS製SAA。


ハンマーもこの個体のトリガーに合わせてフルコックの際の
ノッチを加工した。
よく低いトリガープル=短い引き代でハンマーが落ちるように
セットする人がいるが、私の場合はそれは駄目だ。
私は銃の自重でハンマーをロックするため、ロック速度が速く、
また激しく親指でハンマーを後退させてすぐに親指はすべる
ようにバックストラップの保持にシフトするため、ハンマーは
オーバーフルコック状態になる。
この時にトリガーはまだ引いていないのだが、親指がハンマー
からバックストラップ保持に移動する際に、トリガー
の引き代を
短いセッティングにしていたら、ハンマーがフルコックから解除
されて僅かながら前進する
衝撃の反動でトリガーを引いたように
トリガー停止山を滑ってハンマーが前進し、トリガーはハンマーの
動きを止めることなくハーフコック
までハンマーが落ちてしまうので
ある。いわゆる暴発の動きをすることになる。ハーフコックで止まる
ので暴発の激発はしないが。

こうなると、ハンマーはロックしてしまうので、シリンダーを外して
からハンマーとハンドの関係を修復してやる必要がある。
FDC用のベースピンが長いのは、即シリンダーを外せるように
してあるためで、エジェクターロッドのハンドルに当たるところまで
シリンダーピンを出せばシリンダーが外れる長さになっているため
である。ピンはハンドルに当たって停止し、外れることがない。
FD用ロングベースピンは便利がよい。
なお、スペシャルチューニングメニューとしては、ハンマーフルコック
の時に、オーバーコックしないようにイモネジ等をハンマーに埋めて
フレームと当たることでオーバーコック防止を図る方法もある。
ただし、その加工には精度の高いボール盤と穴あけ技術、そして
タッピング技術が必要となる。


SAAのチューンナップはいろいろな方法がある。
スペシャルパーツを組み込むことに頼るのではなく、基本的には
フリクションロスを無くすにはどうするのかでチューンの構想
を組み
立てるのが良い結果を生むと私は思う。


ピースメーカーいじりは、とても楽しい。
今このハートフォード(HWS)製の個体は、内部パーツ摩耗状態で
まともにアクション用トイガンとしては落第の状態から完全にアクション
派レプリカガンとして復活した。
ステンレス製フォーシングコーンも圧入されて、発火対策もバッチリだ。
一番の特徴は、スティールという材質がもたらすトリガーの切れ味が
非常に良い。
私好みに、実銃のようにある程度引き代とトリガープルも高めに設定
してあり、またハンマーが落ちる時にはスパンと淀みなく落ちるように
セッティングしてある。これが亜鉛合金トリガーだと「ヌーッ」という感触で
トリガーが引ける感触なので、どうにもタイミングが取り難いし、そもそも
が個人的には気持ち悪い。
鉄製ハンマーと鉄製トリガーの組み合わせが最高だが、せめてトリガー
だけでも鉄製にすると、違いがよく分かりる。鉄製トリガーは現在は新規
販売を中止している(「鉄製」「スティール」という語句の使用自主規制。
当局から指導が入るため→広告に出せない=販売量の激減、という
図式のため鉄製トリガーは製造が見送られる時代となってしまった)。
だが、私も中学生の時にSAAの鉄製トリガーを作ったが、意外と簡単に
鉄板から製造できるので、自作するのも手だ。鋳鉄ロストワックスでの
製造は、高温処理設備がないと難しいので、安全面からマンション等
での製造は回避したいところだ。鉄板からの削り出しが安全で簡単で
ある。必要なことは、一にも二にも根気だけである。

HWSのSAAはかなり出来が良いので、とても楽しめるモデルガン
だといえる。


ただ、それでも今でもこれまでに最高だったのは、やはりWAの
プラ製SAAだ。出来が40年後の今の時代をもってしても突き
抜けている。


WA-SAA2種。作動発火用と一般保存鑑賞用。内部のテンプラ構造
の製法が異なるWA内の別ジェネレーションの2丁である。


WA-SAAはプラなのに、ハンマーを起こすと「カキンコキンチーン」
という
高い金属音がする。
プラガンでこうしたある意味CMCの金属SAA的な音質を奏でる
SAAはWAの製品だけだった。
WA-SAAの高質作動音はCMC-メタルSAAほど大きな音では
ないが、澄んだ金属音がする。「シャコン」ではなく、「チャキーン」
という系統の音質だ。

そして、WA-SAAの比類なき作動性。
本当に、WAのSAAの問題点というものは、割れやすい材質の
問題だけ
だった。作動性だけでなく、スケール等についての出来
自体も、それらは当時としても「比類なき」ものだったのである。
例えば、上から見ると、エジェクターチューブを包むフレーム部も
HWS製のようにチューブ寸が小さいためフレームが相対的に
大型化して横に出っ張ることもなかったのがWA-SAAであり、
性能だけでなく、造形美も実銃SAAの空気を正確に再現していた
のだ。

オーバーサイズのグリップ周りと共に、HWS製プラSAAの
造形上の欠点の一つであるエジェクターチューブとフレーム
の関係を示す。WA-SAAではHWSのこの現象は存在しない。


しかし、WA-SAAが優れたレプリカガンだからとはいえ、時代物を
拳銃遊戯に使う訳にはいかない。
今、タイムリーに撃って遊ぶのには、やはり部品供給も安定して
いるHWS製のSAAが一番適しているだろうと思われる。部品供給
の価格もかなりリーズナブルである。HWSさんは良心的だ。
その思想は、「古式銃再現シリーズ」によってオールド・ウエスト・
リボルバーの機種を多くリリースしていることにも表れている。
ハートフォードさんは良質なモデルガンメーカーであると断言できる。

それにつけても、おやつはカール(製造中止)ではなく、コルトの
ウエスタン・リボルバー!
特にピースメーカーが、やっぱり最高!!最高のおやつだ。
間食のしすぎにはご注意を。

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