渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う

臭う刃物

2017年07月31日 | 刃物


夜明けと共に母から依頼されていた包丁を研ぐ。
数日前に母の包丁を3本研いだが、これは魚さばき用の手打ち両刃だ。
母は女性では珍しくペティナイフマニアで、数十本所有している。
特徴的なことは、全て使うというところだ。
私は包丁の使い方は母からは習っていない。小学校の授業で習った
のと、高校・大学の時に料理人から習った。

研ぎについては特定の師匠はいない。
料理人から包丁の使い方を習った時に研ぎについても習ったが、
こちらはかなりいい加減なもので、私の父が研ぐ技法のほうが確か
だった。
実は、料理人は料理や包丁さばきについては専門家だが、研ぎに関して
真に精通している人というのは意外と少ない、かなり驚くほどに少ない
のである。
一番ひどいのが魚屋の研ぎで、これは多くを見聞したが、まともな研ぎを
している魚屋を見たことがない。
研ぎをまともに出来るのは包丁メーカー、砥石屋であり、こちらはその
専門家であるだけに確かな理論と技法を有している。
結構、超適当なのが町の研ぎ屋で、刃物を駄目にするような研削を
やって研ぎでござい、というような事が多い。

特定の師はいないと書いたが、これは正式に弟子入り修行をしていない
からであって、教えてもらった人はいるにはいるが、ほとんどは40年の歳月の中で培った技法である。
ただ、私の研ぎの技法は私独自のものではなく、過去あるいは現在でも
やっている人は他にもいる。
ただ、私が簡単に「誰でもできるよ」と言うのは、実は誰でもできない
ことが多いらしく、私の研ぎもその一つで、「よく切れる」ように
研ぐことは極めて簡単だが、任意の切り味を実現するための研ぎの技法は、
やり方をデータ化して解説しても、サラッととはなかなかできない
らしい。
江戸刃物鍛冶師の左手久作氏は私に言う。
秘伝なんてのはありゃしない。
あるとしたら、見たら誰でも出来てしまうのが秘伝であって、見ても
誰も真似できない技法なんてのは、いくら見せても差し障りないもので、
そいつぁ秘伝でもなんでもない、と。

ただ、いくらなんでも、誰でも真似できない方法だからと、私は自分の研ぎの
技法をまとめた文書を事細かに誰でも彼でも公開したりはしない。
親しい人で望まれて懇請されれば私がまとめた中上級者向けの『早月流
研磨要諦』の冊子を分与するが、見も知らない人に渡したりはしない。
自分で考えてノウハウを蓄積してくれ、というやつだ。
ネット時代というのはトンチキが溢れ返ってる時代であり、ひどいの
になると、友人のガンスミスが私のためだけに作った世界で一丁の
ガスブローバックガン(地球上で成功例はこれただ一点のみ)の内部
構造図を公開もしくはメールで送ってくれとか言って来るのがいる。
見も知らない奴がだ。
礼儀知らずであるのは勿論だが、そもそもが、頭がいかれてる。
どうせこういう自己中は2ちゃんねらーに違いないのだが、こういう
タコは当然の助動詞シュッドで
シュッとシカトする。
自分で考えて、自分でやれよ、と。

話を戻す。
砥石は満遍なく、私の場合は使う。


全体を使うのは早研ぎには向いている。


但し、キメ所で押す場合にはショートストロークに変更する。
ストロークが長いと、ヘッドとボトムでブレが生じやすいからだ。


私が砥石の中で一番好きな物が青砥である。
まるで墨を擦っているような、グッグという感触がよい。


#6000で合わせて止め刃を付けただけで今回終了。
自作スイカで試し切りして完了。


ただ、この包丁、いくら洗ってもおえ〜となる。
湯を注しても消えない。
どうしても魚の生臭い臭いがするのである。

日本刀でもあるけどね。
似た臭いを持つ物が。これはいくら研ぎをかけても消えずに臭う。
だからかつては丁子油というキツイ芳香剤入りの刀剣油ごあったの
だろうと思う。
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